ピティナ調査・研究

第18回 ピアノの楽しさを伝え、長く続けてもらうには 樋口紀美子先生

指導者が答える お悩みQ&A
コンクールや発表会のために熱心に指導した生徒さんが、「ピアノへの気持ちが離れた」と言って退会してしまうことがあります。どのように工夫すれば、音楽の楽しさを伝えられるでしょうか。
樋口 紀美子先生にお答えいただきました。
ひぐち・きみこ◎ピティナ南麻布インターナショナルステーション代表、指導者育成委員

一生懸命教えた生徒さんが退会してしまうのは大変悲しいことですね。
非常に熱心で素晴らしい先生でも、このようなお悩みを持たれることはよくあります。

生徒さんに楽しくピアノを続けてもらうためには、以下の2つのことに注意するとよいでしょう。

1.生徒さんの様子をよく見て、双方向のコミュニケーションを

一方的に教える形が続くと、指導者の言うことに違和感を覚えていても、遠慮して生徒さんが発言しなくなってしまうことがあります。そして、いつしか不満や負担が大きくなり、退会へとつながる可能性があるのです。
このようなことを防ぐためには、いつも生徒さんの様子を観察することが重要です。そして、「今日は嬉しそうな顔をしていないな」と気付いたら声をかけ、生徒さんが思っていることを話してもらうようにしましょう。
様子がおかしいと思ったら、早めに「あなたのことを考えているんだよ」というメッセ―ジを発するとよいと思います。

2.曲選びを工夫する

私は「生徒さんの個性を活かす」ことを指導方針としています。そのため、基本的にはその子にあった曲や好きな曲を与えています。たとえばコンクールを受けたいと言われた場合にも、課題曲の中から1番合った曲を与える、もしくは自由曲のコンクールに挑戦してみるなど、さまざまな工夫が可能です。

ただ、生徒さんの成長のためには、合わない曲や苦手な曲を渡すこともときには必要です。その場合には、納得してその曲に取り掛かってくれるよう、事前にしっかり話し合うようにしましょう。 また、「あなたがこの曲を楽しく弾けるように、先生も一緒に努力するから頑張ろう」など、生徒さん1人が負担を感じないように声をかけることも重要です。

ピアノ指導は、大変奥が深くて難しいものです。でも、ピアノや音楽には、生徒さんやそのご家族、音楽を聴く人、そして指導者に至るまで皆を幸せにする力があると信じています。この目標に向かって、一緒に頑張っていきましょう。

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