ピティナ調査・研究

第39回 ソナタ 第8番(ウィーン原典版番号) イ長調, Hob.XVI:5

ハイドンの世界

曲全体を通じて、長調と短調のモチーフが目まぐるしく登場するソナタです。このソナタは、真にハイドンの作品であるのかその真偽が問われていますが、フレーズや和声進行においてハイドンらしさを随所に感じることができます。しかし、短調の第2主題が突然現れる1楽章や、長調と短調のフレーズが忙しく交互する3楽章など、曲の展開がぎこちなく感じられる箇所も数多くみられます。フレーズのひとつひとつは、ハイドンの作品や古典派音楽でみられるユーモアがたくさん散りばめられているため、演奏時は曲から得られるインスピレーションを大切に弾きたいものです。

Haydn: Sonate für Klavier Nr.8 A-Dur Hob.XVI:5
第1楽章
第2楽章
第3楽章
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