【予告・企画協力】ベートーヴェン・ピアノ曲全曲演奏プロジェクト 菊地裕介氏
◆ 予告・企画協力
菊地裕介氏
2020年にはベートーヴェン生誕250年。 この年に合わせてピアニストの菊地裕介氏(ピティナ正会員)による全ピアノ曲演奏プロジェクトが始動しました。 「1000分のベートーヴェン」と銘打った記念碑的イベントの成果を、ピティナの調査・研究ページでもご紹介していく予定です。
開催日程(各回14:30開場 15:00開演) | 第1回 1月11日 土 C.Bechistein Japan Concert Vol.5 第2回 2月23日 日 C.Bechistein Japan Concert Vol.6 第3回 4月4日 土 C.Bechistein Japan Concert Vol.9 第4回 5月31日 日 C.Bechistein Japan Concert Vol.10 第5回 6月21日 日 C.Bechistein Japan Concert Vol.11 第6回 7月24日 金・祝 C.Bechistein Japan Concert Vol.12 第7回 8月30日 日 C.Bechistein Japan Concert Vol.13 第8回 9月21日 月・祝 C.Bechistein Japan Concert Vol.14 第9回 10月18日 日 C.Bechistein Japan Concert Vol.15 第10回 12月20日 日 C.Bechistein Japan Concert Vol.17 |
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会場 | 汐留イタリア街(5区 西街区 グラディート汐留1F) 汐留ベヒシュタイン・サロン(アクセス) |
「ピアノソロ曲全曲」を取り上げるということですが?
厳密に「全曲」を網羅できているかどうかを確かめる方法はないですが、WoOが付いている曲も演奏します。未完の断片はやりません。
ピアノソナタ全曲に取り組むのも久々ですね?
2011年以来です。4枚あるソナタ集CDも、元々レコーディング予定ではなかったんです。偶然ホールで弾いていたら「録ろう!」という話がもちあがって、勢いで32曲録ることに (笑)。とはいえ、ピアニストなら全て弾いておくべき曲だと思います。レッスンする立場の人には必須じゃないかな。
ベヒシュタインを選んだ理由は?
ベヒシュタインで何かやりたかった。このピアノでドビュッシーに取り組みたいとも思っていますが。理由というわけではないかもしれませんが、昔「ベヒシュタインコンクール」の書類審査で落とされたことがあります(笑)。
今回はやはり「ピアノソナタ」が軸になるのですか?
もちろんそうなりますが、他の知られていない曲も「皆で宝探ししよう」というスタンスですね。
日本人はベートーヴェン好きが多いと言われます。「ベートーヴェン」とはどんな存在でしょう?
アンパンマンと一緒。夢や希望、やる気を与えてくれる存在。1曲だけ見ると悲観的に終わっていても、何か「不屈」を含んでいて、ポジティブに転化しようとする。何よりベートーヴェンは「空白」が素晴らしい。休符、反復、空虚なものの見せ方がうまい。「わびさび」や「間」に通じるのかも。
ベートーヴェンに似た作曲家というのは思い浮かびますか?
…ピアニズムという面でD.スカルラッティは似たところを感じるけど。ベートーヴェンは、ある意味「最も美しいC-dur」を書いたと思う。他の作曲家に特定の色があるならば、ベートーヴェンにはそれを感じない。言うなればバッハは白、ベートーヴェンは黒。大きなポジティブを秘めたダークマター…、プリミティブ(原始的、根源的)な感じ。
「ベートーヴェンらしさ」が確立するのはどの時期だとお考えですか?
常に見え隠れしていると思う。習作も多いけど、でも往年のベートーヴェンが至る所にいる。ハンマークラヴィーア(ピアノソナタ第29番)が一番気合いを要するけど、「ディアベリ変奏曲」や、あるいは初期のヴァリエーションも見逃せない。それらが後期ソナタにつながるわけで。
連弾では加々見茉耶さんとの共演もあり、奥深いシリーズになりそうですね。お話ありがとうございます。
(聞き手:岩本健吾)