088. 理想の生徒とは?
「上手な生徒」が「良い」生徒かというと、そうでもない。
指導者は指導が仕事で、生き甲斐です。
指導してうまくなってくれる事が最高の喜びです。自分の指導で上手くなってくれる生徒が、良い生徒です!
そのためには「話がきける」こと!
「興味を持ってきける」!
そして、「実行できる」あるいは「実行しようとする」!
その結果「進歩が見える」!
そういう生徒が「理想の生徒」です。
次に、私を頼りにしてくれる生徒も良い生徒です。
上手くなりたいから「少しでも多く知りたい」「指導を受けたい」「教えてほしい!」という気持ちが伝わる生徒。
人に頼りにされると、どんな事でも「頑張らなければ!」という気持ちになりませんか?自分自身の存在に価値があるという自覚ができ、それがパワーにつながります。
だから「先生!上手くなりたいからどうにかして!」と頼って来る生徒が、指導によって上手くなってくれることが理想的です。
必要とされると、力を発揮するものです。指導者に力を発揮させてくれるような生徒が良いですね。
そして、ご両親が協力的な家庭。子供の成長を楽しみにして、その課程もまた暖かく見守り、毎日のピアノを聴いてあげられる、音楽とともに過ごせる心の余裕のある家庭の生徒は良いですね。
指導者を信じて一緒の目標に向かい、共通の思い出作りができるようなご家庭が理想的です。一生涯の付き合いになることが多いですから。
磁石のように、同じ想いを持った人が吸い付いて来る気がします。たくさん仲間が増えてくると、磁石もより強力になると思います。
一方、「自分を持った生徒」も、おもしろいですね。
「どう弾きたいか」をもっている子は、レッスンしていても楽しいので、こういう子も「良い生徒」です。興味をそそる音楽をもっている子は、全然弾けていなくても面白いのです。
どの生徒にも、次第に弾いている曲に自分の気持ちが表せるよう、技術も楽譜の読み取りも進歩していって欲しいです。
「ピアノが大好きで、体格も良く、練習も真面目にしてきて、親の協力もある」というような、良い条件が揃うことは、少ないです。
せめてこちらの誠意が伝わってピアノが大好きになり、先生も大好きになって、「上手になってくれたらいいな!」と切望してます!
出会った人には、何らかの縁があるのだと思います。芽が出るまで、花が開くまで、大切に育てたいと思っています。
「理想の生徒」になるように仕向けていくのも指導者の教育かもしれませんね。
毎回のレッスンが楽しみになって、「進歩した!」と実感できるような時を過ごし、共に音楽を楽しみながら成長していきたいものです!
今回は自分のレッスン生への願望を書いたようになってしまいました。しかし、学ぶ側の方がもし、「どういう生徒が、先生をより教える気にさせるか?」ということを考えてもらえると、お互い「より良い関係になるかな?」と思います。
先生も人間です。神様のように「全ての人に平等」は無理です!生徒によってその時必要なことも違うので、まったく同じレッスンはできませんし。
生徒が成長して、音楽の議論が出来るようになると、楽しいですね。
私の場合は、まず音が美しくないと、肉体的にも疲れる気がします。
相当集中して聴き、その場で「何を注意すればもっとも良いか?」「何を練習させるのが適切か?」を考えています。そうやって神経を使い脳が疲れていますので、美しい音が聴こえると気分が良くなり、反対だと頭が痛くなります
美しい音で、「こう弾きたい」という意思が聴こえ、さらに議論ができるレベルまで育ってくると、その子の演奏は毎日でも聴きたくなります!その頃には取り組んでいる曲の内容も面白くなっているので、音楽作りがさらに面白いです!指導者の本領発揮です!是非みんなそこまで続けて!面白いことたくさんしよう!と言いたくなります。
この「エピソード」は、3才から育てたある生徒の事を考えながら書きました。そういえば、彼は小さい頃から常に「自分」があって、楽しいレッスンができていました。彼の成長は私の生涯の楽しみです。