ピアノ曲事典：作曲家と作品解説『ドラ・ペヤチェヴィッチの世界』西井葉子氏
作曲家＆作品解説について…ピアニスト・西井葉子氏より
先月、クロアチアの作曲家に関する多くの演奏音源（YouTube動画）と解説がピアノ曲事典に登録されました。ドラ・ペヤチェヴィッチとリヴァディッチです。
長年クロアチア音楽の普及に尽力され、以前公開録音コンサートにも出演されたピアニスト、西井葉子さんにご提供いただきました。ピアノ曲事典としてもあまり例のない大規模な追加となった一連の掲載について、その経緯の説明を兼ねた挨拶文を寄稿していただきました。
皆様にはぜひ、この機会にクロアチアのピアノ音楽の一端に触れて頂きたいと思います。
（ピティナ・ピアノ曲事典編集部）
ピティナでは、二度の公開録音コンサート（2013年6月18日〈クロアチア音楽探訪〉、2013年10月11日〈世紀の変わり目に咲いた花～ドラ・ペヤチェヴィッチのピアノ作品～没後90年に寄せて～〉）で、クロアチアや旧ユーゴスラヴィア地域で活躍した作曲家と作品を紹介させていただき、「ピティナ・ピアノ曲事典」には、これまでに、多くの音源を登録させていただきました。
しかしながら、「ピティナ・ピアノ曲事典」において、それらの作曲家と作品の大半には、解説が付けられていない状態が続いていたため、私がこれまでに知り得た知識などをシェアさせていただけたらと思いました。
そこで、この度、「ピティナ・ピアノ曲事典」のために、公開録音コンサートの折に書かせていただいたプログラムノートや、CDのブックレットに書かせていただいた解説などをチェックし直し、順次、加筆修正しているところです。
「ピティナ・ピアノ曲事典」がより充実し、日本中のピアノ愛好者にとって、より便利で有益なものとなっていくことを願っています。
＜ペヤチェヴィッチのピアノ作品の音源について＞
2013年10月11日の公開録音コンサートでは、知られざる作曲家ドラ・ペヤチェヴィッチの世界をより多くの方々に知ってほしいという思いで、彼女の没後90年に寄せて、オール・ペヤチェヴィッチ・プログラムによるコンサートを企画させていただきました。
これにより、2013年12月20日の時点で、ドラ・ペヤチェヴィッチの現存するピアノ作品全50曲の「ピティナ・ピアノ曲事典」への登録が完成し、YouTube上で視聴できるようになりました。約1年半の間、全50曲の演奏動画の視聴が可能となっていましたが、2015年にCD「ドラ・ペヤチェヴィッチ：ピアノ作品全集」をリリースした後、より完成度の高いCDの演奏をこそ聴いてほしいという思いが強くなり、私の我儘により、公開中の演奏動画の大半を非公開にしていただくようにお願いしました。突然、多くの演奏動画が非公開となったことを不思議に思われた方もいらっしゃったかもしれません。この場を借りて、お詫び申し上げます。
それから約5年が経ちましたが、この5年の間に、ペヤチェヴィッチに対する認知度や評価は、日本のみならず、国際的にも、急速に高まりました。クロアチア国内は勿論のこと、イギリスやスウェーデンなどの国営ラジオでも、ペヤチェヴィッチの特集番組が何度も組まれています。
ペヤチェヴィッチに興味を持ってくださった方には、できれば、CDを手にとってほしいという思いに変わりはありませんが、この度、彼女の生誕135年に寄せて、「ピティナ・ピアノ曲事典」に、私のCDの音源を提供しようと思うに至りました。
2014年1月、雪の積もった幻想的な新潟で、5日間集中して、全曲を一気に録音した音源です。純粋に楽しんでいただければ、またペヤチェヴィッチをはじめ、クロアチアの作曲家や作品に興味を持っていただくきっかけとなれば、嬉しいです。