ピティナ調査・研究

073.速く弾くのもゆっくり弾くのも良い練習

100のレッスンポイント

いろいろ、効率の良い練習をお勧めします。
何も考えず、工夫せずに最初から最後まで通して弾く練習が、最も遠回りかもしれません。

石橋をたたいて渡るタイプのAちゃんは、いつもゆっくりと間違わないテンポで弾いてきます。散歩をしてもかけっこは早くなりません!筋トレにもならないし、速い曲ではイメージが合わないはずです。

一方のBちゃんは、何でも適当にさっさと弾いてしまいます。頭を使わず、指が勝手に動いてしまう感じです。この場合は曲を「味わう」ことができず、とても残念です。

実は、この2人は導入の時期(3歳)に、同じグループでまったく同じ指導を受けました。性格が違うとこんなに練習の仕方も異なります。できれば「足して2で割りたい」ところです(笑)

ある時期に「回る指」を作る事は必要です。そのためにはリズム練習などを取り入れることも良いと思います。色々なリズムで弾いていると、必ず速いところと遅いところがあります。結果として意外と速く指を動かすことになります。その上、面白いリズムに心が弾むと、リズム感も良くなります。飽きずに練習がはかどることもあります。

ただし、リズム練習もただしてれば良いというものではありません。リズム練習をした後はぜひ、明らかにスムーズになった実感と喜びを持って弾いて欲しいです。知らない間に時間も経っていて、実際の練習量も当然増えます。

速い曲がテクニック不足で弾けない時も、やはり練習量が必要なことがあります。
その時には、ある部分を(全部でもよいですが)3段階くらい速さを変える練習も有効です。
最後には、実際よりも速いテンポで弾いておくと良いでしょう。

テンポアップも目標を持っていると、やりがいがある楽しく達成感のある練習になると思います。

逆にゆっくりの練習も、当然クオリティーを高めます。「考え(K)て、音を出して聴く(K)」そして、その結果どういう風に「感じ(K)たか」この3Kを意識するため、ゆっくり弾く。

理解し、感じて弾くには「ゆっくり」という行為が重要です。「ゆっくり」を繰り返していくうちに、本来のテンポに戻したときにも、その行為が意識されるようになると思います。

生徒には「音と音の間に、世界一周するくらいの時間を感じる」くらいの気持ちで弾いて欲しいと言います。とても現実離れをしていてジョークにしか聞こえないかもしれませんが、脳が信号を送るスピードというのは、もの凄い速さだそうです。そのように「感じて」音を聴くことは可能ではないかと思っています。

そのためにはゆっくり弾いて、「理想を考え実行できているか」判断するプロセスを経る必要があると思います。

「ゆっくりでも弾けないのに速く弾けるはずがない!」と思います。確実に仕上げるためには、ゆっくり確認しながら弾いてみる事が大切です。

 

時と場合によって、そして性格に応じて、ある部分をゆっくり、もしくは速く弾いたりして、もっている曲を理想に近づけて欲しいと思います。