066.耳の要求がどのくらいか?それで音楽のレベルが決まる!
前回は、日頃から自分の中に先生を置いて、良い練習をする大切さを述べました。
その先生の「耳のレベル」が高いとさらに良い音楽になります!
どんな音を耳が求めるか? 音の高さとリズムがあっていたら良い?あるいは、そこに合う音色を探すのか?
何となく弾いているリズムで良い?
あるいは、心から弾むリズムを望んでいるのか?
自分が求めないと、何も始まりません。
コンサートを前に、暗譜をした時点でほっとしてその後下手になってしまう子がいます。出来上がったと思った瞬間、それ以上に上手くはなりません。
弾ければ良いというレベルで止まらず、本番寸前まで、もっと良くならないか考え、常に上を目指して欲しいです。どこが最高かは誰にもいえませんが、自分への要求はいくらでも、あってよいと思います。
心の中の要求はかなわないレベルでも良いのです。
こうありたいという理想は、可能性に関係なく高いほうが良いと思います。
出会った曲を誰よりも上手く弾きたいと思うのは自由です。「大それたこと」と、批判されることはありません。ピアニストのCDの演奏より上手くたって良いのです。そうありたいと思って適切な積み重ねをし、可能性を信じてがんばればよいのです。
なんとなく弾くのでなく一番近くで聞く自分の耳でよく聴き、高い要求をし、それを求め、心を込めた演奏をしましょう。ステキな音楽に触れて「更に気分が良い」というサイクルになると良いですね。
そこにはCDよりもっと現実的な、自分にしか出来ない音楽の世界があるかもしれません。
自分の耳をごまかさない!
理想を下げない!
良い演奏を目指すことに遠慮はいらない!
耳の要求で、音楽のレベルが決まります。
まずは高い「要求」を持って、レベルを常に上昇させたいですね。
とはいえ、実際の練習過程では少しでも前より良い演奏に近づき、「その時点で良い気分になる」ことも大切です。理想に近づけない現実に嘆くのではなく、少しでも理想に近づいたことも喜びましょう。
理想が遠いほど、近づくまでの楽しみも多いかもしれませんね。
いろいろなタイプの生徒がいます。
演奏会やコンクールで、仕上げ時期にリハーサルをします。
気合が入って「よく弾けた!」と思う子がいました。ところが、褒めると次のレッスンで、なんと後退しています。
自分でも「良く弾けた」と思ったのでしょう。こちらは「これであと1週間あれば、立派の演奏になれるだろう」と思っていたのですが、褒められるともう安心して、「それ以上良くしよう」とは、思わなかったようです。
かえって、他の人の演奏で刺激を受け「これはがんばらなくては!」と思った生徒が、急に人が変わったように上手くなることもあります。
必ず「まだ、まだ」と、常に前の自分より良い演奏が出来ている事を目指して欲しいです。