ソロ・デュオ部門 入賞者記念コンサートを聞いてみよう~ロマン派作品編~
~ロマン派作品編~
3月20日に、ソロ・デュオ部門 入賞者記念コンサートが行われます。前回のコンペティション入賞者の演奏を、一日でまるごと聞くことが出来ます。インタビューも公開中!
入賞者記念コンサート 特設サイト今回は演奏曲目の中から「ロマン派作品」6曲を紹介します。
コンサートはライブ配信も予定しています。こちらもお楽しみに!
この曲はダンテ・アリギエーリの叙事詩「神曲」の第一部「地獄篇」からインスピレーションを得て作られています。ダンテが描く壮絶な地獄の情景を、リストは突進するようなパッセージや重厚な和音によってピアノで表現しています。
「ハンガリー狂詩曲」は、リストがハンガリーで聞いたロマ(ジプシー)の音楽をもとに作曲されました。ゆったりとしたテンポから徐々に速度を上げ、最後は熱狂的に終わる「ヴェルブンコシュ」という音楽をルーツとしており、ハンガリー狂詩曲の多くが緩急差のある音楽スタイルを踏襲しています。第12番でも力強い前打音を含むゆったりとした導入部分から、華々しい終わりに向かい次々と曲が展開していきます。
この曲はショパンの没後4世紀半経た1875年に初版が刊行されました。姉のための夜想曲(ノクターン)風練習曲として作曲されたと言われており、その際には「アンダンテ」というタイトルとともに「レント・コン・グラン・エスプレッシオーネ Lento con gran espressione(ゆったりと、表情豊かに)」という曲想標語が掲げられていました。冒頭に序奏があり、その後分散和音による伴奏と哀惜を感じさせるような旋律が登場します。
この作品はシューマンが妻クララのために作曲した歌曲集『ミルテの花』の第1曲「献呈」を、リストがピアノ独奏版に編曲したものです。原詩は恋人への思募を吐露する恋愛歌で、「君はわが魂、君はわが心・・・」と歌い出されます。ゆったりとした曲調の中で右手の旋律が伴奏に対して浮き出て演奏されます。
演奏動画を見る 詳しく読むブラームスがドイツでの演奏旅行で出会ったロマの音楽を採譜、編曲した作品です。初版時には1台4手ピアノ連弾のための作品として発表され、のちにブラームス自身によってオーケストラ版(※抜粋)やピアノ独奏版にも編曲されています。ピアノ版では一つ一つの音がはっきりと聞こえ、重厚感のある中音域の旋律とそれに対する高音域での細かい装飾音のコントラストが際立ちます。
「マズルカ」はポロネーズとともに、ポーランドにおいて最も郷土色が濃い舞曲です。ショパンは生涯で58曲もの「マズルカ」を作曲しています。この曲はト短調で書かれていますが、変ロ長調と捉えられる部分も多く、曲調は暗すぎずどこか哀愁が漂っています。中間部(1:01〜)で登場する単音での物憂い旋律が印象的です。
- 参考:Oxford music online