「四季」は「12の性格的小品」という副題のついたピアノ曲集で、チャイコフスキーは月々の特色に合ったロシアの詩を選び、1年の12か月のそれぞれの性格を音で描いています。「秋の歌」は10月、さびれた秋の風情を歌っています。抒情的なメロディが印象的で、穏やかな雰囲気でまとめられています。

続いて11月の「トロイカで」。トロイカは3頭立てのそりで、冬のロシアの風物のひとつです。雪の野を行くトロイカに託して心の悲しみを歌っています。ロシア民謡特有の響きとメロディ、鈴の音を交えた楽しい歌、高音の分散和音によって降り注ぐ雪が効果的に表現されています。

幕を閉じた第18回ショパン国際ピアノコンクールでは、多くのコンテスタントたちが演奏を披露してくれました。ショパンが最もよく用いた変イ長調で書かれた、軽快かつ華麗なバラードです。特色あるリズムから始まり、跳躍するオクターブやストレッタによって、最後には緊張感あるクライマックスをむかえます。

子供のためのピアノ曲集として作曲された「虹のリズム」は、多彩なリズムと楽しいメロディが魅力の作品です。この曲集に収録された「秋の光に落葉が舞って」は日本の秋を想起させるようなハーモニーの移り変わりが特徴的で（30秒～）、郷愁を感じられる作品となっています。

1814年に作曲された、ベートーヴェンが創作停滞期に陥っていた頃の作品。カデンツァ風の短い序奏から始まり、ゆったりした4分の3拍子のポロネーズの音楽が続きます（36秒～）。ポロネーズ・リズムによる音楽と即興的な要素で構成された挿入部分が交互に繰り返され、シンプルにまとめられています。

このソナタは全体としてとて穏やかで、のどかな情緒があふれる作品です。第1楽章は冒頭、低音で鳴る二音の上にメロディが歌われ、ゆったりとした楽想で始まります。曲が進行すると、軽快なパッセージとともに盛り上がり、華やかな場面へ一気に移り変わります。最後は再び田園情緒をもつ音楽が登場し、和やかな雰囲気のまま曲を締めくくります。