ピティナ調査・研究

自身の学びを指導に還元『教えながら学ぶ』スタイル

スタート!ピアノ教室
自身の学びを指導に還元

『教えながら学ぶ』スタイル

憧れのヨーロッパ、留学先ポーランドでの音楽体験

ピアノ講師だったお母さまの影響で、自然な流れでピアノを始めたそうですが、音楽の道に進もうと思われたのはいつ頃ですか?

中学生の頃に武本京子先生と出会い、音楽から風景やお話をイメージして演奏する「イメージ奏法」を教わり、演奏する楽しさやピアノの魅力に引き込まれていきました。でも、当時はまだ音楽の道に進むか迷っていました。音楽を専門的に学びたい気持ちが強まったのは高校に進学してからですね。その後名古屋音楽大学へ進学しました。また、音大入学当初からヨーロッパへの憧れがあり、大学4年の頃に一度ポーランドに行ったんです。そこでの環境がとても良かったので卒業後渡欧し、ポーランド国立ショパン音楽大学で3年間を過ごしました。

留学中、印象に残っていることなどありますか? 

一番の印象はやっぱり「ショパンコンクール」!会場に毎日足を運んで、自分と同世代の素晴らしい演奏を予備予選から聴きました。沢山の刺激を受けたことを今でも覚えています。また、ポーランドではサロンや公園など身近なところでたくさんのコンサートが開かれています。私もそのような場で演奏させていただき、お客様と一緒に音楽を感じるという貴重な経験をさせてもらいました。
そして、ポーランドで教えてくださったマリア・シュライベル先生の1音1音への思いや、深く音を探求する姿勢は今の自分の根幹になっていると感じています。

留学中に出演したサロンコンサート
ポーランド時代の恩師と
「もう一度勉強したい!」指導をしながらの学生生活

帰国後はどういった活動をされていましたか?

2011年に帰国してからは地元に戻り、当初は演奏中心に活動していました。教えることもしていましたが、生徒は友人の姪っ子さんや知人を通じて希望された方の3人だけでした。

帰国後すぐに指導もされていたんですね。

積極的に宣伝したりはしませんでしたが、近所の知り合いにチラシを配ったりして…それから1年ほどは少数の方を教えながら活動をしていました。看板を出してからは、少しずつ教室の認知度があがり、紹介や口コミでだんだんと人数が増えていって、2013年に初めての発表会を開催できるようになりました。その当時は14人の生徒さんを受け持っていました。2016年には生徒数が30人に達しましたが、「もう一度勉強したい!」という思いが強くなり、名古屋音大の大学院に入学しました。生徒募集は休止して、もともと通っていた生徒さんのレッスンは継続しながら通学しました。大学の授業は午前~お昼すぎに固めて、その後生徒のレッスンをし、レッスンが終わったら課題のために深夜まで練習…という日々が2年間続きました。

充実した2年間ですね!

はい、やりきった感じがありました!大学院での授業はどれも内容が濃く、音楽への情熱あふれる先生方ばかりでした。今までで一番忙しくなりましたが、教えながら学ぶことで演奏だけでなく、指導という観点で気づきを得られたと思います。

一人一人に合わせた指導、ステージへも背中を押して

豊かな学びの2年間を経て、現在では30名以上の生徒さんを受け持っています。少し話題を変えて、普段使用している教材についてお聞きしても良いですか?

人によって色々使い分けるようにしています。挿絵の多い教材を使ってゆっくり進める子もいれば、進度重視で飽きずに進められる教材を使う子もいます。導入後もやはり一人一人に合う教材を選びながら、ブルグミュラーに結びつくように進めていきます。基本的には子どもがやりたいと思った教材を優先して使用しますが、その教材だけでは足りない要素を他のテキストで補うよう気をつけています。例えば、一冊終わるのに時間がかかる教材を選んだら一方では進度を実感できる教材を与えるとか、なかなか曲が進まないときは楽典やソルフェージュなどのドリルで達成感を得てもらうとか…飽きないように工夫しています。

先生は、発表会以外のステージを積極的に活用されていますね。

やっぱり、ピアノはステージに立つ事が大切だと思っています。ですので、発表会の年1回だけでなく、積極的に他のステージにもチャレンジするよう声かけしています。コンクールだと負担が大きすぎる子は、その子のペースで挑戦できるステップなどで「自分がやりたいと思った曲を頑張って練習し、アドバイスを受ける」という経験を積ませるようにしています。

提携コンクールに挑戦した生徒さん。
ステージに立ってまた一つ成長しました

アドバイスは先生も読まれますか?

はい。参加直後のレッスンでメッセージ用紙を持ってきてもらい、一緒にアドバイスを読みながら生徒や保護者が分からないところを解説したり、少しだけ復習で弾いてみて理解を深めています。

自身の学びも大切に、生徒とともに成長したい

お話を伺って、先生自身の充実した学びが指導に活かされている事がよく分かりました!

最近、指導を始めたばかりの頃から来ている子どもたちが大きくなり、難しい曲にもチャレンジできるようになりました。小さい子どもたちもお兄さんお姉さんの演奏に刺激を受けています。ここからもう一歩、生徒たちの力を伸ばしていきたいと思っています。
私は、生徒に「ピアノが自分の特技」と自信に思ってもらえるだけの力をつけることで、長く音楽を楽しんでもらえるようにしたいと思っています。また、ピアノを通して「努力すればできるようになる!」ということを学んでもらいたいし、音楽を奏でる喜びも味わってほしい。そのためにも、自分自身の演奏活動をはじめインプットを継続し、指導をさらに充実させていきたいです。

神谷舞

名古屋音楽大学ピアノ科卒業。ポーランド国立ショパン音楽大学研究科修了。名古屋音楽大学大学院音楽研究科修了。留学中、ショパン生誕​200​周年コンサートをはじめ、ワルシャワを中心に多数のコンサート出演。現在は愛知県を中心に演奏活動をしながら後進の指導にあたる。