第20回 生徒さんのイメージをふくらませる指導法 今野万実先生
指導者はよく生徒さんに「この曲はどんな感じで弾きたい?」と尋ねますが、答えが返ってこずに困ってしまうことも多いですよね。
生徒さんの自発的なイメージを喚起させるには、ただ待っているのではなく、私たち指導者の側からも働きかける必要があります。私は、下の3つの方法を実践しています。
①ストーリーを一緒に考えて弾く
生徒さんが曲に対してイメージをもつことができない場合は、指導者の方からイメージのヒントを渡してあげます。
たとえば、Ⅰ→Ⅳ→Ⅴという進行があったとして、食べることが好きな子だったら、
Ⅰ度...「お家の中で、じっとしていたら」
↓
Ⅳ度...「なんだかお外からいいにおいがしてくる!ちょっと身を乗り出して、外に出かけてみようかしら?」
↓
Ⅴ度...「もう、いてもたってもいられない!よし出かけるぞ!」
などと、話を作ってみましょう。
指導者がイメージを伝えることで、生徒さんが曲の中の変化に気づき、そこから自身のイメージを展開してくれるようになります。
② 楽譜をよく見て、忠実に再現してみる
生徒さんがまだ曲をしっかり理解できておらず、イメージもわかないという場合には、いったん「イメージ」というものから離れて、楽譜の指示に従うことを徹底させます。強弱、表情の記号、アーティキュレーションなど、書かれていることをすべて再現していけば、作曲家の意図がつかめるはずです。
③絵本や本で、イメージする力を育んでもらう
また、私は生徒さんに、読書を通して感性を育んでもらいたいと思っています。
そのために、絵本や本をレッスン室に常備して、待ち時間に自由に読めるようにしており、希望があれば貸出もしています。
今挙げた以外にも、曲のイメージを広げるアプローチはいくらでもあると思います。
一番大切なのは、生徒さんとコミュニケーションがとれているかということです。私は、話すのが苦手な子にはアイコンタクトを使ったり、こちらが話したことに対する反応を観察したりして、次にどう話を広げていくかをいつも考えています。
ご参考にしていただけますと幸いです。
◆お悩みQ&A 質問募集中!
経験のある先生に聞いてみたい、ちょっとした不安や疑問など、下記のフォームよりお寄せください。 質問が採用されると、翌週以降、WEBページにて、ベテラン指導者の回答を掲載いたします。
質問投稿フォーム