会員情報交換会:みんなは何を使ってる?ピアノ教材
新しい生活様式・新しいレッスンスタイル
「新しい生活様式」のレッスンが求められる中、感染予防対策を実施しつつ、対面とオンラインの特性を生かしたレッスン・指導・アドバイスを工夫している先生方がたくさんいらっしゃいます。「Stay at Home, Keep on Music」では、少しずつでも、各地の先生方の体験・情報・ノウハウをできる限り多く集め、この状況のなかでできることを応援してまいります。
会員情報交換会:みんなは何を使ってる?ピアノ教材
2020年8月27日(木)、オンラインにて会員向け情報交換会を開催し、全国各地から18名の先生方にご参加いただきました。今回のテーマは「教材」について。導入期の教材をメインに、読譜やテクニックを身に着けるためのアイデアをたくさん共有していただきました。常に進化し続けるピアノ教材。今回の情報交換会の中で見えてきたイマドキの教材事情の一部をご紹介します。
導入期の教材はどのようなものを使っていますか?
- 『ピアノひけるよ!ジュニア』使っています。「チューリップ」など、子どもたちでも知っている曲ばかりが入っていることが特徴です。(矢崎 恵子先生/東京)
- いくつかの教材の中から、生徒の理解度に応じて教材を選んでいます。3~4才のお子さんで右左や数を数えることができる生徒さんには『バスティン・ピアノパーティ』を、まだ難しいけれど早くピアノが弾きたい!という生徒さんには『ゴーゴーピアノ』を、さらに小さいお子さんには『わくわくワ~ク』を使っています。まだピアノに興味が持てないお子さんには、『プレ・ピアノランド』を使ってリトミックをしています。最近セミナーで教えていただいた、石黒加須美先生の『おんがくあそび』もシール貼りができるので楽しく取り組めます。(柏木 静子先生/神奈川)
- 『バスティン・オールインワン』をメインに使っています。アプリで模範演奏を流せるため自宅で復習ができますし、アップテンポの曲調が今の子供たちの感性に合っているようです。『がんばれキャッツ』という教材は2才くらいの生徒にも使えます。ドはドングリ、レはレモン…というようにイラストで音を覚えていくので、楽しみながらドレミが読めるようになります。『バスティン・オールインワン』と進度がマッチしているので、同時に進めています。(山﨑 朱紀子先生/神奈川)
- 『オルガンピアノの本』と『ぴあのどりーむ』をメインに使っています。(馬嶋 光代先生/福井)
小さいうちからしっかりと読譜力を身に着けるためには?
- 黒河好子先生の『フラッシュカード』を活用して、音符をまとまりで読む練習しています。(矢崎 恵子先生/東京)
- 読譜で私が一番大事だと思っていることは、ト音記号とへ音記号を同じように読めるようになることです。例えばバイエルを使った導入だと、最初はしばらくト音記号なので、へ音記号が苦手になってしまわないようにフォローする必要があると思います。(末高 麻美先生/東京)
- 呉暁先生の『うたとピアノの絵本』は右手と左手が別の本になっているので、ト音記号とへ音記号が混同することなく指導できると思います。(山﨑 朱紀子先生/神奈川)
- ある程度弾けるようになった生徒には、ツェルニーの『100のやさしいレクリエーション』を使って初見の練習をしています。(渡部 恵深先生/島根)
しっかりとした手の形やテクニックを身に着けさせたいのですが、良い教材やグッズはありますか?
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指先の強化には『玉ひも』を使っています。その他に指先の強さが音でわかるオリジナルのグッズを作りました。車での移動中など、ピアノの前にいなくてもトレーニングができます。(高柳 智子先生/栃木)
- 私もピアノから離れてできるトレーニングを取り入れています。第一関節を鍛える器具を取り入れたり、『どこでも紙鍵盤』を用意して、手指の形が崩れていないかをご家庭でもチェックしてもらっています。(馬嶋 光代先生/福井)
- 最近ロシア奏法を勉強し始めました。このメソッドでは3の指を軸にテクニックを強化するようです。(西森 有里先生/東京)
マルをあげるタイミングについて迷っています。皆さんはどのような基準で次に進めていますか?
- 生徒自身が納得できる仕上がりになったらマルをつけています。(吉田 真理子先生/滋賀)
- 私の教室では弾いた曲にシールを貼るようにしています。たくさんシールを貼ったら次の曲に進むというルールです。(菅田 美早希先生/東京)
- マルの基準は生徒によって変えています。例えば、部活や勉強でなかなか練習時間が取れない中学生の場合、ツェルニー40番は4ページのうち2ページでもできたらOK、というように工夫しています。(末高 麻美先生/東京)
保護者が「私はこの教材を使っていたので…」と自分の経験と対比させてくる場合がありますが、どのように対応したらよいでしょうか?
- 新しい教材を使う際は、どうしてこの教材を使うのか、現在どんな課題を抱えているのか、という点を保護者に説明するようにしています。実際にレッスンで躓いている部分を動画に撮って保護者に見せてあげることで、納得してもらえます。(西海 愛先生/栃木)
導入期後はどのように教材を進めていますか?
- ぴあのどりーむの3巻でハ長調が出てきたら、すぐにバイエルのハ長調の音階に入っています。バイエルは曲数が多いので抜粋しています。(矢崎 恵子先生/東京)
- 教則本が必要だと感じた生徒には、「このテキストをやればこれからもっと上手になるよ」と声がけをし、本人に納得してもらった上でテキストを変えています。佐々木邦雄先生の『ふたりのチェルニー30番』を使うと楽しく取り組めるのでおすすめです。とはいえ、教則本を弾かなくても上手な生徒はいるので、テキストの進捗状況は実力と関係ないと割り切るようにしています。(渡部 恵深先生/島根)
- バッハやツェルニーをやりたくないという生徒さんには無理に進めていません。好きな曲を弾きながら、テクニック面での課題が出てきたらその都度スケール等で克服するようにしています。(麻生 真樹先生/東京)
2~4歳の小さい生徒さんが発表会に出る場合、おすすめの曲はありますか?
- 『まいぴあの』はどうでしょう?素敵な伴奏もついているので、お勧めです。(高柳 智子先生/栃木)
- 轟千尋先生の『ちいさなおんがくかい』はおすすめです!片手のみで弾けるので、体験レッスンでも楽しく使える教材です。伴奏パートは先生向けですが、兄弟姉妹で演奏しても素敵です。(西海 愛先生/栃木)
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