ピティナ調査・研究

荒石果穂さんレポート:第2回カロル・シマノフスキ国際音楽コンクール

荒石果穂さんレポート
第2回カロル・シマノフスキ国際音楽コンクール

この度、第2回Karol Szymanowski International Music Competitionにて第1位をいただきました!
応援してくださった皆様に、この場をお借りして感謝の気持ちをお伝えできれば幸いです。
ポーランドに来てからこれまでの日々をご報告させていただきます。

まずワルシャワ空港に着いてすぐに、これから乗り換え予定だった国内線の飛行機が突然キャンセルされたと連絡が届きました。
こちらには頼れる人もいなく、英語が通じる人も少なくて、これからどうしたらいいのか途方に暮れてしまいました。
電車でカトヴィツェまで行くことにしたのですが、満席で切符が買えなかったりとハプニングの連続でした。
なんとか電車に乗れて宿泊先に到着したのはワルシャワを出てから約8時間が過ぎていました。

翌日、ピアノ選びの会場の場所がわからず開始1分前に到着したり、出場順の抽選セレモニーに行くとポーランド語だけで内容がわからず、気付いたらセレモニーが終わっていて自分の出番がわからなかったりと、てんやわんやな1日でした。
一次予選が最終日の最後の方になったことで、精神的にも身体的にも一度落ち着いて立て直すことができたのでとても助かりました。

シマノフスキ音楽院はとても施設が整っていて、どの練習室も広く、素晴らしいピアノが並べられています。ほぼ1日中練習室を使うことができたのも、とてもありがたかったです。

一次予選(9/5,6)はシマノフスキ、リスト、ショパンのエチュードを1曲ずつ、シマノフスキのマズルカを2曲、ショパンの作品を1つで合計30分以内という課題でした。エチュードを3曲というのはかなりハードでしたが、ポーランドの聴衆の皆様も審査員の先生方もあたたかい拍手で迎えてくださったおかげで過度に緊張せず弾くことができました。きっとこれまでのコンクールで1番リラックスしていたのではないかなと思います。

セミファイナル(9/9,10)はベートーヴェンのソナタを1曲、22分以上のシマノフスキの作品、それに加えて作曲部門の入賞者の作品を弾くという課題でした。こちらも体力が持つか心配でしたが、素晴らしいホールで大好きな作品を弾くことができて、幸せだなぁと感じあっという間の時間でした。聴衆の皆様も高い集中力で聴いてくださっているのを感じ、音楽に集中しやすい環境でした。

セミファイナルの翌日(9/11)に、ファイナルのピアノ選び、指揮者の先生との打ち合わせ、オーケストラとのリハーサルがありました。リハーサルは30分だけで本番当日(9/13)のゲネもなくいきなり本番とのことだったので、とても集中して臨みました。シマノフスキはピアノ協奏曲ではなく、交響曲第4番ということもあってオーケストラとピアノが密に絡み合って進む曲なので30分では確認しきれず、その後1人でひたすらイメージトレーニングをしていました。

ファイナルの演奏前、ホールいっぱいの聴衆の方を見て急に緊張してしまいました。冒頭からピアノどこで入るんだっけ...というふうに頭が真っ白になりましたが、曲の大半はとても楽しく弾くことができました。一緒に演奏する楽器の方とアイコンタクトを取り、指揮者の先生とはまるで言葉を交わしているかのようにやり取りができたことで本当に助けられ、オーケストラは最高だなぁと改めて感じました。オーケストラの皆様と1つの音楽を共有しそれを聴衆の方に伝えることができ、本当に幸せでした。

ファイナルが終わってから今日(9/19)まで、インタビューを受けたり撮影していただいたり練習したり、のんびり過ごしています。
ガラコンサートは9月23日18時(日本時間24日深夜1時)から、ポーランド国立放送交響楽団(NOSPR)のYouTubeで配信されます!
もう一度シマノフスキの交響曲第4番を演奏させていただけるということで、とても楽しみにしています。
私なりの解釈でシマノフスキの魅力を伝えること、そしていつも応援してくださる皆様へ感謝の気持ちを込めて精一杯演奏します。
深夜の放送にはなりますが、是非ご覧いただけると幸いです。

まさか1位をいただけるとは思っていなかったのでとても驚きましたが、この結果に恥じることのないよう、日々謙虚に研鑽を積んでいきたいと思います。いつも応援してくださる皆様には、重ねてにはなりますが本当に感謝の気持ちでいっぱいです。日本でもシマノフスキの魅力を伝えながら、あたたかい音楽を奏でられるピアニストになれるよう精進して参ります。

(文・荒石果穂)