ピティナ調査・研究

第24回 弾き方のクセを取り、美しい音色で演奏するには 松田紗依先生

指導者が答える お悩みQ&A
小さい頃についてしまった弾き方のクセが、大きくなってからも取れないことが多いです。ある程度大きくなってからクセを直し、無理な力をかけることなく美しい音色で弾かせるには、どのように指導したらよいでしょうか。
松田紗依先生にお答えいただきました。
まつだ さえ◎ピティナ京都アトリヱステーション代表。

大きくなってからクセを取るのは大変ですよね。
生徒さんの年齢にかかわらず、理解力とやる気によっても変わりますが、まずどんな響きで弾きたいのか考えさせ、それを実現するタッチを共に探していこうという気長な姿勢が指導者に必要です。

さて、どんなクセがあるでしょうか?肩が上がる、肘を外に張りすぎる、指をつっぱって伸びたまま弾くなど、不必要な身体の動きが指を動かしにくくし、音が乱雑になったり細かい音が転んだり、pとfの差が出ないことがありますね。また、クセのために腕や肩が痛くなったりすることがあります。

その直し方ですが、まずシンプルに「フォームを見直すために、一音を弾く」という原点に返ることをおすすめします。姿勢よく座り、心のこもった一音を弾く。回り道のようですが、一流のスポーツ選手が素振りを大切にするのと同じように、自分の基本となるフォームと音色を会得して、日々修正していくことだと思います。

一つの音を弾く時から、弾かない指も鍵盤の表面を味わうように触れておきましょう。弾かない指を意識することは手のフォームを安定させます。
さらに、美しいフォームで音色を奏でるには「手の枠」の感覚が重要です。この感覚を身につける方法として、1と5の指で5度を弾く練習をするとよいでしょう。弾く前に息をして、弾いた余韻を聴きながら離鍵することも大切にしてください。
他の練習法も、私の書いた「ピアノレッスン」シリーズ (カワイ出版) に詳しく載っておりますので、よろしければご覧くださいませ。

ご参考にしていただけますと幸いです。

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