ピティナ調査・研究

第8回:YouTubeチャンネルにおける基本的な収益構造について

Youtube活用講座
第8回
YouTubeチャンネルにおける基本的な収益構造について
  • 収益化
  • YPP
  • パートナープログラム

今回はYouTubeチャンネルで得る収益についての基本的な仕組みについてお話しますが、新たにチャンネルを作って動画を公開して「すぐに収益が得られる!」というものではありません。

まずはクリアしなければならない最低条件は…

  • チャンネル登録者:1,000人以上
  • 過去365日の総再生時間:4,000時間以上

となります。

YouTube Studioの「収益受け取り」を確認していただくことで、ご自身のチャンネルがどのレベルなのかを簡単にチェックすることができます。

この例ですと、チャンネル登録者は倍くらいにすれば良さそうですが、視聴時間はまだまだ足りません。

1本当たりの視聴回数を上げる、更新本数を上げる、視聴維持率を上げる、構成される尺を長くする、など、収益化に至らせるにはまだまだ施策が必要なわけですが、その施策の方向性を間違うと、仮に1,000登録・4,000時間を達成したとしても収益は得られません。この条件はあくまでも収益化の「申請」ができる段階を示すものであって、その後「YouTubeの収益化ポリシー」に準拠しているかどうかの審査があるのです。

詳しくはこちらをご確認ください

誤った認識としてよくあるケースが、

  • YouTubeで公開しても良い動画の基準
  • YouTubeで収益化をしても良い動画の基準

この二つを混同してしまう、ということです。

「YouTubeに公開しても良いけど(結果としてできているけど)、収益化はできません」という場合がある、という認識をしていただければと思います。

視聴者への短絡的なフックのために過激な動画を公開したとして、仮にそれが「公開」できていたとしても動画として収益化が認められない、そもそもチャンネル単位で収益化が認められない可能性もある、ということです。

仮にご自身が広告主の立場に立った時に「そのような(過激な)動画にお金を払って広告を出したいか?」と考えていただくと、理解しやすいと思います。

また、他のチャンネルですでに公開済みの動画を、ご自身のチャンネルでも公開した場合は「コンテンツの重複」として見られるケースがあります。これに該当すると収益化が認められないことが多いですので、注意が必要です。

チャンネルとして収益化(YPP~Youtube Partner Program~への参加)が認められたら

収益化の審査を通過すると、YouTube パートナー プログラム(YPP)の利用資格が得られ、動画単位で収益化を行うことができます。公開する動画の1本1本について、アップロード時に収益のオン/オフの権限が得られます。
各種ガイドラインに則って、収益化をしても問題ないと判断した場合についてはオン、明確にそうでない場合はオフを選択したほうが良いです。

というのも、仮にオンを設定したとしてもYouTubeによる審査によりオフになるケースがあります。それが多発すると、クリエイターの自己診断とYouTubeの審査に乖離があったと認識され、収益化審査が通過しにくくなることがあるからです。

簡単に言うと「自己診断が甘くて当てにならないヤツだから気をつけろ!」というレッテルが張られてしまうイメージですね。

ただ、この記事を読んでいらっしゃるのは音楽、特にピアノに関わるクリエイター様が中心ですので、基本的には「迷ったら収益化オン」という考え方でも「良いかな?」と個人的には思っています。

後の講座で「著作権」についての解説はさせていただきますが、いわゆる演奏(カバー、弾いてみた)動画をアップロード時に収益化オンにしていたとして、著作権の問題で結局収益が得られないケースが多々あります。しかし、そのような場合で後の収益化に影響が出ている例は見ていません。「自己診断との乖離がある」とみなされるケースではなさそうですので、あまり過敏にならず、「基本的には収益を得る設定で良いか」と個人的には考えております。

広告以外の収益モデル

YouTubeチャンネルの基本的な収益モデルは広告収益のシェアですが、最近ではユーザー課金のシェアも構成を高めています。
LIVE配信中の投げ銭(Super Chat)や、メンバーシップといったファンクラブのような仕組みが用意されています。それらもチャンネル単位での収益化(YPPへの参加)が条件となっており、メンバーシップなどはある一定の規模(チャンネル登録者で数万規模~)になって初めて使える仕組みです。

また最近ではEC(Electronic Commerce~ネット上でのお買い物~)へのシームレスな導線が用意されつつあり、動画からグッズ販売へつなげる新たな収益モデルとなると思われます。

何のために収益を得るのか

この記事をお読みの方々は「お金のため」を主な動機としている方は少ないかもしれません。しかしYouTubeチャンネルの運営することで収益が生まれ、そのお金を使ってさらなる視聴体験を提供できるということは、音楽を愛する方々にとっても価値のあることだと思います。

2021年3月現在、何かと不安定な情勢です。数多くの音楽活動が制限を受けている中、常に変わらず用意されているステージがあり、活動を続けれられるということは非常に価値の高いことではないでしょうか。