ピティナ調査・研究

023.違う音を出すためには違うタッチ

100のレッスンポイント

音を空中に生みだす。
 やはり、きれいな音がいい!
 響きわたるような音がいい!
 キラリとした氷のような音
 暖かな光のような音も良い。

音を出すのは直接的には指先ですが、それ以前に「頭」が指令を出さない限り、何も生まれません。
美しさを目指す「贅沢な心」が、「頭」を通してイメージを指に伝えるのです。

どんな音を出したいのかイメージすることがまず大事です。連載21回で、経験とともにいろいろな音色が生まれてくると述べましたが、そうして作りだされたいろいろな音は、必ずそれぞれ違うタッチで弾かれています。

 

分かりやすくまとめてみると、、
・打鍵のスピードが速いと、はっきりした音
・打鍵のスピードが遅いと、やわらかい音
・打鍵が強いと、重みが乗った音、
・打鍵が弱いと、重みが乗っていない軽い

以上の上2つと下2つをそれぞれ組み合わせると、、

・打鍵が弱くて遅い繊細な音
・打鍵が弱くて速い⇒キラキラしたクリアーな音
・打鍵が強く遅い豊かな深い音
・打鍵が強く速い力強い音

という「原則」が導き出されます。

この原則を頭に入れ、イメージしている音が4つのうちどれに近いのか、考えてみましょう。そして、生まれてきた音を聴き、確かめ、さらに極めていきましょう。すべては、深さ約1センチの鍵盤を下ろす際に起こることですが、弾き方次第で、出てくる音はかなり違います。自分の音を聴く経験を重ねるうち、徐々に、様々な音の出す技術が蓄積していくのではないかと思います。宝石をためていくように、自分の美しい音をためていけると良いですね。

鍵盤を離す(離鍵)スピードにも気を配るようにしましょう。さらにいろいろなタッチが生まれ、一段上の音作りができます。

上の「原則」を知った上で、わかりやすい言葉を使うのが、効果的だと思います。「チョコレートがとろけるような甘い音」とか「光が海に当たっているような音」など。
特に小さな子に対しては、「打鍵のスピードをゆっくり」などと言うより、「アリス(我が家の愛犬)を怒らさないよう、優しくなでてあげるような音」というほうが、より柔らかい、ドルチェの音が出るようになることが多いです。

試してみよう

<音作り>
和音で「4種類の音」を弾き分けてみましょう!
いちいち「弱く、遅く」などと考えていると混乱しがちですから、まず4種類それぞれに、色や物の名前を割り振ってみます。

弱く、打鍵のスピードが遅い=(淡い)黄、雲
弱く、打鍵のスピードが早い=金、小鳥
強く、打鍵のスピードが遅い=緑、お父さん
強く、打鍵のスピードが早い=青、大太鼓

では、同じドミソの和音を、音色を変えながら弾いてみましょう。たとえば、、

「黄、金、緑、青」
「黄、青、黄、緑、青」
「雲、雲、お父さん、小鳥、大太鼓」・・・
弾き分けられましたか?
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