ピティナ調査・研究

第18回 ソナタ第7番 Hob.XVII/D1 ニ長調

ハイドンの世界
SONATA No.7 Hob.XVII/D1 Tema(Var.1-3)-Menuet-Finale

この曲は第1楽章が変奏曲になっていて、16小節の小規模なテーマが3回変奏されます。拍子は一貫して4分の2拍子、さらに全てニ長調で書かれていますが、全てのヴァリエーションが異なる性格になっていて、とても面白い作品です。2楽章は少しおっとりとした雰囲気のメヌエット。そこから一転して、今度は賑やかで対話のような旋律が多い最終楽章が始まり、華やかな雰囲気のうちに終わります。

第1楽章
第2楽章
第3楽章
ハイドンひとことメモ
「第18回 ハイドンとモーツァルト その5」
前回のひとことメモでは、モーツァルトがハイドンを自宅に招き、ハイドンからインスピレーションをうけて書いたハイドン・セットと呼ばれる弦楽四重奏を演奏したところまでを書きましたが、それから5年後、モーツァルトは35年の短い生涯を閉じます。モーツァルトの死を知ったハイドン(この時58歳)は、次のように言っています。
 「私は親しい友人達を胸に抱く為に帰郷するのを子供のように楽しみにしています。ただ、偉大なモーツァルトが死んでしまった事がもし本当なら―もちろん私はそんな事は望みもしませんが―、彼を胸に抱けないのが残念でたまりません。後世は百年たってもこれほどの才能を再び得る事はないでしょう。」
ハイドンとモーツァルトについて、5回に渡りここでご紹介してきましたが、このふたりの作曲家が運命的に出会い、お互いの音楽を高めあってきたという点で、音楽史上でも重要な出来事のひとつだと私は思います。
 また、第13回の連載でもとりあげた名曲「アンダンテと変奏曲」は、このモーツァルトの死を悼んで書かれていると言われています。