ピティナ調査・研究

008.指の動き=筋力アップ?「歩いていても足は速くならない!?」

100のレッスンポイント

いくら散歩しても、かけっこには勝てない!足を速くしたければ、それなりの筋トレが必要でしょう。
ピアノの演奏でも、指が動く筋肉が必要です。その曲に適した速さで弾かなければ、作曲家の意図したイメージの曲にはなりません。
小さい子には、どの曲も同じスピードで弾いてくる子がいます。自分の動かせる指の速さが決まっているからでしょうか?
ゆっくり弾けば、どんなに良くないテクニックでも弾けることがあり、テンポを上げてはじめて、自分の奏法の弱点や筋力の不足に気づくこともあります。
テンポアップも、必要だと思います。
打鍵力はとても重要で、特に小さい頃は、その力がないために上手く音が出ず、余分な力みが加わることがあります。楽に弾くためには「筋トレ」が必要な時期もあるように思います。

ハノンは、「こんなの、先生の所で1回間違わずに弾いたらいいや!」というような考えが身につく前に、繰り返しが楽しい時期にしています。ゆっくり、リズム練習3回、倍の早さ、の5回一組です(子供用のハノンが市販されています)。※「エピソード」もお読み下さい。
打鍵の強さとともに、スピードもコントロールできることが必要です。それによって音色が変わるわけですから。
そのためにも、まずは、簡単な筋トレをご紹介しましょう!
耳元で、1と2の指をパチンと合わせてみましょう。なるべく速いスピードで合わせた瞬間に離します。シャープなコン!コン!とした音が出ますか?
自慢ではありませんが、講座で行った時、私より強い音の人は未だにいないです。
何故強いか?腕全体を脱力して、腕の骨も振動するようにしているのと、少しは筋力もあるからでしょうか?
公開レッスンで生徒さんに試してもらうこともあります。耳元で鳴らす指の音がはっきりしてくると、ピアノを弾くときでも、びっくりするくらいキラリとはっきりした音に変わることがあります。
ショパンエチュード・黒鍵を弾いていてどうも冴えない音の生徒に試してみても、急にシャープな音になりましたよ。
意外にちょっとしたコツで打鍵のスピードが早くなり、クリアーな音が楽に出せるようになるかもしれません。もちろん逆に柔らかい音色も必要ですが、それは別の機会にお話しましょう。
少しだけ弾きにくい時、動きが敏感でない時。そういう時はほんの少し、筋トレしてみてください。
指が楽に動くための筋トレも、練習曲のようなものです。筋力は常に高めていきますが、結局は、やはりたくさん弾くに限るとも思います。たくさん弾けるためには「楽で、楽しく!」が大事!どんな練習にもステキなところはたくさんあります。たくさん弾くと筋力もまたアップし、曲に出会うだけ、表現力もアップするでしょう!

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エピソード

昔、小学3年生の生徒がコンペ課題曲の練習で、ブルグミュラーのアラベスクを弾いていたのですが、16分音符のところがうまく弾けません。
その子は、ちょうどハノンを始めたときでした。そこで、2週間後の次のレッスンまでに「同じのではつまらないから、毎日違う番号の曲を弾いて、10曲くらい進んでいってね!」と宿題をだしました。しかしその子は「毎日10曲弾こうね」と勘違いしたらしく、毎日変奏を入れ5回ずつ、計50回ずつ弾いたそうです。😊
  当然、すごい指になっていました。「一生分のテクニックついいたの?」というくらいでした!この話は、その後、皆にするのですが、なぜか誰もまねをしてはくれません!😆

試してみよう

本文中でご紹介している「耳元で指をパチンと合わせてみる」というトレーニングです。「1と2」あるいは「1と3」の指などをすばやくコンコンと打ってみましょう!シャープな音がでることを目指してみてください。