ピティナ調査・研究

第6回 チャンネルの成長とチャンネル登録者の最近の関係値

Youtube活用講座
第6回
チャンネルの成長とチャンネル登録者の最近の関係値
  • 常連の視聴者
  • チャンネル登録者
  • ヒーローコンテンツ
  • ハブコンテンツ
  • ヘルプコンテンツ

YouTubeで活動するクリエイターの価値を図るうえで、最も有効な指標といえばやはり「チャンネル登録者数」でしょうか!?

「100万人の登録者を持つYouTuber!」と言えば通りもよく、知らないこちら側が不勉強な気にすらなってしまう著名人に聞こえます。

「いやいや登録者なんてアテにならないよ。やっぱり再生数でしょ!」という方は仕事でYouTubeに触れている方の見方かもしれません。

「何と言っても視聴時間だよ。それが収益に一番大きく影響するからね!」という方はすでに本業としてYouTubeに関係している方かもしれません。

様々な立場があり、その数だけの正解があるでしょうから一概には言えませんが、チャンネル登録者は「成長の証となるマイルストーン」である、とは言えそうです。

「10万、あるいは100万登録まで成長させることができた」という過去の実績を示します。でもそれは結果としてそこまでたどり着けたという指標であっても「ゴールではない」というイメージです。

「チャンネル登録者を〇件まで増やす!」ということをゴールとし、最大の目的としてしまう。もっと言ってしまえば「形だけのチャンネル登録者数」であれば、それはチャンネルの成長にはあまりプラスに働かないと言えるかもしれません。


さて、YouTube Studioで動画単位のアナリティクスを見てみると「概要」に以下のようなメッセージが出ることがあります。

公開直後の再生数が通常の動画よりも伸びたケースで表れるメッセージで、その要因を簡単に説明してくれる機能です。

表示してある言葉そのままですが

常連の視聴者が増えており・・・
→視聴時間が長くなっているので
→YouTubeで「おすすめ表示」される頻度が増えている

という経緯で「いつもの2.1倍の視聴回数になっているよ!」ということを教えてくれているわけです。

「なるほど!」と納得するとともに「常連の視聴者」って何?と疑問に思われるかもしれません。そのヒントになるのが同じページの下部にレイアウトされている次のデータです。

「どのような経路で動画が視聴されたのか」を分析するのが、このトラフィックソースなのですが、なかでも「[登録チャンネル]フィード」は、まさに常連の視聴者の動向を示している可能性が高いですし、よく見ているチャンネルの更新動画は「YouTubeトップ」に表示されますので、そちらも「常連」の動向を示していると言えそうです。

YouTubeはまず、このような「常連の視聴者」の動向をチェックするわけですが、その動向を最もよく数値で示しているのが「インプレッションのクリック率」だと考えられます。

つまり「常連客の〇〇%がクリックし、視聴に至った魅力的なコンテンツである」という理屈です。

次にチェックしたいポイントは、その常連客の実際の視聴における満足度ではないでしょうか?

確かにクリックはされ視聴には至っているけど「実際に見てみたらつまらなかった…」ということもあり得るからです。

ちなみに皆様はつまらない動画を見た際にどんな行動をとるでしょうか。

映画のように、「せっかくお金を払ってみているわけだし本当につまらないかどうか最後まで見ないと判断できない。最後まできちんと見よう!」とはなりづらいですよね?

YouTubeの場合は、ちょっとでも「つまらない」と感じたその時は既に視聴を中断しているのです。これを数値で表現すると「視聴時間」となるわけです。

ちなみに、上記に例示した動画では平均視聴時間が通常よりも1分49秒長い、ということが分かっています。このことにより、ただ単にクリックされやすい(視聴されやすい)だけでなく、長く視聴されたコンテンツでもあるということになります。だからこそ、YouTube側も「おすすめ表示される頻度を増やす」ことで、より多くの視聴者に見ていただこうという動きをとるわけです。

さらには、その多くの視聴者のクリック率と視聴時間次第ではもっと頻度が増すという好循環に繋がり、いわゆる「バズ」が生まれる形になります。

つまり、バズる最初の種は「常連の視聴者」であり、その最たる例が「チャンネル登録者」なのです。もちろんチャンネル登録には至っていないけど、最近よく見ているよね!という方も常連カウントされていると考えられます。

過去にチャンネル登録しているけど、最近ほとんど見ていないんだよね!という場合は[登録チャンネル]フィードのクリック率の低下を招くでしょうし、YouTubeトップに露出されてもクリックされず、その影響でそもそも露出されにくいという事態を招くことでしょう。

ですので、大事であるのは累積されるチャンネル登録者数ももちろんですが、現時点での熱心さ、も同時に重要になってくるということになります。現に「歴が長いので登録者数は多いが、最近の動画の視聴回数は少ないよね…」というケースが多く見られます。

チャンネル登録者数と、熱心さの関係を言い換えると、「なぜチャンネル登録に至ったのか」と「なぜ視聴し続けるのか?」ということのバランスが取れているか、ということだと思います。

無意識の判断で閲覧をする視聴者に対して、クリエイターが「意識的にコンテンツ展開できるかどうか」がポイントになりますが、これは3Hというコンテンツ戦略を意識することで整理できます。

コンテンツ分類における3つのH
Hero(ヒーロー) 広く多くの人に向けて展開されるコンテンツでチャンネルに視聴者を呼び込む
Hub(ハブ) 継続的に更新されるレギュラーシリーズでありチャンネルの核となる
Help(ヘルプ) 必要になったときに助けになるような、検索されやすいもの

です。

これはGoogleが提唱するコンテンツ戦略となります。

ちなみに、チャンネルの成長に当てはめるならば以下のようなイメージになります。

これはGoogleが提唱するコンテンツ戦略となります。

赤のヒーローコンテンツが急激にチャンネル規模を押し上げます。
青のハブコンテンツで習慣化させ定着させて、総じて右肩成長を実現できます。
ヘルプコンテツは、そもそもの視聴者の問題意識によってその役割がかわりますが、時事に合わせたヒーロー的な役割を担うケースもあれば、あるジャンルに特化したHowToチャンネルなどの場合ハブ的な役割も担うことがあります。

ヒーローコンテンツの最たる例は、人気のクリエイターとのコラボ動画や、流行のトレンド(最近ですと「モーニングルーティーン」、「ルームツアー」など)に代表されますが、新規のチャンネル登録者を獲得に寄与します。

そこで獲得した視聴者に、継続的にハブコンテンツを視聴してもらうことの繰り返しが、階段をステップアップするように成長していくことにつながる、ということです。

ここで重要になるのが、ヒーローとハブの視聴ユーザー層のマッチになります。

ヒーローコンテンツは女性受けで、主に女性の視聴者を獲得しているのに、レギュラーで展開されるハブコンテンツは主に男性向け、となるとターゲットと提供サービスがちぐはぐになり、ステップアップになりません。

ですので、「よし!YouTubeを本格的にやるぞ!まずはチャンネル登録者を獲得できる施策をまず考えなきゃ!」というよりも、まずは継続的にご自身が提供できる定番コンテンツ(情熱、制作コスト、ネタ・企画・切り口など)Hubを探し、その次に「そのコンテンツを楽しめる新規視聴者の獲得をするには?」というHeroを作る・・・という順番が基本かもしれません。

もちろんその中で意外にHero的な結果を出すHubコンテンツなどもある訳で、それはまさに「恒常的な成長の源泉を見つけた!」と言えます。

そういった高いパフォーマンスに気づく分析力も必要になってくるわけですが、今後の講座でもYouTubeアナリティクスを使った例をご紹介してまいりますので「ぜひチャンネル登録をお願いいたします(笑)」

最後に「最近YouTubeチャンネルを始めたばかりです」という方へのメッセージですが、上記のように述べてきたものの、最初はあまり「数字に意識が行きすぎないようにしたほうが良い」ということもあります。

実際に公開後2か月たってから視聴数が急増したような動画の例もあります。コンテンツの良さは、いわば適切な視聴者をYouTubeが見つけられるかどうかにかかっている、とも言えますので、一時的に失敗のように見えても、信念をもってやり続ける中で「コツン」と手ごたえのある、その機会を待つことも大事だと思っています。

意図を持ち、狙いに行きつつも、少し長期的な視点ももってチャレンジしていただければ幸いです。