ピティナ調査・研究

第7回 視聴の習慣化~Hubコンテンツを育てることで継続的な成長を下支えする~

Youtube活用講座
第7回
視聴の習慣化
~Hubコンテンツを育てることで継続的な成長を下支えする~
  • ハブコンテンツ
  • 更新スケジュール
  • リアルタイム機能
  • 「いま見なければならない理由」
  • コンテンツの一貫性

前回は「3H戦略」についてお話させていただきました。

その中でも最も大事なのがこちら。

  • Hub(ハブ)~継続的に更新されるレギュラーシリーズでありチャンネルの核となる

とご説明したのですが、今回はそのハブコンテンツをいかに育てるのか、そしてそれはどのようなパフォーマンスを生むのか、ということについてお話します。

もちろんチャンネルの急成長の秘訣は「Hero」コンテンツですが、右肩上がりの堅調な成長を実現するには「常連の視聴者」に支持され続けるような、下支えするコンテンツ戦略がやはり大事になってきます。

とは言ってもコンテンツの中身自体は、各クリエイター様の情熱や、そのコンテンツを制作し続けられるようなリソース、スキルによっても様々です。
今回は比較的どのようなタイプのチャンネルにも言えるような共通項となり得る考え方にフォーカスしていきます。

「月曜日の9時」と言えば…皆様何を想像しますでしょうか?

私の年齢ですと、迷いなくすぐに「フジテレビの月曜日9時の連続ドラマ!」が思い浮かぶわけです。それは何の予定も差し置いて、TVの前にスタンバイしなければならない時間で、実際に高い視聴率を記録していました。
まさに習慣化ですが、やはりコンテンツどうしの競争というのはユーザーの時間の奪い合いです。このことはYouTubeにも言えるわけです。

ですので、YouTubeを活動の中心にしているいわゆるユーチューバーさんは、視聴者の方々の習慣化のために「毎週何曜日何時更新!」とか、「毎日何時に更新!」とかスケジュールを組んで運営をしているケースがあります。

熱心な視聴者(常連の視聴者)は、その更新動画を楽しみに、公開されたら真っ先に再生します。「1コメ!」などという言葉もありますが、場合によってはご自身の熱心さのアピールのため再生の前にコメント欄へ書き込む、という方もまれにいらっしゃいます。

こうなると、そうした視聴者が最もアクションしやすい時間に公開することもひとつの戦略になります。メインの視聴ターゲットが何曜日の何時くらいに見ていただけそうか、ということを想定するのが大事になってきます。

すでにYouTubeチャンネルをお持ちの方は、アナリティクスの視聴者ページをご覧いただくと以下のデータを確認することが可能です。

これはいつ視聴されているのか、が色の濃淡で把握できる仕組みとなります。

平日なら20時以降が視聴のピークであることがうかがえます。この時間帯を狙って予約公開(YouTubeでは公開時間をあらかじめ予約設定しておくことが可能)するチャンネルも多いと聞きます。

が、もちろん視聴者の皆さんの行動は当然似たような傾向になりますので、競合が多くて習慣化が難しいというケースも考えられます。このような情報も、あくまでも参考としてとらえていただければと思います。

現に平日のお昼休みを狙って、短尺動画を公開!という方法で急成長したチャンネルの例もありました。何が正解とは言えないところですが、「徹夜でやっと編集が終わったので明け方に」というようなことではなく、意図・狙いを定めることはお勧めです。
言い換えると、定期的な更新スケジュールを決めて運営することで、視聴者の皆さんにチェックいただきやすい環境を作る、ということになります。

また、併せて視聴されている地域などもチェックしてみてください。海外の視聴者が多ければ、その国の「ピーク時間」に合わせて公開したほうが良いでしょう。

ちなみに、こうした公開時におけるパフォーマンスのチェックは、YouTubeアナリティクスの「リアルタイム」という機能で確認が可能です。そこでは、おおよその視聴回数の推移を時間単位、分単位で確認することが可能です。

こちらの例は、高校生~20代前半の視聴者をメインターゲットにしたチャンネルですが、おそらく授業終わりの16時くらいから視聴が伸び、夕飯時にちょっとした谷があり、22時以降に急増するということが読み取れます。

さらに、更新日にどのような動きになるのか、更新の無い日にどのような動きになるのかを見ると、視聴者の皆さんの傾向がつかめますし、公開動画が常連の方に対して、いつもよりも「刺さった」のか、そうでなかったのかなどもチェックできます。

更新すれば真っ先に視聴してもらえるような求心力のあるチャンネルは、YouTube自体からもおすすめされるコンテンツが生まれる可能性が高くなり、チャンネルの急成長が期待できます。

その動画にはいま見なければならない理由がありますか?

公開スケジュールなどを決め、定期的に視聴いただけるような環境作りはもちろん大事ですが、同時に企画として「いま見なければならない(いちはやく見なければならない)理由」づくりも重要であると考えています。

YouTubeのように過去動画がアーカイブされるメディアは、良くも悪くも「いつでも見られる」という特徴があると言えます。皆様にも「あっ!これ面白そう!後で見よう!」と思って観忘れているという動画がおありではないでしょうか?「後回し」にされてしまうと、公開直後の視聴増の支障となるケースもあります。

ですので「今まさに見なきゃ!」と思ってもらえるような施策も考えたいところです。

例えば…

  • LIVE配信

いま見る理由の最たる例で、アーカイブで観ても視聴者にとって意味が薄くなるコンテンツだと思います。

LIVE配信では事前に公開ページを生成することができます。そのページを事前に告知し、リマインダー登録などを促すことで、熱心な視聴者に待機してもらうことが可能です。
そしてチャット等でコミュニケーションを図るなら、それはもう時間の共有をしなければ成立しません。ピアノであれば、その場でリクエストを募ってコンテンツに反映させるなど、時間を共有しているライブだからこそ実現できる施策は、視聴者にとって大きな魅力となるでしょう。

Heroコンテンツで新規視聴者の獲得をしつつ、Hubコンテンツの一つとして定期的なLIVE配信を決まった曜日、時間に展開するといった工夫により、視聴習慣をもっと定着させてもらえるかもしれません。

コンテンツの一貫性

多方面にアンテナを張った、多彩な方がクリエイターさまには多い印象ですが、ヒット動画・企画を発見した際には、それを軸に攻め続けたほうが良い、というケースがあります。

どうしても視聴者の皆様に価値を感じていただこうと、サービス精神で様々な企画を展開してしまい、「何をどんな楽しみ方ができるチャンネルなのか」が分かりにくくなる場合があります。
こうなると、視聴者は毎回見るべきか見ないべきかのジャッジをする必要があり、つい「後で…」となってしまいます。

ですので「前に見た面白かったヤツっぽい動画だ!、この前の続きのヤツね!」といった反応を期待して、当たった企画の切り口を若干変えて(「コスる」と言ったりします)類似のコンテンツを作るという手法が有効な場合があります。視聴において「どんな価値が得られるのか分かりやすい」つまり、「コンテンツの一貫性」が重要と言えるケースです。

  • 注:もちろん飽きられることもありますので、次のヒットを探るテストも必要なわけですが…

ということで、今回は「視聴習慣」という側面からお話させていただきましたが、次回はYouTubeをビジネスとしてとらえた場合の収益の構造について展開させていただきます。