ピティナ調査・研究

会員情報交換会:未就学児の子育てと教室運営の両立を考える Vol.1

新しい生活様式・新しいレッスンスタイル
「新しい生活様式」のレッスンが求められる中、感染予防対策を実施しつつ、対面とオンラインの特性を生かしたレッスン・指導・アドバイスを工夫している先生方がたくさんいらっしゃいます。「Stay at Home, Keep on Music」では、少しずつでも、各地の先生方の体験・情報・ノウハウをできる限り多く集め、この状況のなかでできることを応援してまいります。
開催レポート:未就学児の子育てと教室運営の両立を考える Vol.1

2020年12月3日、オンラインにて会員向け情報交換会を実施し、全国各地から17名の指導者にご参加いただきました。今回のテーマは「未就学児の育児と教室運営の両立を考える」。3人のお子さんを育てながら指導者、ステップアドバイザーとしても活躍されている吉田緑先生をゲストスピーカーにお迎えし、日々の生活の中での課題や、それを乗り越えるための方法をお話しいただきました。情報交換の時間には、それぞれの先生方が子育てと指導を両立するために実践しているアイデアを共有し、これから結婚や出産を考える先生にとっても大きな学びの機会となりました。

産後の仕事復帰について
コロナの感染拡大もあり、小さいうちから保育園に預けることに不安を感じています。出産後すぐに仕事に復帰された方、レッスン中はお子さんをどのようにされていましたか?
  • 生徒のお母さんに見ていただいたり、夫が家にいる曜日にレッスンを組んでいました。(河股 紗耶先生/神奈川)
  • 信頼できるベビーシッターさんにお願いし、家に来て下さる曜日にまとめてレッスンを組んでいました。(柳澤 知子先生/長野)
  • 第一子を出産した直後は実家から離れた場所に住んでいたのですが、夫の仕事が休みの土日にレッスンを組みなおし、子どもを連れて実家に泊まりがけでレッスンをしに行っていました。授乳やおむつ替えを挟みながらのレッスンは体力的にも負担が大きいため、産後はお身体大事にされた方がいいと思います。(渡邉 喬子先生/福島)
  • 子どもが小さかった頃は、レッスンの曜日や生徒数をセーブし、レッスン中は自宅リビングで生徒のお母さんに見ていただきました。子どもたちの手が離れてから、少しずつ曜日を増やしていきました。(山口 寧子先生/大阪)
  • 私は平日に1日と土曜日の週2日レッスンをしています。土曜日は夫が、平日はどちらかの実家が、1歳2か月になる娘を見てくれています。(新保 恵里香先生/福岡)
  • 今年の7月に出産し、2週間後からレッスンを再開しました。コロナの感染者も多かったので、産後はオンラインレッスンをしていましたが、産後の体調が安定しない中で活用できるツールだと思いました。(天野 玲美先生/神奈川)
ママ友との付き合い方について
ママ友から子どもにピアノを習わせたいと相談を受けた場合、お引き受けしていますか?また、お受けした場合、どのような距離感で接するべきか悩んでいます。
  • 私はもともと仲の良かった友達から子どもを教えてほしいという相談が多かったです。その場合は付き合いも長く、お互いのことをよく理解した上で通ってこられるので悩むことはありませんでしたが、娘の幼稚園のお友達が入会する場合は一定の距離を保つようにしています。(安保 優子先生/岐阜)
  • 息子のクラスメートから入会の相談を受けることがありますが、事前に教室のスタンスや指導の方向性を伝えた上でご検討いただいています。場合によっては知り合いの先生を紹介することもあります。(野澤 加奈枝先生/東京)
  • お月謝の滞納や急な退会など、普通だと失礼にあたることも、親しい間柄なら許されると思っている方も中にはいるようです。後々トラブルに発展することがないよう、入会前に教室のルールを事前に説明することを心がけています。(尾島 未佳先生/東京)
レッスン時間の組み方について
ピアノの先生は夕方から仕事を始めることが多いと思うのですが、だいたい何時から何時頃までレッスンをしていますか?
  • 自宅と教室が近いので、幼稚園に迎えに行き、一度家に連れて帰ってから教室に向かいます。夜はたいてい20時までレッスンをしているので、帰宅は20時15分頃です。それから子どもの宿題を見たり、お風呂に入れないといけないので、毎日がバトルです(笑)(吉田 緑先生/ゲスト)
みなさんのお子さんもピアノを習わせている方が多いと思うのですが、どのように練習させていますか?小学校だと登校時間も早いですし、帰宅するとこちらの仕事が始まってしまいます。
  • うちの娘たちにはヴァイオリンを習わせているのですが、下の子(年長)は登園前に、上の子(小3)は私のレッスンが終わってから練習しています。(木高 裕子先生/愛知)
  • 息子(小4)の練習時間を増やすために24時間防音のマンションに引っ越しました。コンクールの前は朝5時に起きて5時半から登校時間まで練習し、帰宅後は私がレッスンしている間にご飯やお風呂を済ませ、レッスン終了後から22時までピアノに向かう生活です。フルで生徒は受け入れず、息子の練習時間を確保してからレッスン予定を組むようにしています。(野澤 加奈枝先生/東京)
仕事と家庭のバランスについて
週末は子どもとの時間を大事にしたいと思っているのですが、土曜日にレッスンを希望する生徒も多く、家庭と仕事のバランスの取り方で悩んでいます。週末のレッスンはみなさんどうされていますか?
  • 息子がもうすぐ1歳2か月になります。夫が土日休みなので、週末は家族で過ごすことに決め、レッスンは平日のみにしています。将来的にスポーツ等の習い事をする可能性も考えると、土日は空けておきたいなと思います。(山本 安耶香先生/大阪)
  • 土曜日の開講については迷いましたが、まだ生徒数が少ないので受け入れることにしました。日曜日は家族で過ごす日にしています。(新保 恵里香先生/福岡)
  • 本当は週末を休みにして家族の時間を取りたかったのですが、日曜日希望の生徒がいたため、レッスンすることにしました。(沼田 桂子先生/東京)
自身の練習や勉強時間の捻出方法
仕事や育児の負担が多い中で、自分の練習や勉強時間の捻出に悩んでいます。
  • 教室を開いた当初は毎週レッスンをしていましたが、今は月3回にしました。月に1回、曜日によっては2回お休みができるので、自分の勉強時間に充てることができますし、自分や家族が体調を崩してしまったときも振替レッスンを入れることができます。レッスン時間も1時間から45分に減らしました。人数を増やして収入をあげるのではなく、余力を残し、質を上げることで単価を上げる方がベターだと思います。(野澤 加奈枝先生/東京)
  • 私は年間回数を40回にしているので、レッスンが3回の月が何回かあります。少しのゆとりを持ってレッスンを組むことも大事だと思います。(吉田 緑先生/ゲスト)

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「新しい生活様式」でのレッスンが試行錯誤でスタートしています。小さな気づき、失敗談、試行錯誤を含めた多くの情報・体験談をお寄せいただき、先生方お一人ごとのレッスンをカスタマイズするサポートができればと願っています。「生徒に寄り添って、今できる、私なりの指導」を皆様と一緒に模索していきます。注)各事例を「推奨」するものではありません。また、各記事はその時点の状況です。

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