のだめカンタービレ×ピティナ第4弾
クラシック漫画の金字塔、『のだめカンタービレ』とピティナがコラボレーション!新装版の発売日に合わせて、取り上げられているピアノ曲を特集いたします。ピアノ演奏とあわせて、また新たな「のだめ」の魅力をお楽しみください。
新たに結成したオーケストラを率いて、千秋本格始動!若く才能あふれるメンバーとともに最高の音楽を奏でる・・・はずが、
それぞれの国内コンクールを前に気もそぞろなメンバーたち・・・。
果たして新オケの初公演は成功するのか・・・!?
そのころ、名指導者・江藤(通称ハリセン)のスパルタレッスンがはじまったのだめは、教室から全力逃走していた――!
シューベルトは、本当に「気難しい人」なのか?
千秋、またR☆Sオーケストラメンバーの活躍に後押しをされるように、ピアノコンクールに挑戦を決めたのだめ。「マラドーナ・ピアノ・コンクール」がいよいよ始まります!
第一次予選で演奏したのは、シューベルト「ピアノ・ソナタ 第16番」。シューベルトはこれまで数多くのピアノ・ソナタを作曲してきましたが、この作品はソナタとしては初の出版作品となりました。作曲された1825年、シューベルトは作曲家として円熟期をむかえており、未完も含めて3曲のピアノ・ソナタ(第15~17番)を生み出しています。
ピアノコンクールの選曲としても少し「渋め」な選曲の意図などについて、二ノ宮知子先生のスペシャルインタビューにてお話しいただいています。こちらもぜひご覧ください。
ショパンの練習曲の中でも難曲として知られている第4番。激しく情熱的な作品です。
正確な打鍵による16分音符のパッセージワークの練習曲となっており、短い動機が音度や調を変え、転回される、「紡ぎだしFortspinnung」という手法で作曲されています。これは、バッハが活躍したバロックの時代に頻繁に用いられた手法です。冒頭の右手の16分音符による細かい音型とそれに続く跳躍は、左手によって音度を変えて繰り返されます。左右の指が等しく鍛えられていることが要求される一曲です。
のだめの天才少女時代を予感させる描写となっていますが、小学生時代の小林愛実さんの演奏でお楽しみください。
心ここにあらずな演奏をするのだめ。「あの子自身が旅人を惑わせる「鬼火」のようだネ」と審査員から評されてしまいますが、それはこの「鬼火」というテーマが、シューベルトの連作歌曲集「冬の旅」にて旅人の道を迷わせた「鬼火 Irrlicht」から着想されたものだからです。
リストはこの空想的で正体のないものの表現を細密な技巧で試みています。半音階からはじまり重音、跳躍などを駆使した、まさに「超絶技巧」という名にふさわしい難曲です。
ドビュッシーの人生は、この「喜びの島」を作曲した1904年に転換点を迎えています。
作曲の弟子ラウール・バルダックの母エンマと出会い、恋愛関係に陥ったドビュッシーは、同年7月にエンマとジャージー島に出奔し、以降妻のもとに戻ることはありませんでした。絶望したリリーは拳銃自殺未遂をはかり、ボヘミアン時代の友人のほとんどがドビュッシーのもとを去ってしまいました。
ワトーの名画『シテール島への乗船』から着想されたという説もありますが、愛の女神ヴィーナスの島シテール島へ恋人達が船出するという情景が自身とエンマに重ねていたことが想像されますね。
ドビュッシーには珍しくヴィルトゥオーゾ的な演奏技巧が要求され、大胆な表現力と鮮やかな色彩感に満ち溢れた傑作です。
ここからは同コンクールの出場者「瀬川悠人」の演奏曲です。
その技巧のあまりのすさまじさのために「悪魔に魂を売った」と言われたヴァイオリンのヴィルトゥオーゾ、パガニーニ(1782-1840)。ブラームスは、パガニーニ「無伴奏ヴァイオリンのためのカプリス第24番イ短調」を主題とした変奏曲を作曲しました。
各14の変奏からなる2冊の作品で、合計28の変奏があります。各変奏ごとに演奏技巧上の問題をつぎつぎと提示しており、技巧的に至難ともいえる練習曲です。ブラームスは、この曲に、「精巧な指のためのピアノの練習曲」と記しています。
「夜のガスパール」というタイトルは、ボードレールにも影響を与えたという夭折した無名の詩人アロイジュス・ベルトラン(1807~1841)の64篇から成る散文詩集のタイトルです。ラヴェルはこの中から幻想的で怪奇性の強い3篇を選び、そのイメージに大変な技巧を織り交ぜながら情熱的なピアノ曲に仕上げました。
第3曲のテーマとなっている「スカルボ」とは悪戯好きの妖精のことで、部屋の中を目まぐるしくかけめぐり、悪戯ばかり。この様子をかなり特殊なテクニックを含む名人芸的な難技巧を盛り込み、鮮やかに表現しています。あらゆるピアノ曲の中でも技術的に最も弾きにくい難曲として知られる1曲です。
亀井聖矢さんがグランプリを受賞した、2019年特級二次予選の演奏にてお楽しみください。
この"超難曲"2曲をノーミスで弾ききった瀬川悠人とは一体…?
のだめとの出会いは?
2007年に始まったアニメを、4歳の時に母と一緒に観始めました。その時のことはほんの少ししか覚えていませんが、ちょうどピアノを始めた頃で、楽しんで観ていました。何年か後に、母が漫画をまとめ買いしてきてくれて、漢字に振り仮名を書きながら、練習を忘れるくらい夢中で読んでいました。
それからは、何度も漫画を読み直したり、アニメや映画を観たり、ずっと一番好きな作品です。出会ってからもうすぐ15年になるので、いくらでも愛が語れそうなほどです。
そんなのだめ愛がいっぱいの山縣さん。お気に入りキャラクターはいらっしゃいますか?
全員好きですが、まずはやはり千秋先輩です。とにかくかっこよく見えて、音楽への向き合い方もストイックで料理が上手で憧れています。実写版の玉木宏様の声が素敵で更に好きなキャラクターになってしまいました。また、人間らしい魅力に溢れつつも、凛として弾き姿が美しい三木清良にも憧れています。
また、マルレオケのコンマス、シモンさんも好きです。気難しそうな方なのに、千秋を認めたら、良い音楽を目指してただひたすらに取り組む姿がとても素敵に感じます。
あとは、のだめが好きなアニメ「プリゴロ太」のプリリン、カズオくんです。
のだめの作中で描かれた、憧れの曲・好きな曲はありますか?
のだめが学校の試験で演奏していたモーツァルト/ピアノ・ソナタ第11番K.331<トルコ行進曲付き>です。のだめが音遊びをするように演奏するシーンは全て好きなのですが、この曲の後半にマングースの楽器隊?サーカス隊?を呼び出して、一緒に演奏するシーンが特に魅力的で、一気に大好きになりました。以前演奏したことがあるのですが、のだめのように音遊びをしながら、光の粒のような音がピアノの屋根の間から出るように、マングースたちに手伝ってもらいながら演奏するように意識して演奏していました。本当にマングースたちや光の粒が見える時がある気がして楽しい時間でした。
山縣さんは2017年のコンペティションで森永冬香さんとモーツァルト作曲「2台のピアノのためのソナタ KV448」を演奏されていらっしゃいますが、のだめ×千秋の最初の共演曲としてもおなじみですね。お2人でどんなところを工夫して演奏されましたか?
のだめと千秋の二台ピアノのシーンはやはりとても印象的です。2人で、やはりこの曲といったらのだめのイメージだよね、ということで動画を見たことを覚えています。2人で「宇宙一楽しもう」という言葉を合言葉にしていたのですが、それはのだめにも刺激を受けてのことです。以前は、モーツァルトは他の作品より気難しく堅苦しいように捉えてしまっていたのですが、のだめと千秋があまりに楽しそうに演奏しているので、自然と楽しむことができるようになりました。
あとは、うまくいかないときにのだめのように口をとんがらせたり、手が飛んだように弾いてみたりすると、力が抜けて楽しめたので、学校の練習室などで、工夫してみることもありました。
山縣さんは現役の藝大生でいらっしゃいますが、音大ってどんなところですか?
音大はのだめの世界で描かれていたように、自由で音楽と音楽愛に溢れていて、変わった人がたくさんいるところだと思っています。
週に2回、ソルフェージュの授業があるのですが、毎週のようにベートーヴェンのヴァイオリンソナタを初見でヴァイオリンの同級生と共に演奏しています。第5番の春も演奏したのですが、峰くんがベトベンの春をロックに演奏していたことを思い出すような、楽しい時間でした。そしてそれを少し風貌も変わった、素敵な先生にご指導いただける、とても楽しい授業です。
のだめで特に好きなシーンはありますか?
15巻の、教会でのだめが初リサイタルを行うシーンです。モーツァルトの格好をしながら言う「楽しんで演奏するので頑張って聞いてくだサイ」という言葉がとても好きです。言い間違えただけなのかもしれませんが、のだめらしく楽しんで演奏することを一言で表していて、素敵だなとずっと覚えています。私が楽しんで演奏することを忘れてしまいそうな時期に、ふと思い出すようにしている、大切な言葉です。
また、パリで千秋先輩がのだめにプレゼントしていたネックレスに思い入れがあります。千秋が指輪の代わりに恥ずかしそうに選んだネックレスを、のだめが嬉しそうにバスで自慢していたものです。
実写版では、とあるブランドの赤い石のハートのネックレスをプレゼントしていたのですが、このシーンを見た時からいつかこれが似合う女性になる!とずっと憧れ続けています。いつか、コンサートの時にドレスに合わせてこのネックレスを身につけることが夢です。
これまでに、上野正博氏、岩村力氏、渡邊一正氏などの指揮で、シレジアフィルハーモニー管弦楽団、プリマヴィスタ弦楽四重奏団、神奈川フィルハーモニー管弦楽団、東京交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団と共演。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、東京藝術大学音楽学部器楽科2年在学中。令和2年度東京藝術大学宗次徳二特待奨学生。現在、東誠三、日比谷友妃子の両氏に師事。
『のだめカンタービレ 新装版』第4巻が12月13日(月)に発売!
全13巻で、毎月1冊ずつ発売予定。
表紙イラストは描き下ろし!
巻末描き下ろし漫画も19p収録!
ちょっと大きめのB6サイズ。
各書店にて、好評発売中!
新装版詳細ページはこちら
のだめカンタービレ×ピティナ第10弾(2022/06/23)
のだめカンタービレ×ピティナ第9弾(2022/05/25)
のだめカンタービレ×ピティナ第8弾(2022/04/28)
のだめカンタービレ×ピティナ第7弾(2022/03/09)
のだめカンタービレ×ピティナ第6弾(2022/02/10)
のだめカンタービレ×ピティナ第5弾(2022/01/13)
のだめカンタービレ×ピティナ第4弾(2021/12/16)
のだめカンタービレ×ピティナ第3弾(2021/11/11)
のだめカンタービレ×ピティナ第2弾(2021/10/13)
のだめカンタービレ×ピティナ第1弾(2021/09/09)
二ノ宮知子先生スペシャルインタビュー