ピティナ調査・研究

第23回 左右のバランス感覚を身に付けさせる指導法 林苑子先生

指導者が答える お悩みQ&A
右手と左手のバランス感覚を身に付けさせるには、どのように指導したらよいでしょうか。
林 苑子先生にお答えいただきました。
はやし そのこ◎ピティナ理事、組織委員、ステップ運営委員会副委員長、アドバイザー派遣委員長、目白カンタービレステーション代表。

まだ生徒さんが小さい場合や習い始めて日が浅い場合には、よいバランスで弾かせるのは難しいですよね。私は、目と耳を使って体感できるように指導しています。

☆目を使って

グランドピアノの内部を見せてみましょう。中・高音域は細く短い弦3本、低音域では長く銅線で巻かれた弦が2本、最低音域では更に長く太い、銅線で巻かれた弦1本が張ってあります。同じ強さで弾いたら左手の音が大きくなってしまうのが、小さい子でも直観的にわかります。
また、楽譜の中から1小節を抜き出して音の数を数え、左手は音数が多いから大きくなりやすいねと話すのもよいでしょう。

☆耳を使って

生徒さんにわざと左手をf、右手をpで弾いてもらい、「メロディーは聴こえるかな?」と問いかけます。聴こえないことに気づかせたら、片手ずつ練習させましょう。左手はバスの音を聴きながらどんどん小さくするように、右手は主旋律がツヤのある音でクリアに響くことを意識しながら練習してもらいます。
片手ずつの練習ができるようになったら両手で弾かせて、再度メロディーが聴こえるかどうか確かめてもらいましょう。またこのとき、理想的なバランスで弾くときは左右の手がまったく違う動きになるということを意識させるとよいです。
他にも、指導者自身が同じ曲をさまざまなバランスで弾いて、どの演奏が一番よかったか生徒さんに当てさせるクイズを行うこともあります。楽しく耳を鍛えることができますよ。

ご参考としていただけましたら幸いです。

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