ピティナ調査・研究

第12回:YouTubeアナリティクスでチャンネルの診断をしてみましょう

Youtube活用講座
第12回
YouTubeアナリティクスでチャンネルの診断をしてみましょう
  • アナリティクス
  • YouTube Studio
  • チャンネル

ここからはすでにYouTubeチャンネルをお持ちの方を対象に、「YouTubeアナリティクス」と呼ばれる分析ツールの基本的な使い方をご紹介いたします。

この分析ツールはチャンネルをお持ちの方であれば誰でも使用できるものです。「日に何度もチェックしちゃうんだよね!」という数字大好きなクリエイターもいれば、登録者が数十万人の人気チャンネルを運営されている方でも「一切見ない!」という方もいるなど様々です。

「分析なんか必要無く、感覚によるコンテンツ作りで実際に成功している!」という方もいらっしゃるわけですが、それでも、いずれ「伸び悩む」時はきますし、もっと「成長角度を上げる可能性」を知れるツールだと思います。

そんな分析ツール「YouTubeアナリティクス」ですが、この講座では大きく3つの使い方に分けてご紹介していきますが、

  1. チャンネル全体を分析する
  2. 動画単位で分析する
  3. 動画をグループに分けて分析する(例えば企画別、出演者別など)

まずは「1.チャンネル全体の分析」を具体的な事例と共に解説させていただきます。

概要

YouTubeStudio>アナリティクス と進むと「概要ページ」があります。

文字通り、チャンネルとしてのパフォーマンスの概略を確認できます。

上のサンプルは「概要」で確認できる「視聴回数」の推移となります。

53.0万とあり、右側にチェックマークがありますが、これまでの傾向と変化が無く現状維持の場合、このマークが付きます。

このケースの場合、何が読み取れるかというと、

  • 過去28日間の合算としての視聴回数はこれまで同等のパフォーマンスだが、デイリーの推移として見てみると右肩下がりでちょっと心配

というところでしょうか。

当然ながらチャンネルは更新タイミングで視聴回数が増えるのが通常ですから「どのタイミングでどれくらい更新したっけ?」というところも気になります。
それは推移の日付の下にあるマークで確認できます。

これはその日(期間)に動画を公開したというマーク
これはその日(期間)にLIVE配信を公開したというマーク
これはその日(期間)に2本のコンテンツを公開したというマーク

となります。
上のケースですと、特に期間内で更新頻度が落ちた、ということではなさそうですから、更新頻度が問題になって右肩下がりということではありません。

いや、そもそも28日前がたまたま調子が良かっただけで、現状が右肩で下がっている(現時点が特に調子が悪い)というわけでない、ということも考えられます。

それをチェックするには、対象期間を変えることで確認ができます。

画面右上(PCで見る場合)にレイアウトされているこの期間設定ですが、例えば90日に変えてみると…

上記のように過去90日間の推移を確認することができます。

このケースの場合ですと、過去28日前が特別良かったわけではありませんでした。

90日間という中期で見た場合にもやはり右肩下がりで微減傾向にあり、その中でも特にこの28日間の減少が大きいということが分かります。

再び過去28日間に期間を戻して、他の指標を見てみましょう。

視聴時間は7.1万時間となりこちらも変化無しですが、チャンネル登録者数は通常よりも良いということで上昇のマークがあります。デイリーの推移もチェックしたいので、チャンネル登録者をクリックしてみると…

デイリーの推移で見てみるとこちらも過去に比べて良いということはなく、右肩で減少していることが確認できます。

ですので、ここまででいったん整理してみますと…

  • ここ1か月くらいで特にチャンネルの成長(視聴回数、チャンネル登録者)が鈍化してきている
  • 更新数は変わらないので、ほかの理由である

ということが推測できます。
そんな問題意識をもって他の項目を見てみましょう。

概要のタブの横にあるのが「リーチ」です。

どれくらいYouTubeの中で露出され、どれくらい視聴に繋がり(クリック)、結果としてどれくらいの頭数で、どれくらい視聴されたのか、ということになります。

このケースの場合は過去28日間の合算では、インプレッション数(露出数)は若干上がったけれども、クリック率が下がったので、視聴回数は下がったけど、視聴者の「頭数」は逆に増えているということになります。

ただ、デイリーの推移でインプレッション数を見てみると、こちらも右肩で下がっていることが確認できます。インプレッションの減少が、チャンネルの成長を鈍化させているようです。

では「なぜインプレッションが落ちているのか?どのように落ちているのか?」という問題意識をもって次を見ていきます。

「リーチ」の下部にレイアウトされているのが、その内訳です。

  • トラフィック ソースの種類
  • インプレッションと総再生時間の関係

に分けられます。

過去28日間における視聴回数におけるトラフィックソースの内訳は上記となります。
ちなみに最近の減少要因を知りたいので過去7日間で期間を選択してみますと・・・

となります。

あくまでも構成比とはなりますが関連動画経由の視聴が落ちている可能性があるということになり、比率ではなく実数でもチェックしておきたいところです。この点は後程。
また同様にインプレッションと総再生時間の関係を期間別で比較してみると・・・

視聴回数における「YouTubeによっておすすめされたコンテンツ」の割合が下がっていることが確認できます。

クリック率はともに4%ですが、インプレッションは分母に値します。クリック率は「結果として上がる」というのが通常のことですから、4%で「変わっていない」というよりも、本質的には「下がっている」と考えたほうが妥当です。

とはいうものの、平均視聴時間が8:50から9:46に伸びていることも考えると、「なぜおすすめされにくくなったのか」の答えはインプレッションのクリック率にあると限定されるわけです。

  • 注)このあたりの相関関係は第3回で解説しています

ここで問題意識は、

  • なぜインプレッションのクリック率は下がったのか?

とフォーカスされていきます。

ちなみに、今回のケースでは視聴時間の問題はなさそうでしたが、そこに問題があるケースは次の指標として、「エンゲージメント」をチェックします。

今回のケースでは総再生時間は視聴回数の減少により下落していますが、一方で平均視聴時間は微増しています。

新規およびライトな視聴者の視聴割合が減り、熱心な視聴者の最後までしっかり観る!という視聴時間が平均を押し上げているかもしれません。今回のケースでは大きく問題にはなっていないようです。

次の指標「視聴者」に移りましょう。

まずここでは、視聴を「リピーター」と「新しい視聴者」に分けて、それぞれの頭数のデイリーの推移を確認することができます。

ここでは分かりやすく90日間の期間を設定しました。上記から読み取れるのは・・・

  • 新しい視聴者のデイリーの数はそれほど大きな変化はない。
  • 減少の要因になっているのはリピーターの減少である可能性が高い

となります。
ここでの問題意識は、

  1. リピーターを再度増やすにはどうしたらよいのか?
  2. もしくはリピーターの減少を補うほどの新しい視聴者を獲得するにはどうしたらよいのか? (もちろんそうして獲得した新規視聴者をリピーター化しなければならないわけですが…)

とさらにフォーカスされ、「現状の視聴者をもっと深く知ろう!」という動機に繋がります。
「視聴者」下部にはさらにそのあたりを深堀りできる仕組があります。

例えば、このチャンネルの視聴者の多くがYouTubeにアクセスしている時間帯を見ることができます。

また「このチャンネルの視聴者がよく見ている他のチャンネル」も確認できます。

上がってくるチャンネルを研究することで、視聴者のニーズを把握できるかもしれませんし、何より「あっ!私のチャンネルを見ていただける方ってこんなイメージなのね!」という視聴者のペルソナ(ユーザーイメージ)の把握ができるかもしれません。

さらには、視聴者の「年齢と性別」「上位の地域(視聴エリア)」のデータも確認できますので、合わせてチェックすることでより視聴者のイメージをつかめることができると思います。

そうした情報により、「似た視聴者を獲得しているチャンネルがどんなシリーズ企画で継続視聴(リピート)を実現させているのか」とか、「似た視聴者を獲得しているチャンネルがやっていて、自分はまだやったことのない動画をヒントに新規視聴者の獲得をやってみよう!」などというテコ入れの発想が生まれます。

次に「収益」です。

こちらではチャンネルとしての収益、およびその収益性を確認できます。
基本は視聴回数が増え、視聴時間が伸びれば収益は必然的に上がっていきますが、最近ではユーザー課金(視聴者さんからのスーパーチャットと呼ばれる投げ銭など)も増えてきています。それらの内訳なども確認が可能です。

最後に、懸案事項として残っていたトラフィックソースの内訳の比率を確認しなければなりません。こちらは「詳細」から比率だけでなく、その視聴回数の推移をチェックします。

このように各トラフィックソースにおける視聴回数のデイリーの推移、そして下段にはぞれぞれの各指標をチェックすることが可能です。

このケースの場合、関連動画の落ちが比率として気になっていたのが前提となりますが、実際はブラウジング経由の視聴回数の減少も大きいことが分かります。


今回はアナリティクスを使って

1.チャンネル全体を分析する

を進めてみました。

そこで得た問題意識をもって、さらに次のアクションにつながるよう、次回の記事では動画単位の分析を行っていきたいと思います。