ピティナ調査・研究

第15回 ソナタ第19番 Hob.XVI/47 ホ短調-ホ長調

ハイドンの世界

何といってもこの曲は序奏のような第1楽章がとても美しく、ホ短調の透明感のあるメロディーが心にしみます。序奏のようなAdagioのあとは、ataccaで愛らしいAllegroが出てきます。鍵盤をいっぱいにつかって元気なモチーフがたくさん登場し、続く3楽章は、同じホ長調で受け継ぎ、メヌエットの優しい雰囲気のうちに終わります。

ハイドンひとことメモ
「第15回 ハイドンとモーツァルト その2」
この回からは、分かりやすく表にして書いていきたいと思います。ハイドン40歳、モーツァルト17歳の1772年から、ふたりの物語が始まります。このウィーン滞在で、モーツァルトは初めてハイドンの作品と遭遇したとされています。
  J.ハイドン
(40歳)
W.A.モーツァルト
(17歳)
1772年 弦楽四重奏「太陽四重奏曲」作品20全6曲を作曲。
この曲は、モーツァルトがウィーンで弦楽四重奏を書いた前年には作曲していたものの、出版はされていなかった。
左記のハイドンの弦楽四重奏をウィーンで聴いたか、もしくは何らかの手立てで筆写譜を手に入れる。この作品から強い影響を受け、モーツァルトも弦楽四重奏曲を作曲。
「ハイドン・セット」と呼ばれるその6曲は、速筆なモーツァルトが2年かけて作曲したという力作。
第1曲の第2楽章の主題は、ハイドンの作品20の第5曲第4楽章を手本にしている。