ピティナ調査・研究

第6回 課題曲と普段のテキストを両立するには 沢田菊江先生

指導者が答える お悩みQ&A
コンペシーズンは、レッスンが課題曲ばかりになりがちで、普段のテキストが進まなくなってしまい、焦りも感じます。レッスンの中で、課題曲と普段のテキストを、どのように取り入れると良いでしょうか?(ピアノ指導者からの質問)
沢田菊江先生にお答えいただきました。
さわだ・きくえ◎当協会評議員、広島メイプルステーション代表、指導者育成委員

特に小さい年齢の生徒の場合、読譜力を確実に付けていくためにも、指作りのためにも、絶えず新しい複数の曲に取り組むということはとても大切なことです。ですから、お悩みにもありますように「コンペの数か月が、課題曲だけのレッスンになってしまう」と言うことは、できるだけ避けなければいけないことだと思います。

そのことを指導者が十分認識したうえで、それぞれの生徒のレッスンに、コンペの曲をどう取り入れていくか、最初にプランを練っていくことが大切だと思います。それぞれの生徒の能力、それまでのテキストの進み具合も配慮したうえで、どのようなバランスで進めていくか・・・
テキストの進度を少し落としながら課題曲を加えていく、または3月は課題曲中心、4?5月はテキスト+課題曲、6月に入ってまた課題曲中心に・・・という方法も有りかと思います。

大事なことは、生徒と保護者の方に、なぜバランスを取りながら進めていくことが大切なのかについて、理解しておいていただくことだと思います。今回のコンペで良い評価を頂くことも大事だけれど、もっと先、D級、E級になっても挑戦できる力を積み上げておくことも大切、と言うことを最初に伝えておくことです。B級くらいまでは良い評価が頂けても、読譜力が伴っていないために、その後挑戦することすらできなくなってしまう、と言うことが実際にあるからです。

そしてその強い意志をきちんと行動に示す・・・私はいつもレッスンでは、本番の直前にならない限りは、レッスンは課題曲から始めないようにしています。普段の課題がきちんとできているか、それを確認してからコンペ課題曲のレッスンです。家での練習も、その流れで行うように伝えています。先生が、目先の結果だけにとらわれず、生徒の将来のことをきちんと考えている、その姿勢を見せていくことは大事なことだと思います。

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