コロナ禍の1年を振り返る:その4「この1年の変化と成長」
◆アンケート
コロナ禍の1年を振り返るその4「この1年の変化と成長」
アンケート「コロナ禍の1年を振り返る」最終回は、この1年の経験が、指導者自身や生徒の成長、保護者との関係などに、どのような影響を与えたのか、という所に焦点をあてていきます。
コロナ禍という予期せぬ事態は、もちろん、起こらないに越したことはない災いでした。しかし、それに向き合ってきた1年間は決して無駄な時間ではなく、むしろ、この時期があったからこそ気づいた価値や課題の発見、新しい視点や関係性の獲得があった、という方が、非常に多くいらっしゃいました。残念ながらなかなか収束の見通しのつかず、この状態がいつまで続くか分かりません。その今だからこそ、「この1年、私は何が変わったのか。」「生徒は何が変わったのか。」を、振り返り、見つめ直す機会とし、次へのステップにつなげていただきたいと思います。
- アンケート集計は、2021/4/14時点、205名が回答
9. この1年の経験が、ご自身の指導や活動に対して、影響を与えたこと、成長を感じたことは何ですか?
生徒・保護者との関わり方
◆「続ける」ことへつながった
- 引っ越し後も、これまでの生徒さんとの関わりを続けることができ、成長を見守ることができたのは嬉しかった。
- オンラインレッスンにより、継続しやすい選択肢が増えた
- 遠方からオンラインのみの生徒さんという新しい関係ができた
◆生徒・保護者との間の理解が深まった
- オンラインレッスンは自宅で保護者の方々も見聞きしているので、保護者の理解が深まった。
- 緊急事態宣言で色々な習い事が休講になる中、ピアノをオンラインにしてもほとんどの方がピアノという習い事を辞めませんでした。保護者の方からも、生活にメリハリがついた、子供が楽しそうで刺激になった、などたくさん嬉しい言葉をいただき、改めて音楽の力を感じました。
- 「オンラインでもレッスンを受けたい」、「オンラインまでしなくても」、この考え方の違いは、これまでのレッスンの満足度や、生徒・保護者との信頼関係によると感じました。
- オンラインのレッスンやイベントを通して対面レッスンとは違う力を養うことができ、保護者ともさらに良好な関係を築くことができました。
- おうち時間が増えたため、レッスンに大切に通ってくれました。何よりも絆が深まりました。
- 色々なことを取り入れながら真摯に音楽教育に向き合う姿に信頼を寄せてくださったのか、生徒さんはより熱心に学んでくれるようになりましたし、保護者の方のこちらに対する対応も明らかに変化し、信頼関係が深くなりました。
- 「おうちであそぼう!」のマイピアノ工作や作曲家塗り絵などを夏休み企画としてやり、作品をYouTubeで保護者に配信したのが喜ばれ、新しい形でのつながりができた。
指導に与えた変化
◆レッスンの幅が広がった!
- オンラインでは生徒の様子を見ながら感情を共有することが難しいので、初めから解りやすく噛み砕いて説明する事、アクションも大袈裟にすることが身についた
- 言葉で説明する力がついた
- 対面しない事でコミュニケーションが薄くなると、生徒が練習のやり方を不安になる事があり、指導でのコミュニケーションの大切さに気付いた
- オンラインレッスンを通して『伝える』ということについて、改めて向き合う機会になりました。より分かりやすいレッスンにするために、資料や視覚に働きかける準備、そして意思疎通も細かく取ることが必要なことが分かりました。
◆オンライン経験後の対面レッスンが変わった
- 動画添削により、練習箇所や、ポイントが把握しやすくレッスンの効率が上がったようです。
- 送られた動画を何度も見返して熟考してアドバイスでき、これまで反射的にアドバイスしていたのとはまた違う観点での助言ができるようになった。
- オンラインレッスンをして、より一層対面レッスンの良さが実感できた。対面レッスンの活かし方を深く考えるようになった。
- オンラインレッスンを経て対面に戻った時、以前よりも生徒の反応や理解度に対して敏感になり、わかりやすいレッスンを提供できているように思う
- 日々のレッスンも不安な状況下の時には、楽しい連弾をしたり、子供達の気分が上がるようなレッスンを心がけるなど、生徒の気持ちに沿ったレッスンを考えるようになった。
- 生徒の使用している楽器の状態や日頃の練習環境を確認できた事で、生徒に対する理解が深まった。自宅練習や選曲のアドバイスも、より個人の楽器の状態や環境に合わせたものになるよう、考えるきっかけとなった。
生徒に与えた変化
◆レッスンへの自主性が高まった
- オンラインでのステージ参加により何度も録画に挑戦して、自分の演奏を客観的に見られるようになった
- 生徒達は自分の言葉で意見を伝えること、自制心が身につきました。
- レッスン録画を活用し、レッスンの復習の習慣が身についた
- 楽譜へ自分で工夫して書き込むことで、注意すること・箇所をより理解できるようになり、自主的にレッスンを受ける意識が高まったと思います。
◆ピアノの魅力を再発見した
- コンクールのG級特級のLive配信はリアリティと臨場感もあり、出演者の熱意が幼い生徒達にも伝わった
- 前にも増してピアノが大切なお友達、心の支えとなりピアノを習っていることを誇りに思えるようになり、自己肯定感へとつながった。
- 「おうちであそぼう!」や配信などを活用したおかげで、一人でおうちで楽しめる趣味としてのピアノの魅力に気づき、音楽好きな子が増えた。
- YouTuberピアニストの動画を見る機会が増え 『自分の好きなピアニストさん』の演奏を熱心に聴く集中力が増した。その結果色々な曲を知り、目標が増え、夢や希望につながり、クヨクヨする暇がなくなった。好きなピアニストさんがどんどん増えて、柔軟に色々な演奏スタイルを楽しみ受け入れる力、好奇心が増した。ピアノ関連の話題が家庭内で増えた。
◆心の成長を感じた
- 生徒同士の思いやりの心や気遣いに成長を感じます。体調が悪い時は他の生徒さんに迷惑を掛けてしまうと大変なのでお休みする、教室備品も次に使う人の事を考えて手の消毒をしてから使う、廊下ですれ違う時に距離を取り譲り合う…など
- 想像力がつくようになった
- 当たり前だと思っていたステージでの演奏が減り、より一層、人前で弾く喜びを感じ、1つ1つの本番を大切にするようになった。生徒たちは、舞台で弾ける大切さ、有り難さを自覚したようで、よく練習するようになった。
- 自粛期間においても、オンラインコンクールやステップなどできることに前向きに参加できた子は成長がとても感じられる
姿勢、考え方
◆全国のピアノ指導者の前向きな姿勢に刺激された
- このような中でも、新しい活動の仕方を模索し、実践している方々は本当に素晴らしいと思いました。
- 「学びをやめない」という姿勢に影響を受けました。今、何ができるかを前向きに考えられるようになりました。
- 全国の指導者の様子が聞け、刺激を受けた、参考になった。
- オンラインのセミナーを通して、全国の、すごい人、魅力ある人、素敵なレッスンをされている人など、たくさんのポジティブな方に出会うことができ、コロナ禍以前より自分自身の視野を広くすることができた。
- 様々な情報や企画を通して、自宅に一人でも、この一年時代の波に置いていかれずにすんだ
- オンラインセミナーや交流会で、内向きになりがちな気持ちが、元気づけられて前に向かうパワーをいただくことが多かったです。
◆「当たり前だと思っていたこと」の有難さを再確認した
- 普通にレッスンできる状況がどれだけ幸せな事だったのか、レッスンできなくても生徒さん達も自分なりに地道に練習して成長があった喜びなど、プラスに感じる事がいくつもあって、それはコロナがなければ思えなかった事でした。
- オンラインレッスンを経験してからの対面レッスンでは、対面レッスンの重要性を再確認しました。
- オンラインや無観客でのコンクールを経験したからこそ、音楽はやはりリアルで演奏する人と聴く人が時間と空間を共有してこそ!だと再認識しました。
- 当たり前に思っていた対面レッスン、ホールでの演奏、コンサートを楽しむことなどがとても新鮮で価値があることにあることに改めて気が付きました。
- 久しぶりにステージでの演奏を聞きましたが、一瞬にかける目の色の違いに、涙が出るほど感動しました。
◆「できない」と思い込んでいたことも、できるようになった!
- 音楽をオンラインでやりとりするということは、最初は成立しないだろうと想像していましたが、オンライン環境が世界中で急ピッチで整えられたことで、オンラインでレッスンやセミナーが可能となり、その状態を受け入れ、今はかなり馴染んできているということが大きな驚きです。昨年までは考えられなかった事です。これからまたどのように発展していくのか楽しみだとも思います。
- オンラインレッスン、zoomやYouTubeなど、今までできなかったことに色々とチャレンジして身につけることができた。
- 常識に囚われないという目線から物事を考えられるようになった
◆工夫を凝らし「できること」に精一杯力を尽くす姿勢が身についた
- 一年前は不安だらけでしたが、今は「なるようにしかならない。だからこそ真剣に目の前のことをやっていこう」と思えるようになったことは、一つ成長したのかな?と思います。
- 「できること」に感謝する姿勢、できることの中で色々と工夫する姿勢。
- 臨機応変に対応する力がついた
- 新しいことに尻込みせず、積極的に取り組む姿勢。
- どんな状況下でも知恵と勇気・工夫でピアノレッスンを続けることができると強く思った。
- 困難な状況の中、出来る事を見つけて工夫する機会が多かった一年でした。振り返ると、その経験があったからこそ、私自身「今後、どんなことが起きても何とかやっていける」という自信が出来たと感じます。
10.現在の悩み、知りたいことなど
◆オンラインレッスン関係
- オンラインレッスンのレッスン料
- オンラインレッスンにする基準
- オンラインでのソルフェージュ、グループレッスンの仕方
- オンラインレッスンでの手間をどこまでかけるか
- オンラインレッスンの普及により「地域の中で選ばれる教室」から、相手が世界中に
- リモートワークと騒音の苦情
- zoom、マイク、カメラ、スピーカー、接続等のおススメの情報
- いつまでオンラインが続くのか、どこまで力をかければいいのか
◆教室運営
- コロナで生徒減、収入減
- 新規入会者の募集
- コロナでお断りする場合の基準(保護者の入室、参加、観客…)
- 感染対策とレッスン、発表会、コンペ等参加の判断
- 感染対策を施した発表会の開催の具体的な対策、アイディアの事例
- 月謝の電子マネー化
◆レッスン内容
- 歌えない中でのソルフェージュ
- 集中力のない子、練習してこない子へのアプローチ方法
- 音色や脱力など言葉にしにくいことをどう言語で伝えるか
- 自宅での練習の進め方
◆楽器関係
- 楽器購入の勧め方
- 家庭で電子ピアノの生徒のレッスン、コンクール参加
◆コンクール関係
- コンクールへの誘い方
- 課題曲チャレンジでの録画方法のアドバイス
- 動画でのコンクール、オーディションの実態、アドバイス
◆継続に関して
- 学校、塾、コロナ禍での減収などの理由で継続が難しい場合の対応
- 中高生でも続けたくなるレッスン、レパートリー、ポピュラーとクラシックの取り入れ方
◆インターネットの活用
- SNSの活用法、注意すべきこと
- ホームページ開設、充実のアドバイス
- 動画の編集アプリ、方法
- LINE公式アカウントの使い方
- 教室PR動画の作成