ピティナ調査・研究

新天地、ゼロからのスタート~インターネットを活用して~

スタート!ピアノ教室
新天地、ゼロからのスタート

インターネットを活用して

先生のウェブサイトを拝見しましたが、とても充実した内容でした!

ありがとうございます。2015年に京都で教室を開講した時からちょっとずつ情報を足していきました。今も更新しています。
ウェブサイトはこちら
わたしはもともと神奈川県出身で、父の実家がある京都に引っ越してきたんです。教室はそこからのスタートでした。

では、学校時代からのご縁とかは…

ないですね!(笑)
ウェブページの作成も動画の投稿も苦手な方なのですが、地盤のない自分がやっていくには「自分がどんな人間か」「どんな雰囲気の教室か」をわかりやすく伝えないとダメ…!という一念で頑張りました。それから、ピティナの教室紹介や外部の仲介サービスも利用しました。
やっぱりインターネットの力は大きいですよね…今もホームページを見て来られる方が多いです。

一度離れたから分かったこと、母の背中を追いかけて__

先生は保育士のご経験もあるとお聞きしました。

はい、卒業後細々とピアノを教えたりはしていたのですが…一度ピアノから離れてみようと思い立ち、資格をとって2年ほど保育士として働きました。
結局のところ、ピアノの経験があるとわかれば周りの先生から「先生弾いて~」となるので、離れてからもピアノはついて回りました。その経験があったから「やっぱりわたしにはコレ(ピアノ)なのかな」と思えるようになりました。

ピアノの先生も保育士も「教える」という点では共通していますよね。

もともと、母がとても熱心にピアノ教室をやっているのを見ていたので、音大生のころから漠然と自分もそうなるのかな、とは思っていました。教えることへの関心はあったんです。
教室を開いた当初は、母の教室の発表会にだしてもらったりしていました。母の教室を目標にずっとその背中を追いかけている感じですね。

高い目標になる存在が身近にあるって、とても素敵です。

ありがたいですよね、本当に。大学時代に教えることを専門に学んだ訳ではないし、最初からベストな指導を目指すというよりは、母のやっていることを見たりしながら日々手探りでアップデートしています。

妹と二人三脚で教室を運営、リトミッククラス開講へ

現在では70名もの生徒さんをお一人でご指導されています。(2021年6月現在、新規受入は停止中。詳細はこちら

はい、なので昨年からワンレッスン制に移行しました。月謝制の時は固定された回数のレッスンをこなすことが大変でしたが、ワンレッスン制にしたことでわたしも生徒さんもお互いにストレスフリーになったと思います。今は大半の人が曜日・時間を固定していて、空いた枠に不定期の人を組み込んでる感じですね。

とはいえ70名…!先生のお休みはどのくらい確保されていますか?

お休みは、そうですねぇ…(笑)その月によりますが、月に3、4日とか、そのくらいです。自分のスケジュールに合わせてその都度調整しながらやっています。月に5回になる時は4回までにしたり、「この月は3回しか出来ません」とすることもありますよ。 それから、妹がホームページの管理など事務面のサポートをやってくれているのが大きいです。

なるほど、妹さんの協力があってこそですね!

そうなんです。わたしもレッスンに集中できますし。
加えて(妹が)リトミックの勉強を始めてくれたので、近くのスタジオでリトミッククラスも新設しました。私の保育士としての経験も活かせるとも思ったんです。現在は、平日午前にリトミックの個人レッスンを開講しています。

わたし自身教え方にマニュアルがないので、講師を増やしてこれ以上教室を大きくしたりはできませんが、現状で頑張ろうと思っています。

ひとりひとりに合わせた教材選び

マニュアルがないという所で言うと、教材も進め方も子どもたちの一人一人に合わせて「次はこれをやってみようかな」と毎回考えています。

(HPをみると)テキストをたくさん取り揃えられている印象です。

たとえば、他の導入向けテキストが合わなかった子へは遠藤蓉子先生のテキストを提案してみます。1巻はト音記号のドレミファソ、2巻はヘ音記号のドシラソファで知っている曲をすぐ体験できるので、わかりやすいんですよね。テンポよく進められることも子供の達成感につながると思っています。またメトードローズもよく使う教材のひとつです。こちらは様々な形式の踊りや多彩な情景の曲の中に、拍子や強弱など習い始めた方が取り組むべき課題がたくさん詰まっています。上下巻を終える頃には自然に音楽の基礎が身につく良書だと思います。
理想的なテキストの進め方というのも本当はあると思うのですが、そこから外れても大丈夫そうだな、そうした方が良さそうだなという子もいるのでその時に応じて自分の「ひらめき」を重視しています。

多種多様なテキスト・教具を一人ひとりに合わせて使い分けます
発表の場はともに「ビギナー」~コロナ禍での弾き合い会~

わたしは、教室を開くまでピティナについてはよく知らなかったんです。教室を開く際に、教室紹介を利用するために入会しました。その後は自分も勉強のためにステップやコンクールに生徒を出すようになりました。
4期の課題曲がこなせそうな人にコンクールを勧めてみて、その練習としてステップをお知らせしたり…コンクールに気が進まないという人には、代わりにステップを提案してみたり…一度参加してみると、継続表彰など続けたくなる仕掛けがあって、リピーターになる人が多いですよ。

昨年の7月には先生の教室で弾き合い会も実施されました。

新型コロナの影響で、判断に迷う時期でした。本来、発表会を二年に一回のペースでやっているのですが、それが翌年の4月だったんです。その時期も状況が変わらない可能性がある…

であれば、この弾き合い会でWithコロナでのイベント運営の課題をあぶりだそうと実施を決めたわけですね。

はい。ホールもキャンセル出来ないし、金銭面での不安はありましたが、やってみることにしました。実際に動いてみると、とても大変でした。生徒さんに「出欠の判断はギリギリまで待ちます」と言っていたので、運営面でどうなるかが直前にならないと分からないんです。
客席はすべて指定席にし、1グループ10家族ずつに分けて都度入れ替え。シンプルな弾き合い会だったので、当初は夜区分だけで実施するつもりでしたが、入れ替え・換気・消毒の時間がかなりかかることが分かり、昼区分から借りることにしました。入れ替えの時間ロスをどうするかは課題が残りましたが、各回の進行自体はスムーズにできたと思います。

感染対策を徹底しながら、臨機応変に対応する…やってみなければ得られないノウハウを持つことが出来たんですね。

はい、この時の気づきをもとに、今年4月には発表会も無事開催することができました。

素晴らしいと思います。最後に、先生の今後の展望をお聞かせ下さい。

私の教室からピアノを始めた方が多い段階なので、お互いに少しずつレベルアップしていきたいと思っています。今までは、「生徒を増やして教室の基盤を安定させる」期間でした。今後は、コンクールやステップにもっと積極的に参加できるようになりたいし、音楽的にも充実したものに出来たらと思います。 最近は、長い期間でピアノを習うという方が少なくなってきています。その短い間でちょっとでも多くのことを吸収してもらえたらいいなと思っています。

山本理紗

6歳より桐朋学園大学付属子供のための音楽教室に通い、桐朋女子高等学校、桐朋学園大学卒業。同大学研究科卒業。神奈川音楽コンクール神奈川トヨタ賞、Miyoshiピアノコンクール第2位、ピアノ教育連盟奨励賞。北海道池田町音楽キャンプ参加、桐朋学園大学マスタークラス受講。2005年より後進の指導を開始し、2013年保育士資格取得。2015年より教室主宰。