ピティナ調査・研究

第5回 イメージトレーニングって意味があるの?

脳科学者・瀧靖之先生が答える 「ピアノって本当に脳にいいの?」

第5回 イメージトレーニングって意味があるの?

ピアノを弾く人、楽器を演奏する人が、「演奏していない時」に経験することについて、伺ってみたいと思います。

コンサートなどで他の人の演奏を「聴く」時に、自分の指を動かしたり、動かさずとも身体の使い方をイメージして聴くことがあります。ピアノを弾かない人が聴く時とは、同じ演奏を聴いても脳の使い方が違うのでしょうか?

楽器を「弾く」時と「聴く」時では、基本的に脳で使う場所が違ってきます(第2回参照)。しかし、聴きながら指や身体の動かし方、鍵盤の距離、楽譜などをイメージしながら聴く場合には、脳は、弾いている時と類似の働き方をしています。つまり、実際に弾いてはいないけれど、空間認知や運動野を働かせながら聴いているということになります。

では、ピアノを弾けない時にイメージトレーニングをすることにも、十分意味があるということでしょうか。

はい、そうですね。ピアノに触ることのできない通学・通勤時間や、演奏の本番前などに、実際に身体を使って音を出すイメージを頭の中ですることも、意味のあるトレーニングになっていると言えると思います。

次回へつづく。

(取材:2019/7/23 二子千草)