特級2021「二次予選を聴いてみよう」vol.2
7月31日・8月1日に、特級の二次予選が行われます。二次予選進出者の素顔に迫る「インタビュー動画」や特別番組もピティナ・ピアノチャンネルにて随時公開中です♪
特級2021 特設サイト今回は特級の二次予選に先立って、二次予選進出者25名が演奏曲目の中から自ら選んだ「推し」曲を作曲家ごとに紹介します。
二次予選はライブ配信も予定しています。こちらもお楽しみに!
リスト最大の小品集「巡礼の年」は、彼がスイスとイタリアで見聞した風物への印象を音楽で表現したものです。「オーベルマンの谷」は、リストがフランスの作家であるセナンクールの自伝的小説「オーベルマン」に霊感を受けて作曲されました。「オーベルマン」には、フランス革命後の失望によって生じた不安や憂鬱が忠実に記録されており、リストはその内面的な心情を革新的な和声によって効果的に描いています。
第2年「イタリア」は、リストがこの地で接したルネサンスの巨匠たちによる作品からの印象を音に綴ったものです。この作品はダンテの叙事詩「神曲」の第1部「地獄篇」を読み、インスピレーションを得て作曲されました。ダンテが描く壮絶な地獄の情景を、リストは突進するようなパッセージや重厚な和音によってピアノで表現しています。
リストがローマに移り住んだ1861年から63年にかけて作曲され、作品それぞれに長大な標題が書き添えられています。2曲とも聖フランチェスコにまつわる伝説をそのまま音に描写した音楽で、第1曲は小鳥に教えを施す場面、第2曲は波の上を歩いたという伝説が題材になっています。第2曲ではユニゾンによって聖フランチェスコが歩く様子が、トレモロやスケールによって海の様子が音画的に表現されています。
副題には「フォリア・デスパーニュとホタ・アラゴネーサ」と書かれているように、2つのスペインの伝統的な素材に基づき構成されています。「フォリア・デスパーニュ」は17世紀ごろから伝わる民族的なメロディで、曲はアルペジオを多用したカデンツァ風の華麗な序奏で始まります。続いて「ホタ・アラゴネーサ」はスペインの熱狂的な民族舞曲で、リストもオクターヴを多用し力強く激しい曲想へと仕上げています。
「ノルマの回想」は、ベッリーニのオペラ「ノルマ」の中から7の旋律をもとに、リストが自由に構成したパラフレーズ(編曲)です。7の旋律は合唱および重唱が用いられ、ピアノでは再現が困難と思われるアリアは使用されていません。曲の終盤に登場するノルマとドルイド教徒の合唱「戦争だ、戦争だ」を題材にした部分は、超絶技巧が連続し華々しいクライマックスを迎えます。
ピアノ音楽史上で多くのバッハのオルガン音楽が編曲されましたが、リストはその先駆けともいえるでしょう。リストの編曲手法によって、バッハのオルガン作品が見事にピアノで再現されています。フーガでは、旋律がオクターヴで演奏されたり即興風にアレンジされるなど、時折バッハの中にリストの超絶技巧が顔を覗かせ、バロック音楽特有のポリフォニーとリストのヴィルトゥオーソ音楽の融合が図られています。
「夜のガスパール」は、アロイジュス・ベルトランの詩集から霊感を得て作曲された情熱的な作品です。ラヴェルは奇怪かつ幻想的なベルトランの詩を、巧みに情感をコントロールしながら見事に音で表現しています。第3曲「スカルボ」は、次々に音楽が変化する複雑な構成をとり、冒頭から繰り広げられる激しい音のぶつかり合いが、この曲全体の響きを特徴づけています。
原曲は管弦楽曲で、のちにラヴェル自身によってピアノ2台用やピアノ独奏用に編曲された作品です。ラヴェルは、「ラ・ヴァルス」をウィンナーワルツへの一種の礼讃として作曲しました。この作品は低音によって混沌とした雰囲気で始まり、ワルツのリズムがあらわになるにつれて発展していきます。曲の終盤では息の長いクレッシェンドや強奏が持続し、その中でグリッサンドや重音によって緊張感を高められ、劇的なクライマックスを迎えます。
vol.1:シューベルト/ショパン/シューマン
vol.3:シマノフスキ/プロコフィエフ/ラフマニノフ/スクリャービン/三善晃