037.リズムも表現。生きたリズム
夏はコンクールシーズンです。
課題曲になった曲を繰り返し聴くことになります。
みんな同じ音を弾くわけですが、当然ながら、それぞれ音の美しさ・表現力などが異なり、上手い下手の差が付くわけです。
もう一つ、その差に大きく影響するのがリズムだと感じます。
皆、間違えずに弾きますが、つまらない演奏に聴こえる場合と、とても生き生きと聴こえる場合があります。
その曲をより良く表現するためには生きたリズムが必要です。
極端に言うと、たとえば4分音符を4つ弾くのにも違いがあります。
わくわくして先に進んで行きたくなるような4分音符と、ただ羅列している感じの4分音符。
4分音符4つを同じ高さの音で弾くことには、なんら技術は要りません。でもリズム感はちがうのです。
リズム感とは感覚的なものです。生きたリズムを心から感じ演奏できる人とそうでない人がいるようです。
確かに生まれつきリズム感の良い人はいます。そしてその逆の人も。
では、悪い人はどうすれば良いでしょうか?良くする手段は?
後付けで、良くなる方法はいくらでもあると思います。
たとえば、リズムを手で叩かせてみると、リズム感の良くない人は、だいたいつまらなそうに叩きます。一応長さが理解できる事と、それを生き生き表現する事とは、違うようです。
曲のある部分について、音の高さに関わらず、リズムだけで楽しい表現になるまで、手をたたいて見ましょう。
はじめは仕方なく、つまらなそうに叩く子も、何度もやっているうちに本気になり、汗をかくほど叩いた頃にはワクワクしてきて、弾んで叩いています。
その上でピアノを弾いてみると、全然違う、生き生きした演奏になっています。
技術的に指が回らないという理由でリズムが悪かったり、拍子感がないという場合もありますが、心から楽しく感じ生き生きしたリズムで演奏したいものです。
モロッコを旅した時、多くの人たちが、同じ8分音符くらいのリズムを、面白いアクセントをつけて延々と叩いてる場面に出合いました。聞いている私もなんだか、心からワクワクしました。通りがかりと思われる人もどんどん参加し、その手たたきの輪が広がっていきました。言葉は通じなくとも心を動かす「リズム」でした。