ピティナ調査・研究

016.スタッカートはいろいろ

100のレッスンポイント

スタッカートは、いろいろな表情をだせる、ピアノに欠かせない奏法です。

元気よく楽しいもの。悲しげな涙のしずくのようなもの。ヴァイオリンのピチカートのようなもの。管楽器のようにスカッとした、響きの大きいもの。体重を乗せ、オーケストラのような音を出すもの。地響きのするようなもの。ピシッ!と鞭打つようのもの。ピカピカと光る星のようなもの。かっこよく決める時のもの。などなど・・・

曲や、フレーズによって、どんなスタッカートが似合うか考えてみましょう。
実際に演奏する時には、「指先だけで?」「手首も使う?」「腕から?」「体全体を使う?」といった具体的な音の出し方を考えると、いろいろなスタッカートが生まれますよ!

ところで、スタッカートは誤解されやすい奏法です。指がはねているように見えるのは、原則的には音を出した「後」なのですが、上から指を落とすように弾く人が、よくいます。これでは音を出す「前」に動いていることになります。
見た目上、どちらの方法でも鍵盤から指が離れていますが、「上から落とす」方法(動画もご覧下さい)では、たたくように弾いた乱暴な音を「元気よくて善し」としてしまう危険性を感じます。

鍵盤の下がる8ミリの深さを「どのくらいのスピードで弾き、どのくらいのスピードで離すか」によって、まったく異なるスタッカートが生まれます。かける重みによっても違ってきます。いろいろなスタッカートがある事を知ったうえで、欲しい音をイメージしてみると、「自然にそこにあったような」スタッカートが生まれると思います。

ただ、指が弱いうちは、鋭いタイプのスタッカートが弾けないこともあります。このような場合は、感覚をつかませる練習が必要かも!でもあくまで楽しく行いましょう(^0^)

エピソード

私の使っているバスティンメソード(パーティーシリーズ、幼稚園生レベル)で,バッタの絵が出て来ます。大きくジャンプしている絵で、飛び上がった跡が点線で20センチくらい書いてあります。「あなたの手もバッタさんになって飛び上がってみよう!地面(鍵盤)から20センチくらいだから、ちょうどピアノのふたの上まで!飛んでみよう!」

はじめは「こわごわ」するので、鋭いスタッカートになりませんが、「もっと早く!」と言って続けさせると、だんだん鋭いスタッカートが出来るようになります。

ある公開レッスンでも、明るく鋭い音を出して欲しい生徒に、蓋のところまで一気に飛び上がる見本を見せる(動画でやり方をご紹介しています)と、どんどんはじけるような音になりました。

見てわかりやすい目標(鍵盤の蓋)があり、試みてすぐに、音の質をその場で聞き比べられることが、簡単に習得できる秘訣かもしれません。

試してみよう

動画ではいろいろなスタッカートの例、「乱暴」なスタッカートの例、「元気のない」スタッカートと、その直し方の例をご紹介しています。練習やレッスンの参考にされて下さい。