のだめカンタービレ×ピティナ第9弾
クラシック漫画の金字塔、『のだめカンタービレ』とピティナがコラボレーション!新装版の発売日に合わせて、取り上げられているピアノ曲を特集いたします。ピアノ演奏とあわせて、また新たな「のだめ」の魅力をお楽しみください。
常任指揮者としてのデビュー公演を見事成功に導いた千秋(ちあき)。
千秋の音楽に触発されたのだめは、ますます"音楽"にのめり込んでゆく。
新生マルレ・オケと指揮者・千秋の真価を問われる公演が迫る中、
はやる気持ちから、千秋は練習のため家出を決意して…!?
そして運命の公演当日、千秋の目の前に現れたのは――!
復活の兆しが見えてきた、マルレ・オーケストラの公演。常任指揮者・千秋の初の弾き振りはバッハの協奏曲!
チェンバロ協奏曲は、バッハのライプツィヒ時代に興隆を見せた器楽ジャンルの一つです。協奏曲において独奏楽器としてチェンバロを使用したのは、当時としては画期的なことでした。
独奏部がチェンバロ、合奏部がヴァイオリンI・II、ヴィオラ、通奏低音という編成が組まれています。第1楽章から第3楽章まで、冒頭部分ではほぼ全てのパートが同じ動きをしていますが、楽曲が進むにつれてそれぞれ独立し、特に、独奏部を担うチェンバロにおいては、中間部以降極めて技巧的な旋律が与えられています。
メンデルスゾーンは1832年にこの楽曲をピアノ協奏曲として演奏しました。千秋とおなじですね。
千秋のお父さん、ピアニスト。Masayuki Chiakiのパリ公演のプログラム。
「クラヴィーア練習曲集。プレリュード、アルマンド、クーラント、サラバンド、ジーグ、メヌエットおよびその他の当世風舞曲よりなる。愛好家の心を楽しませるために、ザクセン公およびヴァイセンフェルス公の楽長にしてライプツィヒの音楽監督、ヨハン・ゼバスティアン・バッハが作曲。作品1。作曲者により刊行。1731年」
バッハのパルティータは全6曲あり、それぞれが、プレリュード、アルマンド、クーラント、サラバンド、ジーグ、メヌエットおよびその他の当世風舞曲からなる組曲です。「愛好家の心を楽しませるために」とあるように、当時の最新流行であるギャラントな(優雅で洗練された)組曲となっています。
続くブラームスも6つの小品からなる作品です。
ブラームス最晩年の作品の一つ。
初期・中期の、オーケストラをそのままピアノに移したような雄大な曲想のソナタ・変奏曲を数々書いた後、1871年の「8つの小品 作品76」から「4つの小品 作品119」まで5つの小品集を書いています。ここで表現される感情の変化はどこか俯瞰した場所から見ているようであり、穏やかな哀愁に満ちた旋律が心に深く残る作品です。その中でもこの作品118は最も演奏されることの多い作品の一つといえます。
Op.110と並行して1821年から22年にかけて作曲されたこのソナタは、結果としてベートーヴェン最後のピアノ・ソナタとなりました。
Op.109以降、それまで拡大されてきたソナタ形式は、極度に凝縮、圧縮されるようになり、この作品においてもその傾向は顕著です。また、Op.110や106では「フーガ」という形に結実した対位法の試みは、ここではソナタ形式の中に取り込まれました。
のだめのサロンコンサート。初めてのリサイタルはモーツァルトから始まりましたが、今回はバッハからのスタートです。
1735年、バッハは『クラヴィーア練習曲集』第2巻を世に送り出しました。二段鍵盤のために書かれたその第1曲が「イタリア趣味による nach italienischem Gusto」、通称《イタリア協奏曲》とよばれる作品です。
明朗快活な両端楽章と優美な緩徐楽章、急-緩-急の3楽章からなるこの作品は、「イタリア趣味による」というよりも、イタリア的な音型や語法をふんだんにちりばめた作品といえます。第1楽章冒頭のリズムは、18世紀前半にハンブルクに活躍した著述家J. マッテゾンによれば「最新の流行」であり、第2楽章におけるオスティナート(同じリズム型や旋律型を繰り返す伴奏)に支えられた装飾豊かなアリアは、ヴィヴァルディの作品そのものを彷彿とさせます。
メンデルスゾーンは情景描写や標題音楽の作曲において才能を発揮しています。
この"言葉のない歌曲"、「無言歌」、という形でメンデルスゾーンは心象風景や感情描写までも、表現しました。歌曲風の旋律をもった器楽曲であるため、旋律線をはっきりと浮き立たせ、抒情的に演奏される曲です。
メンデルスゾーンが活躍したこの時期、ブルジョアジーの家庭を中心に、ピアノが教養として普及しました。そのため、家庭で気楽に弾ける作品が多く作られましたが、この《無言歌集》もその一つです。
ショパンの晩年の傑作とされている作品です。弟子のヴェイレ夫人に献呈されたこの作品は、ピアノ独奏曲としては最期の大曲。この曲を書いたとき、ショパンは肉体的・精神的に困難な状態にありました。1843年頃からショパンはたびたび病床についていましたが、同時にジョルジュ・サンドとの関係も破局へと向かっていたのです。この作品は、そのような極限の状態で生み出されました。
「ファンタジー(幻想曲)」という名を与えられたこのポロネーズは、厳格な形式を持たず、即興的に音楽が広がっていくかのように聴こえる作品です。そこではあたかも即興演奏のように、多種多様な音楽的要素が現れます。その中には「主題」のように聴こえるにもかかわらず回帰しない素材もあり、聴き手は音楽の「出来事」の連続を予測することができないのです。
しかし、全体はラプソディーのように流れていくにもかかわらず、各部分は入念に結びつけられています。前の素材から次の素材が生み出されるような感覚、また、異質な素材が挿入されることによって流れが中断されるような感覚が作られ、それによって音楽の満ち干が生み出されているのです。
中世の伝記物語『聖フランチェスコの小さな花々』の第16章に記された、聖人が小鳥に説教をするという逸話から、創作の「精神的動機」を得て作曲されました。イタリア中部の町、アッシジに生まれた聖フランチェスコ(1181-1226)は、カトリック教会史上もっとも尊敬を集める聖人のひとりで、フランシスコ修道会の創設者としても知られています。
冒頭からの70小節はもっぱら高音部記号(ト音記号)で、弱音量でのトリル、アルペッジョ、32分音符の細かな音の動きが小鳥たちのさえずりを描写します。また、叙唱風の単旋律は聖人を象徴し、聖人の説教は途中、フラット調の荘厳な響きの和音旋律としても表される。結尾部分は再び小鳥と聖人の対話となり、最後は小鳥のモティーフで静かに終えます。
のだめとの出会いを教えてください。
私が音高生の頃に生徒間で話題になっていて、コミック本を皆んなで回し読みしていました。私の通った東京音高・音大はキャラ立ちした特に個性的な人が多い学校だったので、まるで自分達のことを書かれてるような感覚で、とても面白く読んでいました。普段マンガは読まない方ですが、のだめは全巻揃えているくらい大ファンです!その後、音大生の頃にドラマ化されて、友人知人も多く作品に関わっていたりと身近な存在でした。
印象的だったキャラクターはいますか?
千秋先輩&のだめ、峰&清良、黒木君&ターニャ等の音楽家カップル。とってもいいバランスで、周りにいそうなあるあるカップルなのが面白い。音楽家として互いに尊敬し合っているところがまた良いですよね。
のだめの作中で描かれた、憧れの曲・好きな曲はありますか?
今ちょうど差し迫った公演のために、モーツァルトの二台のピアノのためのソナタと、オーボエ協奏曲の伴奏を準備しているのですが、有名な「たった2小節で間違えるな〜!!」(のだめ「ぎゃぼ〜」)のシーンと、オーボエ黒木くんの演奏シーンなど、練習する度にその映像が思い浮かんでついついニヤッとしてしまいます(笑)
好きなシーンはありますか?
千秋が常任指揮者として就任したパリのマルレ・オケで、てんでバラバラなオケに対しコンマスが「音楽の本質である調和(ハルモニー)」について説き、そのリハーサル後、千秋とのだめが星空を見上げながら「神の作った世界の調和を知るための学問の一つである音楽(ムジカ)」「理性の力によって作品全体に対し入念に音楽を判断できる音楽家(ムジクス)」「ただ音を歌ったり演奏する歌い手(カントル)」カンタービレの語源について話すシーン。とてもロマンチックだなと思います。その後続く森羅万象、宇宙の魂…という言葉や、自分のちっぽけさを感じて気が遠くなりそうだという感覚は、音楽と対峙しているとまさに感じることではないでしょうか。
冨永さんは、ドイツ国立エッセン芸術大学を修了されていらっしゃいますね。ドイツの音楽院はどんなところでしたか?
緑豊かなエッセン・ヴェルデンという街に住んでいて、厳しい教授のレッスンと、和やかな街の対比がいいメリハリでした。ノルドライン=ヴェストファーレン州という大きな州にある学校なので、学生証ひとつでエッセン、デュッセルドルフ、ケルン、ドルトムント等自由に行き来でき、世界一流の素晴らしいコンサートを沢山聴けました。近所に買い物に行ったついでに偶然ブレンデルの公開レッスンが聴けたりするんですよ!ベートーヴェンの生家があるボンも同じ州です。
ピアノのどんなところが好きですか?
私はオーケストラの音に強い憧れを抱くのですが、ピアノは猫でも赤ちゃんでも誰でも押せば鳴る楽器だからこそ、音楽家として様々なイマジネーションをもって音のパレットを選んでいく…色々な楽器の音や声に憧れを抱きながら探していく…その行為が純粋にとても楽しく好きです。
さいごに
のだめは韓国でもドラマがリメイクされたくらい人気みたいですが、留学中、韓国人の友人達からなぜか「愛子ってのだめに似てるー!」と言われてました。でも私は綺麗好きなので、決して汚部屋ではありません!(笑)
『のだめカンタービレ 新装版』第9巻が5月13日(金)に発売!
全13巻で、毎月1冊ずつ発売予定。
表紙イラストは描き下ろし!
巻末描き下ろし漫画も5p収録!
ちょっと大きめのB6サイズ。
各書店にて、好評発売中!
新装版詳細ページはこちら
のだめカンタービレ×ピティナ第10弾2022/06/23)
のだめカンタービレ×ピティナ第9弾2022/05/25)
のだめカンタービレ×ピティナ第8弾2022/04/28)
のだめカンタービレ×ピティナ第7弾2022/03/09)
のだめカンタービレ×ピティナ第6弾2022/02/10)
のだめカンタービレ×ピティナ第5弾2022/01/13)
のだめカンタービレ×ピティナ第4弾2021/12/16)
のだめカンタービレ×ピティナ第3弾2021/11/11)
のだめカンタービレ×ピティナ第2弾2021/10/13)
のだめカンタービレ×ピティナ第1弾2021/09/09)
二ノ宮知子先生スペシャルインタビュー