ピティナ調査・研究

自宅教室を始めて2年でピティナ指導者賞受賞

大学院卒業2年目でピティナ指導者賞受賞。

思い立ったらすぐ行動!原動力は『東京で生活したい!』

音大進学の選択

 こういう言い方をしていいのかわかりませんが、私自身「ピアノの先生になりたい」と思ったことはないかもしれません。『東京で生活したい』『ピアノをやめたくない』この2つの気持ちで進路を選択してきた結果、今指導に携わっています。

 私は4歳からピアノを始めました。幼少期からピティナのコンペティションに参加し、小学校時代は母と二人三脚で練習に明け暮れていました。
その後は、県内の進学校であった中高一貫校に入学。もちろん音楽をしている友達はおらず、幼少期の反動からか(笑)学校生活はとても楽しく、漠然と勉強も良いなぁと思うようになりました。
ただ、どんなに大変でも、練習をサボっても、私の中に「ピアノをやめる」という選択肢はありませんでした。

 その先の進路について迷いに迷っていた高校三年生の時、大きな転機が訪れました。そのときお世話になっていた先生に東京でレッスンをしていただいた際に、タイミングが合ったので横山幸雄先生のレッスンも受けさせていただいたことです。「この先生のレッスンを受けたい!私、上野学園に行く!」と決め、間もなく入試、無事に進学が叶いました。
大学入学後はもっと練習する癖をつけるために、自分を追い込み、朝練を主にとにかく練習しました。一人暮らしの自宅のピアノよりも大学の練習室のピアノを弾いていましたね。

大学3年生より出張レッスン開始

 その後大学3年時、先生から『この先どうするの?』と問われたときに、留学したい気持ちもありましたが、漠然と「指導とかしながら......?東京に残りたいです。」と答えたところ、『今行動してないなら遅いよ!』と喝を入れられ、大急ぎで出張レッスンの講師登録サイトの目につくもの全てに登録しました。

幸運にもすぐに何件か申し込みをいただき、一番最初は3歳の男の子のお宅でレッスンをすることになりました。
子どものレッスンは手探りでしたが、その子のお母さまがとてもお子さんへの言葉がけが上手な方で、そこから子どもの接し方の多くを学びました。

 大学4年時には10人前後、大学院修了時には13~4人の生徒さんのお宅に伺うようになりました。出張レッスンについては、現在の住まいに移動してからも2018年2月まで続けましたが、自宅レッスンの生徒さんが増えたこともあり、泣く泣く終了しました。けれど、遠くても引き続き自宅レッスンに通ってくださるご家庭もあり、とても嬉しく思っています。

私立幼稚園にチラシを置いてもらえるか営業電話!

 学部を卒業後は大学院へ進学。学費がかからなければ、ということで両親からOKをもらっていたので、特待生として一生懸命勉強しました。

 大学院卒業後、まずは4月から個人主宰の音楽教室の勤務と出張レッスンを並行していくつもりだったのですが、教室方針との違いから1か月で音楽教室を退職。大慌てで自宅教室を始めるためにWebサイト作成とチラシの作成をしました。

 チラシも試行錯誤でした。1回目に作成したものをたまたま大学院の情報系の先生に見ていただいたら、「これじゃあ人は集まらないよ、もっと色々視野を広くしないと」とアドバイスをいただき......作り直しました。
完成したチラシはポスティング業者への委託もしましたが、何よりも効果が高かったのが私立幼稚園に置いてもらったことでした。

 母と電話で色々話していた時に、「生徒さん集めなきゃ」⇒「チラシを置いてもらったら?」⇒「パン屋さん?」⇒「パン屋よりも子どもがいる場所なら幼稚園でしょ!」みたいな流れで(笑)。
そこから区内の幼稚園に片っ端から電話をかけました。もちろん最終的に許可をくださったのは3~4園でしたが、そこからの入会が一番多かったです。

 自宅で一人で仕事をしていると、先輩や上司がいないので、相談事はなにかと母にしていることが多いかもしれません。母は普通の主婦ですが、だからこそ保護者の目線・母親からの目線のアドバイスは参考になることが多いです。まだ自分に子どもがいないのでなかなか親御さんの気持ちに寄り添うことが難しいことも多く、母からは『ちょっと落ち着きなさい』とよく言われています(笑)

自宅指導開始2年目で「ピティナ・指導者賞」受賞

 昨年初めてピティナのコンペティションに生徒を参加させ、この度ありがたくも指導者賞を受賞させていただきました。

 自分も小さなころからこのコンクールで育っていますが、ピティナのコンペティションは簡単にチャレンジできるものではないと思っています。特に年齢が幼い生徒さんの場合は、親御さんがどのくらい自宅での練習に関われるか、一緒に応援してくれるかどうかを、普段のレッスンの様子から見極めるようにしています。

 生徒さんが参加するとなったら、なるべくみんなに、『本番で満足のいく演奏が出来た!』という経験をしてほしいと思っています。
もちろん結果にばかりとらわれることはしたくないのですが、『練習の成果が出せた!』という気持ちに加えて『自分の名前が掲示された!嬉しい!』という気持ちも味わってもらい、もっと弾けるようになりたいという気持ちに繋げられたら......と贅沢ながら毎年願っています。
愛媛にいたころにお世話になっていた先生が上京されたときには力もお借りしながら、直前にはレッスン回数を増やしたり、時には動画で送られてくる演奏にアドバイスをしたりなど生徒さんの本番直前まで全力で指導にあたりました。

まだまだ勉強中の身、これからも引き続き指導の勉強をしていきたいと思っています。

中矢 美里

愛媛県出身。特待生として上野学園大学演奏家コース、および尚美学園大学大学院芸術情報研究科を卒業・修了。ピティナ・ピアノコンペティション(A1級全国決勝大会金賞、併せて審査員特別賞、並びに読売新聞社賞受賞)、日本香港国際コンクールほか多数のコンクールで入賞。輝いた市民に贈られる「かがやき松山大賞」受賞(2014年)。現在、ピアノ教室で後進の指導に当たりながら、自身も演奏活動を続けている。

調査・研究へのご支援