ピティナ調査・研究

第31回 連弾のプリモとセコンドの向き不向きの判断 ドゥオール(藤井隆史先生&白水芳枝先生)

指導者が答える お悩みQ&A
連弾のプリモとセコンドの向き不向きを判断するポイントは?
ドゥオールのお二人にお答えいただきました。
藤井隆史 : 東京芸術大学大学院修了。ドイツ・マンハイム音楽大学大学院(ピアノソロ科、ピアノデュオ科)最優秀修了。現在、武蔵野音楽大学講師。
白水芳枝: 東京芸術大学卒業。ドイツ・マンハイム音楽大学大学院(ピアノソロ科、ピアノデュオ科)最優秀修了。現在、国立音楽大学講師。

まずは両方を経験してみては?

連弾とは2人で1つの世界を目指し、時間を共有し、1つの音楽を創っていく作業です。相手に興味を持ち、観察し、相手の良いところは自分も取り入れる、2人にとって改善されそうなところは指摘する、それぞれ苦手な点はお互い補い合う、そうすることで2人で1つのものを創っている感覚はより強くなります。

そういった意味で私たちはこの質問をいただいたら、まずは両方を経験してみては?と答えます。

プリモは2人分のメロディーを責任を持って、プリモの右側に大きく拡がる世界に響かせるわけですから、その緊張感はひとしおですし、セコンドは通常のソロ演奏と逆のバランス(左手バスは2人分のハーモニーを支える豊かなもの。メロディーはセコンドの右手ではなく、プリモの右手です、など)で、暗譜となった場合に、覚えやすいメロディーを弾いておらず、ほぼ内声とバスだけで音楽が進んでいくわけですから、それはそれは大変なことです。

と、お互いの役割と緊張感を知れば、合わせの時に不必要な発言をして炎上→デュオ解散、には至らないでしょうし(笑)、相手を知れば自分のやるべきことや立場もわかりますので、まずは両方を経験してみると良いですね。

各自のキャラクターとペダルの扱い方で判断する

その上で、元々それぞれが持っているキャラクター、心地よさに勝るものはありません。右手で歌いたくて仕方がない方がセコンドに座っても内声ばかりが聴こえてくるでしょうし、内声やバス担当が心地よい方がプリモに座ると、肝心のメロディーが聴こえないということになるかも知れません。

一番の決め手としては、ペダルの扱いが繊細且つ慣れていて、ハーモニーの変化、調性感と拍感に敏感な方がセコンドを受け持つと、デュオにとっては有益です。

連弾でのペダルの問題は最後まで残りますし、連弾になった途端「ペダルをどう踏んだらよいかわからないので、踏んでいません!」という方に未だにお会いしますから(汗)。

調やハーモニーが変わったことに瞬時に気づき、きちんと踏み変えられ、2人の音楽の指針となれる人がセコンドには向いていると言えますね。ボートで言えば漕ぐ人、オケの指揮者、車のエンジンの役割ですから、とても重要です。音楽はプリモのメロディーが引っ張っているようで、実はセコンドの左手が道を作って進ませているのです。

重ねて言うなら、プリモはその上に乗って気持ちよく音やメロディーを解放できる人、ペダルを完全に任せられる人、些細なことはあまり気にしない人、とも記しておきましょう(僕らで言うと、白水のことです 笑)。

ドゥオールHP

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