ピティナ調査・研究

第6回 ソナタ第3番 Hob.XVI/9

ハイドンの世界
SONATA No.3 Hob.XVI/9 F: Allegro-Menuet-Trio-Scherzo:

小さいソナタながらも、管弦楽曲を意識したような旋律が多く、オクターヴの使用が目立ちます。1楽章は4分の2拍子で書かれ、どちらかというとハイドンらしいあたたかさに満ちた曲です。2楽章は、1楽章の雰囲気をそのまま受けつぎながらメヌエットの拍子になり、その後のトリオでは変ロ長調に転調します。最終楽章は、スケルツォと記されていて、軽快で明るい雰囲気のうち幕を閉じます。

第1楽章
第2楽章
第3楽章
ハイドンひとことメモ
「ハイドンの弟ミヒャエル その2」
ミヒャエルは、モーツァルトと大変仲が良かったようで、モーツァルトの姉ナンネルは日記にミヒャエルとモーツァルトがいつも身近であった様子を書き記しています。その日記には、彼らと、友人たちで弦楽四重奏などを演奏した事などが記されています。その他にも、ミヒャエルが作った曲をモーツァルトが演奏したり、大司教から作曲を命じられ、ミヒャエルが病気で曲が書けなかったときも、モーツァルトが代理で作曲し、困っていたミヒャエルを助けたという話も残っています。ミヒャエルは周囲の人々から大変尊敬されていたようで、ほかから魅力的な仕事の申し出があっても、それを受けることはせずに、ザルツブルクの宮廷コンサートマスターを勤め始めてから44年間、職務に服しました。69歳でザルツブルクで亡くなった時、ミヒャエルにはごくわずかな遺品しか残っていませんでした。彼は長期に渡る病気のために、全財産を手放さなければならなかったといわれています。
調査・研究へのご支援