ピティナ調査・研究

第5回 フルート時計のための作品によるアレグレット Hob.XVII:10

ハイドンの世界
ALLEGRETT nach einem Stuck fur eine Flotenuhr Hob.XVII/10 G:

この曲は「フルート時計のための作品によるアレグレット」というタイトルで、18世紀に発明されたフルート時計がモチーフとなっており、モーツァルトベートーヴェンもフルート時計のための作品を残しています。35小節しかない規模の小さな曲ですが、ハイドンらしいドラマ性に溢れています。随所で聴こえてくる装飾音がとても愛らしく、弾いていてとても楽しい曲です。

アレグレット Hob.XVII/10
ハイドンひとことメモ
「ハイドンの弟ミヒャエル その1」
ハイドンに兄弟がたくさんいたのは前回のメモで書きましたが、その中でもハイドンより5歳年下の弟のミヒャエル(1737-1806)は、音楽家として様々な方面で活躍しました。ヨーゼフと同じくローラウに生まれ、幼少の頃は兄のあとにしたがってウィーンのシュテファン大聖堂に入り、聖歌隊として歌う傍ら、ピアノやオルガン、ヴァイオリンを学びました。その後はモーツァルト同様、ザルツブルクの宮廷楽団のコンサートマスターを務めながら、作曲活動にも積極的に取り組み、オペラやジングシュピール、数多くのドイツ語による盛儀ミサ、声楽曲やリート、器楽曲まで、様々な種類の作品を書きました。現在はほとんど演奏される機会がありませんが、モーツァルトはミヒャエルについて「まことにすぐれた対位法作曲家」と評しました。