ピティナ調査・研究

第21回 ソナタ第9番 Hob.XVI/4 二長調

ハイドンの世界
SONATA No.9 Hob.XVI/4 (Moderato)-Menuet-Trio D:

ハイドンの初期の作品の中では、聴かれる機会の多いニ長調の小さなソナタです。音符の数が少なく、単純なメロディーと伴奏でここまで愛らしい雰囲気が曲全体を包んでいることに、私は弾くたび感動してしまいます。1楽章は、展開部でイ長調になったあと、ロ短調に転調しますが、再びテーマがもどってきたあとは、2・3楽章全てをニ長調でまとめています。

第1楽章
第2楽章
ハイドンひとことメモ
「第21回 ハイドンのクラヴィーア・ソナタ ─鍵盤楽器について─」

ハイドンのソナタは長調で書かれたものが多いですが、その割合は果たしてどれくらいなのでしょうか。断片のみ残っているものや、消失したものも含めて数え、さらに重複して数えられているものは左側の数字(全65曲)で、消失・断片のみ以外で調査したものは(全52曲)、カッコ中の数字です。

長調 短調
ニ長調
ハ長調
変ホ長調
ト長調
イ長調
変ロ長調
ヘ長調
ホ長調
変イ長調
ロ長調
10(9)
10(8)
9(7)
7(7)
6(4)
5(3)
4(3)
3(3)
2(2)
1(0)
ホ短調
ハ短調
ロ短調
ト短調
嬰ハ短調
ニ短調
3(2)
1(1)
1(1)
1(1)
1(1)
1(0)

やはり圧倒的に長調で書かれたものが多いです。ハイドンの生きた時代は、宮廷に捧げる音楽がほとんどでしたので、きっと明るい曲が多いのでしょう。交響曲や弦楽四重奏等においても同じ事が言えますが、それはまたひとことメモで、追々書いていきます。