058.連符は「どうしても入れたい」心の現われ
リズムは、2分割が原則。
全音符を二つに分けた2分音符。2分音符を2つに分けた4分音符。更に、8分音符、16分音符と、すべて、2つに分けることで、細かくなっていきます。
しかし一方で、そう単純に割り切れない想いがあります。「どうしても言いたいこと」がある時に、それが割り切れない数になることがあります。それが連符です。
3連符などはごく普通によくでてきますね。
たとえば花の名前を例に取ると、バラ、すみれ、コスモスは、それぞれ2つ3つ4つの音で出来ています。
名前を1拍の中で均等に言うと、それぞれ2・3・4分割することになります。そして、4分の3拍子で、4分音符を手で打ちながら、「バラ、すみれ、ひまわり」()と言ったりもう一方の手で言葉にあわせて弾いたりすると、とても簡単に良いリズムの練習が出来ます。
では、「カスミソウ」だと?・・・5連符ですね。これも、1拍の中で上手に均等に言えれば、簡単に5連符の体験も出来ます。
均等分割が自由に出来れば、どんなリズムも簡単に可能です。
一つのものを分ける時、物体であれば、もっと難しいですよね。たとえば、1つのおせんべいを3人兄弟で割りたい。どうしますか?
1度で3等分に割れる人はいないですね。
それよりは3連符を弾く方がはるかに、簡単ですね。
そして、均等かどうかは耳で確認します。
3連符がでてくることは、そう度々ではありません。
という事は、そこは少し意味があるところや面白いところで、作曲家の想いが現れているのではないでしょうか。
機械的に3等分、5等分はしたくはありませんが、滑ったように偏ることも美しくありません。より意味を感じて、丁寧に表現したいところです。
ショパンには、たくさんの連符が出てきます。しかも3連符や5連符だけではなく、魅力的な、8連符、13連符など。
低学年でも弾ける、Op.69-1のワルツには最初のテーマから3連符があり、3分割と2分割の微妙なゆれを感じるテーマとなっています。
また、この曲の11小節目は5連符、3連符、付点8分音符と16分音符の「タッカ」という部分で出来ています。拍それぞれがまったく違う分割になっていますね。とても魅力的なところだと思います。
そして、27、59、124小節には13連符があります。半音階や、減7の響きで出来ていて、とてもステキなところです。ショパンの繊細・可憐なムードがとてもよく感じられ、多いに味わって表現したいところです。
この曲では他にも、色々な「想い」のこめられたリズムがたくさん出てきます。ショパンの割り切れない想いがあふれているように思います。是非、トライしてみてください!
ショパンの想いをリズムから感じられると、どの連符もきっと「難しい」ではなく「ステキ!」になると思います。
連符は、どうしても入れたい「作曲者の心の現われ」だと思います。上手に想いを表現するために、そこに必然的に入り込んだ言葉のように、自然に演奏して欲しいです。