ピティナ調査・研究

第17回 テンポ感覚を身に付けさせる指導法 松田紗依先生

指導者が答える お悩みQ&A
テンポを一定に保つことが苦手な生徒がいます。メトロノームを使うとよくなりますが、使わずに弾くと本人も気づかないうちに速くなったり遅くなったりしてしまいます。どのように指導すればよいでしょうか。
松田紗依先生にお答えいただきました。
まつだ さえ◎ピティナ京都アトリヱステーション代表。

正しいテンポ感覚を身に付けるのは、なかなか大変なことですよね。
自分が弾いている音楽がメトロノームに合っているかどうかを判断するのも難しいものです。
私は、耳以外でテンポを感じられるような指導を心がけています。
例えば、生徒さんが弾いているときに、メトロノームに合わせて指導者が肩をたたいてあげると、正しいテンポを実感させることができます。

また、全体の中から気になる部分を取り出して練習させることもあります。
特に16分音符が続く箇所など、速くなってしまう部分では、そのフレーズを取り出してメトロノームにあわせるとよいですね。具体的には、図の①、②のように1拍目から次の拍頭までをメトロノームに合わせて弾き、それから③のように長く弾いていく「クローズアップ練習」を指導しています。そうすることで、指が転んでいるので遅くなる、あるいは速くなるという事もみえてきます。
逆に、どこか一部分が間延びしてしまうなど、リズム感覚が十分でない場合もあるかと思います。そのようなときには、メトロノームにあわせて、楽譜に書いてある音価で音名を読み上げてもらうのも効果的です。

他にも、練習している曲から離れて、テンポや拍感を磨く指導もしています。
生徒さんになじみの曲、例えばベートーヴェンの「歓喜の歌」等を使って、8小節程度ですが指揮や拍打ちをさせています。
テンポ感覚を身に付けるだけでなく、ピアノ以外の楽器の音を聴くきっかけにもなるので、おすすめの指導法です。

ご参考としていただけましたら幸いです。

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