ピティナ調査・研究

テーマ型情報交換会レポート: 体験レッスンを考える

新しい生活様式・新しいレッスンスタイル
「新しい生活様式」のレッスンが求められる中、感染予防対策を実施しつつ、対面とオンラインの特性を生かしたレッスン・指導・アドバイスを工夫している先生方がたくさんいらっしゃいます。「Stay at Home, Keep on Music」では、少しずつでも、各地の先生方の体験・情報・ノウハウをできる限り多く集め、この状況のなかでできることを応援してまいります。
テーマ型情報交換会レポート:「体験レッスンを考える」

2021年12月10日(金)、テーマ型情報交換会が実施されました。「体験レッスンについて考える」というテーマのもと12名の指導者が集まり、体験レッスンで工夫していることやお悩みをお話しいただきました。たくさんのアイディアを共有しましたので、その一部をQ&A方式でご紹介致します。

体験レッスンで工夫していることはありますか?
  • 楽器店で教えていた頃は、生徒さんの年齢層も高く突然ピアノに向かってもレッスンを進めることが出来ました。対して、現在私の教室に体験しに来るのは未就学のお子さんです。まず、その場に慣れるのにも時間がかかります。遊びの延長でピアノの蓋を開けて弦を見てもらいながら「今から弾くから中に注目してねー」と楽器や教室の雰囲気に慣れてもらうことから始めています。(里見 恵 先生/千葉)
  • 内容は来る人それぞれで対応しています。初めての方には導入を、他の教室から来る方には今まで使っていた教材からやって徐々に移行していっています。間口は広くしておきたいとは思いますが、「優しい」「怒られない」というイメージありきの教室になってしまうとその後大変なので、体験の時にある程度自分のカラーを出す必要があると思っています。(石村 美樹 先生/福岡)
  • 時間が前後してクレームに繋がるのを防ぐため、20~25分のレッスンと10~15分の面談、最大45分の体験という表記にしています。また、「おみやげ」をお渡ししています。用意した紙に丸やト音記号を書いてもらい、そこに花丸と先生の名前を書いて「これをお家の人に見せてね」と言って渡します。「ピアノ教室は楽しい」というイメージを子どもだけではなく、ご家族全員に持ってもらうことが大切だと思います。(德増 美智子 先生/神奈川)
  • 私自身が「この先生がいいな」と思ってもらえるように、自分自身も色々な趣味の教室(料理など)の体験をして勉強しています。一生懸命入会させようとしている感じがすると「違うかな?」と思いますし、その場の「香り」「空気感」が魅力的であることも大事だと思いました。(和田 みさ子 先生/東京)
体験レッスンの時間と料金はどのくらいですか?

アンケートをとったところ、無料の方が5人、有料の方が7人という結果でした。
無料で体験レッスンを行う方の主な理由に多かったのは「多くの人にピアノを始めるきっかけを作りたい」というもので、有料の方からは「体験レッスンで使うものにお金がかかる」「全く知らない方をお家に上げるため、ひとつの防衛策として」等の理由が挙がりました。
また、入会後に体験料を返金したり、入会金からその分を差し引くなど、入会に繋がった方の負担を減らす工夫をされている先生もいらっしゃいました。料金は500円から2,000円と幅広く、時間は30分~45分とされている方が殆どでした。(本部事務局より)

  • エリア内の体験レッスン料の相場と自分のレッスン室の環境、レッスン枠の埋まり具合などを考慮して値段設定をしています。(R.T.先生/広島)
  • 教室を始めたばかりの頃はどんな生徒さんも受け入れてしまい、そのストレスで体調をくずしてしまったので、始めて間もないころの不安はよく分かります。今は、レッスンを続けるのが難しいと思う方には、時期を改めてもらったり、他の先生を当たってみるよう勧めることもあります。その時に「体験レッスン料はお気にされないで結構ですので…」と譲歩したり、柔軟に対応しています。(蘭 朋美 先生/神奈川)
体験レッスン料に現金以外での清算方法を取り入れていますか?また、キャンセル時の対応はどうしていますか?
  • PayPayで支払ってもらっています。キャンセル例は実際にはないのですが、その場合も頂くように事前に連絡しています。(事情がある場合は振り替え、完全にキャンセルの場合はPayPayで請求)(E.O.先生/東京)
レッスン終了から入会までに気をつけていることはありますか?
  • 以前、体験したその場で入会が決まった後に「夫から反対されて…」ということがありました。体験時はどうしても気分が高揚していますし、冷静に判断することは難しいですよね。現在は、お子さんにも「ピアノは毎日少しずつやるんだよ」とお話し、練習の時間を確保できるかどうかを話し合ってもらった上で、一週間以内にお返事を頂くようにしています。(尾野 美和 先生/東京)
  • 連絡先や規約などを書面でお渡ししています。体験時の盛り上がっているときではなくて、お家で規約をお読み頂きながら落ち着いて検討してもらっています。その期間にも、他の生徒さんや新たな入会希望の方がいるため、きちんと回答の期限を決めています。
    また、ブログの中で体験教室についてのFAQを記載しています。このおかげで、生徒さんとの大きなミスマッチを防ぐことが出来ました。(S.S.先生/栃木)
規約を紙以外で共有していますか?
  • 体験にいらした際に紙で渡していますが、HPにもPDFで規約を載せていて「興味がある方は規約を読んでから来てください」と記載しています。(德増 美智子 先生/神奈川)
  • 公式ラインアカウント内で共有しています。規約以外にもカレンダーなどもお知らせを公式ラインでやっています。(E.O.先生/東京)

東音企画のレッスンタイムには規約を作成するフォームがございます。これから規約を作成される方は是非ご活用ください!(本部事務局より)

体験レッスン終了してから返答が来ない方に連絡はしますか?
  • 規約や名刺とは別に確認事項をまとめたプリントを渡していて、そこに2週間以内に連絡をと記載しています。また、体験終了後に挨拶のメールは送っているので、期限内にご連絡いただけなかった場合はこちらから催促はしていません。(E.O.先生/東京)
  • こちらが設定した期限(2週間)の最終日に「ご検討されましたか?」と連絡をしたところ、連絡したつもりになっていて入会に繋がったケースがありました。(尾野 美和 先生/東京)
アコースティックピアノの購入を進める際どのようにお声かけしていますか?
  • 経済的に購入が難しいご家庭には、最初は電子ピアノを勧めます。その段階では10万円前後のものを買っていただくようにしています。一年ほど経つと、お子さんの成長を見てアコースティックピアノの購入も前向きに考えてもらえるようになりますよ。また、中古ピアノでも良く調整されたものであれば十分使えるので、その辺も視野に入れてご検討頂くと良いと思います。(R.T.先生/広島)
  • 初めからアコースティックのピアノを購入されるご家庭は少ないですよね…それを踏まえて、体験レッスンのときに「ピアノを始めるのには初期費用がかかる」とお伝えしています。サッカーで言うところのユニフォーム、ボール、スパイクに値するものがアコースティックピアノなんですよという風にお声掛けをしています。(春名 さおり 先生/福岡)
★過去の交流会のレポートを公開しております。併せてお読みください。

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