この曲は、私が中学生の頃に勉強し、ピティナのコンクールでも弾いた思い出の曲です。すっきりとした構成をもつ素晴らしいソナタで、変ホ長調のあたたかい雰囲気が全体を包んでいます。1楽章の速度表記は、ハイドンが自身の作品に多用したAllegro moderato。2楽章のメヌエットはとても愛らしく、トリオでは変ホ短調に転調します。最終楽章では、右手と左手のメロディーラインがまるで対話をしているようです。そのメロディーは、曲が進むにつれて微妙に変奏し、明るく曲を締めくくります。