北村明日人さんレポート:ポーランド・ナウェンチェフ音楽祭
7月17日〜28日にポーランドの東部の街ナウェンチェフで行われた音楽祭に派遣していただきました。私は音楽祭後半の23日から参加し、主宰者でもあるKazimierz先生と奥様のトモコ先生に連日温かいサポートをいただきながら充実した1週間を過ごしました。
音楽祭の参加者は私と野村友里愛さんの他に2人おり、全員でKazimierz先生夫妻の家に泊まり込み寝食を共にしました。毎夜生徒や講師のコンサートがあり、たくさんの刺激を得ることができました。
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初日にはショパンの生まれたジェラゾヴァ・ヴォラに連れて行っていただきました。広大な庭園を持つスカルベク伯爵の土地の中にぽつんと建つ一棟がショパン生家だそうです。(現在の建物は改築されたもの)
お昼になると、このショパン生家でコンサートが始まりました。演奏者の姿は見えず、観客は外の庭園に座って聴いていました。この日の演奏者はポーランド人のLukas Krupinskiさん。子犬のワルツや舟歌など聞き馴染みのある曲からあまり聞かれない作品など幅広いショパン作品を演奏されました。
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ショパン生家を訪れた後はワルシャワ市内に戻り、少し観光をしました。戦争で土地の90%を焼かれたワルシャワは再建時、できるだけ元の街と同じようになるように復興されていったそうです。その跡はワルシャワの街をぐるっと囲む赤レンガの城壁からも見ることができます。すべて新しい資材ではなく、僅かに残ったレンガを用いて城壁が築かれているところからも、復興に携わった人々の熱意を感じました。
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2日目からは先生のお宅のあるKazimierz Dolny という小さな町で各々練習や観光をしていました。この町は画家が多く、至る所にギャラリーが点在しています。また山の上にはKazimierz Dolny Castleという13-14世紀に建てられた城跡があり、観光地としても注目される町だそうです。
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毎日19時からナウェンチェフのホールで演奏会が開かれており、Kazimierz先生の運転で45分ほどかけて聴きに行きます。私のリサイタルは25日でした。会場のピアノはベーゼンドルファーで、演奏したバッハやブラームスによく合う豊かな響きのピアノでした。雨が降っていたにも関わらずお客様はかなり多く、皆さんとても温かく聴いてくださいました。アンコールにはスタジオジブリの曲を用意していましたが思った以上に反応がよく、ジブリ作品が世界的に認知されていることを強く感じました。
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Kazimierz先生の家の近くにあるWikarowskaという施設にも小規模なホールがあり、こちらでも演奏会が行われていました。音楽祭の参加者4人でのミニコンサートを2回行い、施設の方からたくさんのお花をいただきました。
最終日にはナウェンチェフでオーケストラとのコンチェルト。参加者4人の他トモコ先生も演奏し、指揮はKazimierz先生でした。この1週間の経験への感謝を込めた演奏になりました。
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ポーランドは人も町もどこか素朴で優しい雰囲気に満ちていました。弾く側も聴く側も純粋に音楽を楽しめる空間に触れることができた貴重な経験でした。今回の音楽祭の派遣には2022年度のクラウドファンディングからサポートをいただいております。たくさんの方にご支援いただいていることを忘れずにこれからも精進していきたいと思います。