第9回:YouTube広告でより多くの収益分配を得るために知っておいたほうが良いこと
YouTube広告でより多くの収益分配を得るために
知っておいたほうが良いこと
YouTubeチャンネル運営をビジネスとしてお考えの場合、収益構造について理解しておくと今後の事業プランを作るうえで有効かもしれません。
単純に言えば「たくさん広告で収益を上げる」ためには広告のの基本的な仕組みを知っておくのが有利ということです。
まず基本的な考え方としては…
チャンネルオーナーはGoogleから収益の分配を受けていますが、そのGoogleの主たる収益源は広告主からの広告費となります。まずは広告主の立場で考えてみましょう。全体像を整理しやすいです。
広告主は見込み顧客に対して、自社の製品・サービスなどを訴求したいわけですが、アピールする対象がYouTube視聴者です。
ですので、企業の広告はチャンネル、もしくは動画に対して出しているわけではなく、視聴ユーザーに対して出しているという考えると理解しやすいでしょう。
(「プレイスメント」と呼ばれる特定のチャンネルの動画を指定して広告を出す方法もあるのですが、その場合でもそのチャンネルの動画見ている視聴者に対して出しているという点では変わりません)
同じような視聴回数を持つ動画でも、得られる収益が大きく違うことがあります。実際、同じチャンネル内で同じような視聴回数でも、収益が10倍違うということも十分にあり得ます。その差を作る最も大きな要因はまさに「どんな視聴ユーザーであるのか」がポイントなのです。
基本的に、視聴ユーザーの年齢が上がれば上がるほど、1再生当たりの収益は高くなる傾向にあります。これは広告主のビジネスモデルによるところが大きいです。
例えば広告主が、数千万円~億単位の不動産物件をプロモーションしたい場合と、数百円のお菓子のプロモーションをしたい場合を考えてみてください。「広告を一度見せる」ということに対して出せる費用も違うはずです。
一般的に売上に対する広告宣伝の比率は3~15%くらいです。「1回広告を見せる」という行為に対して許容される出費がまるで違うわけです。
もちろん上記の例では見込み顧客の頭数も違います。お菓子なら多くの場合性別は関係ありませんし、対象年齢も広く、趣味や興味もあまり問いません。いっぽうの不動産の見込み顧客は、お金に余裕があり比較的年齢の高い方に限定されてきます。
ですので安い費用で多くの方に広告を見ていただくパターンと、高い費用で数少ない方に広告を見ていただくパターンがあるわけですが、それらの「総面積」の差が広告予算の差となります。
実際YouTubeチャンネルでも、若い視聴者に大人気で再生数の非常に多いチャンネルと、大人の視聴者に支持されてるそこそこの規模のチャンネルの月次の収益があまり変わらないという現象があったります。
また性別・年齢などの基本属性だけでなく、どういうタイプのコンテンツをよく見ているかといった趣味嗜好や、使われた検索ワード等から追う行動履歴にターゲティングするなど、まさに視聴者に合わせて広告が出される形になります。
チャンネルは広告収益化さえ行っていれば安定的に収入が入るわけではありません。あくまでも広告が入るチャンスを得ているだけなのです。実際に収入が入るかどうかは広告主の欲する視聴者次第ということです。
また広告主の立場で考えると、ある程度視聴ユーザー層をセグメントできたとしても、どのチャンネルのどの動画に広告が出ているのかをチェックすることはできません。それが、YouTubeに代表されるようなネットワーク型広告の特長ですが、広告主としての気がかりは「もしブランドのイメージを著しく損なうようなコンテンツに広告が出てしまったら…」という懸念です。
仮にそのリスクが大きくなった場合、YouTubeへの出稿を控えるようになるかもしれません。
そしてそのような広告主の数が増えた時に、そのマイナスの影響はYouTubeチャンネルオーナー(クリエイター)にも収益減というインパクトを与えるわけです。
言わずもがなですが、そうなると動画のクオリティは下がるでしょうし、更新頻度も下がり、結果視聴者にもマイナスの影響が出てしまうでしょう。
このような事態を避けるため、収益を得られるチャンネルであってもすべての動画に必ず広告が入るわけではありません。
広告主に適さないという場合には広告制限が付き、一般的な広告は入らず、そのため収益が激減します。
しかしこれは広告主だけを守ってるだけでなく、翻って言うならばYouTubeクリエイターの将来の収益を守っていると言えます。チャンネルオーナーの皆様には、YouTubeのエコシステムの一員としてご理解いただけましたら幸いです。
皆さん、1回動画が視聴されると、お金が得られる広告が何回動画が出ると思いますか?
- 動画を見ようとすると、最初に広告が出るけど、出ないこともあるから…
- スキップできる広告と、スキップできない広告があったような…
- 動画を見ようとしたら2回連続で広告が出たことがあったけど…
- 動画を見ている最中に、これからの展開がまさに面白そう!ってタイミングで広告が…
など視聴者としてYouTubeを楽しむ際に様々なケースを体験しているのではないでしょうか。
1再生あたりの収益は0.何円というように、「丸めて」表現されるケースが多いわけですが、様々な広告の組み合わせがありえます(連載の趣旨とズレるため細かな解説は割愛いたします)が、それらの平均値がいわゆる「1再生あたりの収益」になります。
視聴ユーザーの属性は除いて、収益性が高くなる傾向にある(つまり収益発生する広告が出る頻度が高い)例を挙げさせていただくと…
特定の人が何回も見ているわけではなく、実際に多くの人がみて閲覧回数が伸びているということです。広告主は特定の人に見せる上限回数を設定していたりします。
広告のクリエイティブにもよりますが、コンテンツと視聴ユーザーと広告がマッチしているかどうかを、このことから推定しています。
YouTubeトップなどでおすすめされているコンテンツは多くの視聴者・ユニークユーザーに指示されるため。
8分以上の動画にはミッドロール広告という途中に入るパターンの広告を設定できるため。
といった特徴が挙げられます。
最後に視聴エリアによっても収益性は大きく違います。
北米、欧州、日本は1再生当たりの収益性は高く(広告単価が高い、広告露出頻度が高い)、
インド、東南アジア、ブラジルなどは視聴ユーザー層も非常に多いのですが収益性は低い(広告単価が低い、広告露出頻度が低い)です。
同じジャンルのコンテンツだとしても視聴エリアによっては7倍近く収益性が違うなどの例もあります。
もちろん広く様々なエリアの視聴者に支持されることで、仮に収益性が低くても十分な収益を上げている、という例もありますから、何が正解、と決められるわけではありません。
また後の講座でも解説しますが、音楽のカバーコンテンツの場合は著作権オーナーへの収益シェアや、そもそも収益が得られないケースもあり、再生数は獲得しやすいものの、チャンネルとしての収益性が低くなりがちである、ということもあります。