ピティナ調査・研究

コロナ禍の1年を振り返る:その3「オンラインの活用様々な事例」

◆アンケート
コロナ禍の1年を振り返る
その3「オンラインの活用様々な事例」
8.この1年の経験を通じて、今後続けたいと思う取り組みは何ですか?

オンラインレッスン以外で、今後も続けたいと思う取り組みとしては、大きく分けて「オンラインを活用した勉強の機会」「オンラインを活用した演奏発表の機会」でした。

オンラインセミナー、勉強会について
◆オンラインセミナー活用例
  • 地元のセミナーだけでなく、以前は諦めていた遠方のセミナーも受講できた
  • 会場への移動がなく、時間・労力・お金の節約になり、より多く受講できた
  • たくさんのセミナーを受講できるため、以前より幅広いテーマを選択できるようになった
  • 自宅なので、楽譜や資料がすぐに手に取れる、楽譜を大きく広げながら受講できる
  • ミュートにして実際に音にして確かめながら受講できる。会場で弾くよりハードルが低く参加しやすい
  • 講師の方も多くの資料を広げたり、画面共有したりと、資料の提示が充実している
  • 全員が最前列なので講師の手元や資料が見やすい
  • eラーニングよりも緊張感があり刺激的
  • 全国の先生方と一緒に学べて刺激を受けている
  • 指導者ライセンスの受検のペースが上がった
  • 自宅から参加できるので、勉強会の参加人数が安定している

上記のような、オンラインでのセミナー、勉強会のメリットを多く感じる一方、現地での講師の生演奏による解説は、よりダイレクトに感動が伝わること、セミナー前後の交流など、現場でないと味わえないよさもあることも感じられていました。今後の取り組みのスタンスとしては、下記のようなご意見が多くありました。

◆オンラインセミナーへの今後のスタンス
  • コロナがおさまっても、オンラインセミナーは継続して受講したい
  • 授業形態やテーマ、日時や場所によって、今後はオンラインと対面とをバランスをとりながら、よく選んで学び続けていきたい
  • 今後はオンラインでの講座や会議など、参加だけでなく企画や発信もしていきたい
  • オンラインと対面とを合わせたハイブリッド方式の勉強方法の充実を図りたい
  • 逆に対面でしか出来ないセミナーや勉強会などの充実を図りたい
  • セミナーのオンライン配信を生徒にも見せたい

このように、感染症対策としてだけではない、オンラインならではのセミナーや勉強会の価値を見出し、対面の価値も見つめ直し、オンラインと対面との両方の良さをうまく学びに活用したいと考えている指導者が多いことが分かりました。また新たに、両方を組み合わせたもの、対面ならではの価値に特化したもの、生徒へも対象を広げたものなど、新しい時代に合わせた企画の萌芽と思われるものも見られました。

オンラインでの演奏発表について

課題曲チャレンジを始めとするオンラインでのコンクール参加も、この1年で初めて取り組んだ人が多い企画でした。

◆オンラインコンクールの活用例
  • オンラインのコンクールの参加を通して、演奏を『録音→聴く』を繰り返し行う中で、練習の必要性を生徒自らが感じるようになった
  • 録音を客観的に聴くことで、練習意欲が高まった
  • 本番が他の行事と重なってしまっても動画なら参加を諦めずに受けることできた
  • 録音環境を整え、演奏したものをより良い音で伝えることについても考える機会となった
  • 従来の形のコンペはやはりあって欲しいですが、課題曲チャレンジは色々な生徒が参加しやすく、また、親子でのびのびと取り組み、楽しむ画期的な企画だった
  • 課題曲チャレンジは好評で、やってみたいという生徒が多く、今年は何かしらの形で課題曲に全員が取り組む、という予定

オンラインでのコンクールに関しては、参加を通じて、結果よりも、提出に至る過程での「録音を聴く」ことや「家族で協力」などに価値を見出したという意見が多くありました。

また、一堂に会しての開催が困難となった発表会や弾き合い会、クリスマス会などの代替手段としてYouTubeなどを活用した「オンライン発表会」の実施も広がりました。

◆オンライン発表会等の活用例
  • 演奏録画をYouTubeで共有する形のオンライン発表会、弾き合い会は思いのほか好評だった
  • ホールで少人数ごとの小さな発表会を何回にも分けて実施し、後日オンラインで配信し、聴けなかった方の演奏を視聴していただく形にした
  • 他の方の演奏も聴けるようにYouTubeで共有した所、祖父母にも見せられて良かったと言われた
  • オンラインというツールが生活の中にある子供たちにとっては、YouTubeを使ったコンサートは大変興味があるようで、自粛で色々な行事や楽しみが激減した中、貴重な楽しみとなったようだ
  • アンサンブルができなかったので、YouTube限定公開でリモートアンサンブルを行った
  • 発表会、ステップ、クリスマス会などの演奏や流れを動画でYouTubeに投稿していつでも振り返れるようにしておくと、子供は成長の記録(※限定公開)となるし、大人(※一般公開)は生徒さん同士の刺激となる
  • コンサートのオンライン配信が増え、上京しなくても素晴らしいコンサートを聴くことができた。生徒にもいい演奏を聴かせやすくなった
  • ブルグミュラー全曲演奏会を開催(生徒が分担して演奏したものをDVDにし、試聴して好きな演奏ランキングを発表)。小さな会でも、工夫してやる事で、連帯感が強まり、関心も深まりました
◆オンラインでの演奏発表についての今後のスタンス
  • コロナ対策への一人一人の考えや気持ちが違い、まだ会場審査が怖いという生徒もいるので、オンラインや動画でのステップやコンクールなどを上手に取り入れたい
  • 今後も、ホールでの演奏会が叶うようになっても、オンラインでの共有や、記録として残す方法は、継続していきたい
  • ステージとオンラインと両面で力を発揮できるような演奏を目指したい
  • 動画用に、マイクなどの機材をよくしたい
全体を通じて、今後の取り組みのスタンスは
  • レッスン、コンサート、演奏会、コンクールなど、いずれも対面でできない状況の時は、中止ではなくオンラインを検討したい
  • この1年で色々と挑戦して、オンラインでも十分対応可能なこと、難しいことなどが分かったので、時と場合によって対面とオンラインとを選択しながら取り入れたい
  • 自信をもって推奨できる質の水準に到達できるよう、さらに情報収集して拡充したい
  • オンラインでも伝わる会話の仕方を学びたい
  • オンラインの良さと実地の良さを取り入れたイベントやレッスンを考えていきたい
  • 教室のウェブサイト、YouTubeチャンネルの開設、充実を図りたい

次回は、この1年を通して感じた成長、変化などを特集します。