ピティナ調査・研究

のだめカンタービレ×ピティナ第9弾


のだめカンタービレ×ピティナ

クラシック漫画の金字塔、『のだめカンタービレ』とピティナがコラボレーション!新装版の発売日に合わせて、取り上げられているピアノ曲を特集いたします。ピアノ演奏とあわせて、また新たな「のだめ」の魅力をお楽しみください。

連載開始20周年記念! 国民的人気を誇るクラシック音楽コメディが、待望の新装版となって登場!!

常任指揮者としてのデビュー公演を見事成功に導いた千秋(ちあき)。
千秋の音楽に触発されたのだめは、ますます"音楽"にのめり込んでゆく。
新生マルレ・オケと指揮者・千秋の真価を問われる公演が迫る中、
はやる気持ちから、千秋は練習のため家出を決意して…!?
そして運命の公演当日、千秋の目の前に現れたのは――!

作成協力:講談社

新装版第9巻 登場曲

復活の兆しが見えてきた、マルレ・オーケストラの公演。常任指揮者・千秋の初の弾き振りはバッハの協奏曲!

チェンバロ協奏曲は、バッハのライプツィヒ時代に興隆を見せた器楽ジャンルの一つです。協奏曲において独奏楽器としてチェンバロを使用したのは、当時としては画期的なことでした。

独奏部がチェンバロ、合奏部がヴァイオリンI・II、ヴィオラ、通奏低音という編成が組まれています。第1楽章から第3楽章まで、冒頭部分ではほぼ全てのパートが同じ動きをしていますが、楽曲が進むにつれてそれぞれ独立し、特に、独奏部を担うチェンバロにおいては、中間部以降極めて技巧的な旋律が与えられています。

メンデルスゾーンは1832年にこの楽曲をピアノ協奏曲として演奏しました。千秋とおなじですね。

ピアノ曲事典へ

千秋のお父さん、ピアニスト。Masayuki Chiakiのパリ公演のプログラム。

「クラヴィーア練習曲集。プレリュード、アルマンド、クーラント、サラバンド、ジーグ、メヌエットおよびその他の当世風舞曲よりなる。愛好家の心を楽しませるために、ザクセン公およびヴァイセンフェルス公の楽長にしてライプツィヒの音楽監督、ヨハン・ゼバスティアン・バッハが作曲。作品1。作曲者により刊行。1731年」

バッハのパルティータは全6曲あり、それぞれが、プレリュード、アルマンド、クーラント、サラバンド、ジーグ、メヌエットおよびその他の当世風舞曲からなる組曲です。「愛好家の心を楽しませるために」とあるように、当時の最新流行であるギャラントな(優雅で洗練された)組曲となっています。

ピアノ曲事典へ

続くブラームスも6つの小品からなる作品です。

ブラームス最晩年の作品の一つ。

初期・中期の、オーケストラをそのままピアノに移したような雄大な曲想のソナタ・変奏曲を数々書いた後、1871年の「8つの小品 作品76」から「4つの小品 作品119」まで5つの小品集を書いています。ここで表現される感情の変化はどこか俯瞰した場所から見ているようであり、穏やかな哀愁に満ちた旋律が心に深く残る作品です。その中でもこの作品118は最も演奏されることの多い作品の一つといえます。

ピアノ曲事典へ

Op.110と並行して1821年から22年にかけて作曲されたこのソナタは、結果としてベートーヴェン最後のピアノ・ソナタとなりました。

Op.109以降、それまで拡大されてきたソナタ形式は、極度に凝縮、圧縮されるようになり、この作品においてもその傾向は顕著です。また、Op.110や106では「フーガ」という形に結実した対位法の試みは、ここではソナタ形式の中に取り込まれました。

ピアノ曲事典へ

のだめのサロンコンサート。初めてのリサイタルはモーツァルトから始まりましたが、今回はバッハからのスタートです。

1735年、バッハは『クラヴィーア練習曲集』第2巻を世に送り出しました。二段鍵盤のために書かれたその第1曲が「イタリア趣味による nach italienischem Gusto」、通称《イタリア協奏曲》とよばれる作品です。

明朗快活な両端楽章と優美な緩徐楽章、急-緩-急の3楽章からなるこの作品は、「イタリア趣味による」というよりも、イタリア的な音型や語法をふんだんにちりばめた作品といえます。第1楽章冒頭のリズムは、18世紀前半にハンブルクに活躍した著述家J. マッテゾンによれば「最新の流行」であり、第2楽章におけるオスティナート(同じリズム型や旋律型を繰り返す伴奏)に支えられた装飾豊かなアリアは、ヴィヴァルディの作品そのものを彷彿とさせます。

ピアノ曲事典へ

メンデルスゾーンは情景描写や標題音楽の作曲において才能を発揮しています。

この"言葉のない歌曲"、「無言歌」、という形でメンデルスゾーンは心象風景や感情描写までも、表現しました。歌曲風の旋律をもった器楽曲であるため、旋律線をはっきりと浮き立たせ、抒情的に演奏される曲です。

メンデルスゾーンが活躍したこの時期、ブルジョアジーの家庭を中心に、ピアノが教養として普及しました。そのため、家庭で気楽に弾ける作品が多く作られましたが、この《無言歌集》もその一つです。

ピアノ曲事典へ

ショパンの晩年の傑作とされている作品です。弟子のヴェイレ夫人に献呈されたこの作品は、ピアノ独奏曲としては最期の大曲。この曲を書いたとき、ショパンは肉体的・精神的に困難な状態にありました。1843年頃からショパンはたびたび病床についていましたが、同時にジョルジュ・サンドとの関係も破局へと向かっていたのです。この作品は、そのような極限の状態で生み出されました。

「ファンタジー(幻想曲)」という名を与えられたこのポロネーズは、厳格な形式を持たず、即興的に音楽が広がっていくかのように聴こえる作品です。そこではあたかも即興演奏のように、多種多様な音楽的要素が現れます。その中には「主題」のように聴こえるにもかかわらず回帰しない素材もあり、聴き手は音楽の「出来事」の連続を予測することができないのです。

しかし、全体はラプソディーのように流れていくにもかかわらず、各部分は入念に結びつけられています。前の素材から次の素材が生み出されるような感覚、また、異質な素材が挿入されることによって流れが中断されるような感覚が作られ、それによって音楽の満ち干が生み出されているのです。

ピアノ曲事典へ

中世の伝記物語『聖フランチェスコの小さな花々』の第16章に記された、聖人が小鳥に説教をするという逸話から、創作の「精神的動機」を得て作曲されました。イタリア中部の町、アッシジに生まれた聖フランチェスコ(1181-1226)は、カトリック教会史上もっとも尊敬を集める聖人のひとりで、フランシスコ修道会の創設者としても知られています。

冒頭からの70小節はもっぱら高音部記号(ト音記号)で、弱音量でのトリル、アルペッジョ、32分音符の細かな音の動きが小鳥たちのさえずりを描写します。また、叙唱風の単旋律は聖人を象徴し、聖人の説教は途中、フラット調の荘厳な響きの和音旋律としても表される。結尾部分は再び小鳥と聖人の対話となり、最後は小鳥のモティーフで静かに終えます。

ピアノ曲事典へ
<インタビュー>のだめファンなピアニスト
Vol.9 冨永 愛子さん(ピアニスト)

のだめとの出会いを教えてください。

私が音高生の頃に生徒間で話題になっていて、コミック本を皆んなで回し読みしていました。私の通った東京音高・音大はキャラ立ちした特に個性的な人が多い学校だったので、まるで自分達のことを書かれてるような感覚で、とても面白く読んでいました。普段マンガは読まない方ですが、のだめは全巻揃えているくらい大ファンです!その後、音大生の頃にドラマ化されて、友人知人も多く作品に関わっていたりと身近な存在でした。

印象的だったキャラクターはいますか?

千秋先輩&のだめ、峰&清良、黒木君&ターニャ等の音楽家カップル。とってもいいバランスで、周りにいそうなあるあるカップルなのが面白い。音楽家として互いに尊敬し合っているところがまた良いですよね。

のだめの作中で描かれた、憧れの曲・好きな曲はありますか?

今ちょうど差し迫った公演のために、モーツァルトの二台のピアノのためのソナタと、オーボエ協奏曲の伴奏を準備しているのですが、有名な「たった2小節で間違えるな〜!!」(のだめ「ぎゃぼ〜」)のシーンと、オーボエ黒木くんの演奏シーンなど、練習する度にその映像が思い浮かんでついついニヤッとしてしまいます(笑)

好きなシーンはありますか?

千秋が常任指揮者として就任したパリのマルレ・オケで、てんでバラバラなオケに対しコンマスが「音楽の本質である調和(ハルモニー)」について説き、そのリハーサル後、千秋とのだめが星空を見上げながら「神の作った世界の調和を知るための学問の一つである音楽(ムジカ)」「理性の力によって作品全体に対し入念に音楽を判断できる音楽家(ムジクス)」「ただ音を歌ったり演奏する歌い手(カントル)」カンタービレの語源について話すシーン。とてもロマンチックだなと思います。その後続く森羅万象、宇宙の魂…という言葉や、自分のちっぽけさを感じて気が遠くなりそうだという感覚は、音楽と対峙しているとまさに感じることではないでしょうか。

冨永さんは、ドイツ国立エッセン芸術大学を修了されていらっしゃいますね。ドイツの音楽院はどんなところでしたか?

緑豊かなエッセン・ヴェルデンという街に住んでいて、厳しい教授のレッスンと、和やかな街の対比がいいメリハリでした。ノルドライン=ヴェストファーレン州という大きな州にある学校なので、学生証ひとつでエッセン、デュッセルドルフ、ケルン、ドルトムント等自由に行き来でき、世界一流の素晴らしいコンサートを沢山聴けました。近所に買い物に行ったついでに偶然ブレンデルの公開レッスンが聴けたりするんですよ!ベートーヴェンの生家があるボンも同じ州です。

ピアノのどんなところが好きですか?

私はオーケストラの音に強い憧れを抱くのですが、ピアノは猫でも赤ちゃんでも誰でも押せば鳴る楽器だからこそ、音楽家として様々なイマジネーションをもって音のパレットを選んでいく…色々な楽器の音や声に憧れを抱きながら探していく…その行為が純粋にとても楽しく好きです。

さいごに

のだめは韓国でもドラマがリメイクされたくらい人気みたいですが、留学中、韓国人の友人達からなぜか「愛子ってのだめに似てるー!」と言われてました。でも私は綺麗好きなので、決して汚部屋ではありません!(笑)

▼冨永さんの「ラプソディーインブルー」▼
神奈川県出身。3歳より長沢あけみ氏指導のもと木下音感教育およびピアノを始める。9歳でかながわ音楽コンクール最優秀賞を受賞し、ソリストとして神奈川フィルハーモニー管弦楽団(故・榊原栄氏指揮)と共演。 ピティナ・ピアノコンペティションG級銀賞(ジャック・ルヴィエ特別賞)、第4回やまなし県民文化祭賞・実賞等、多数受賞。大学在学中の2008年第6回東京音楽コンクールピアノ部門で優勝。そのファイナルでは、渡邊一正氏指揮、日本フィルハーモニー交響楽団とラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1番を協演した。各誌上で「楽器の響きのツボを見事に捉えた音には意志があり、スケールの大きな音楽観と歌心。繊細で詩的な表現のテクニック等々、冨永の可能性は無尽蔵」「無垢で率直な感性とえぐるように鋭い感性が彼女の中に混在し、骨格や手にも恵まれている」等と評された。 東京音楽大学付属音楽教室、付属高校、同大学ピアノ演奏家コースを特待奨学生として学び、卒業後渡独。 2014年ドイツ国立エッセン・フォルクヴァンク芸術大学プロフェッショナルパフォーマンスコース(マスター課程)を最優秀の成績で修了。これまでに、菊地麗子、東誠三、ヘンリ・シーグフリードソン、室内楽をヤツェク・クリムキエヴィチ、エフゲニー・シナイスキー各氏に師事。また、国内外のマスタークラス等でも多数の著名な音楽家より薫陶を受ける。 2018年デビュー10周年、初のソロ・アルバム「リラの花」を日本アコースティックレコーズからリリース。「レコード芸術」準特選盤に選ばれる。卓越したスキルによって紡ぎ出される澄んだ音色、冨永愛子の情熱的で瑞々しい音楽性には、既にファンも多く、最も注目されている若手ピアニストの一人として、近年益々期待を寄せられている。
Official Sitetwitter
◆『のだめ』新装版情報

『のだめカンタービレ 新装版』第9巻が5月13日(金)に発売!
全13巻で、毎月1冊ずつ発売予定。

表紙イラストは描き下ろし!
巻末描き下ろし漫画も5p収録!
ちょっと大きめのB6サイズ。

各書店にて、好評発売中!

新装版詳細ページはこちら
(講談社ページへ)
新装版表紙
9巻の表紙はこちら!
◆公式Twitter
のだめカンタービレ【公式】
(@Nodame_Official)
最新情報を随時更新中!

のだめカンタービレ×ピティナ第10弾2022/06/23)
のだめカンタービレ×ピティナ第9弾2022/05/25)
のだめカンタービレ×ピティナ第8弾2022/04/28)
のだめカンタービレ×ピティナ第7弾2022/03/09)
のだめカンタービレ×ピティナ第6弾2022/02/10)
のだめカンタービレ×ピティナ第5弾2022/01/13)
のだめカンタービレ×ピティナ第4弾2021/12/16)
のだめカンタービレ×ピティナ第3弾2021/11/11)
のだめカンタービレ×ピティナ第2弾2021/10/13)
のだめカンタービレ×ピティナ第1弾2021/09/09)
二ノ宮知子先生スペシャルインタビュー

調査・研究へのご支援