第2回 主題と6つの変奏 ハ長調 Hob.XVII:5
この曲はハイドンが58歳の時に作られました。ハイドンのピアノ作品の中で、私が最も好きな曲の一つです。やさしく問いかけているような愛らしいモチーフが、目まぐるしく展開をしていきます。短い曲ですが、素晴らしい構成感をもち、特に第5変奏の短調から最終変奏へ向かうフレーズは簡潔ながらも美しく、第6変奏はハイドンらしい明るい輝きに満ち溢れています。小さい頃、慣れ親しんだ大好きな曲を今回また弾く事が出来て、とても感慨深いです。
「ハイドンの生まれた土地」
1732年3月31日、フランツ・ヨーゼフ・ハイドンは、ハンガリーの国境に近いオーストリア東部の小さな村、ローラウに生まれました。当時、この地域はハンガリー国王領で、権勢を誇っていたハーラッハ家の宮廷があり、ローラウはハーラッハ伯爵の城下町でした。ハイドンの家は決して裕福ではなく、音楽の環境も整っていませんでした。のちに、ベートーヴェンは自分の師でもあったハイドンの生まれた家の絵を見て、「こんな掘っ立て小屋の百姓屋からあんな偉大な人が生まれたとは...」と感嘆の声をもらしたそうです。現在、ハイドンの生家は、ハイドン博物館となっています。