ピティナ調査・研究

第5回 動画タイトルとタグの使えるテクニックとまことしやかな噂

Youtube活用講座
第5回
動画タイトルとタグの使えるテクニックと
まことしやかな噂
  • 人気ワードの罠
  • Googleトレンド
  • サムネイルとの補完関係
  • 言語選定
  • YouTube検索と「タグ」

今回は動画そのものではなく、そのメタ情報(特に動画タイトル、タグ)における「現状(2021年2月)の傾向」についてお話します。

「現状の傾向」としたのは、常にYouTubeは進化し続けるプラットフォームだからです。「今後も有効であり続けるものでは無い」という点ご留意ください。

逆にいえば「過去の傾向」ではありません。昔から言われ続けていて今となっては有効ではないかも?という「まことしやかな噂」もありますが、今回の解説で「現在ある程度有効」な情報をご提供できるのではと思っております。

動画タイトルは誰のためのもの?

みなさまは動画タイトルをどのような目的で作成していますか。

A:視聴者に興味を持ってもらうため
B:YouTubeのシステムに適切に検知してもらうため
C:チャンネル運営者が管理しやすくするため

おおよそこの中に当てはまるのではないでしょうか?

A:視聴者に興味を持ってもらうため

こちらは非常に当たり前の話と感じますが、視聴者の傾向によっては整理する必要があります。

あなたにとって、これから公開する動画の「最大の視聴者」はどのような人たちですか?

国内の視聴者 or 海外の視聴者(その中でも英語圏?)
あなたのことを深く理解している既存の視聴者 or これまで接点のなかった新規の視聴者

「何となくカッコいいから英語でタイトルつけてみたよ!」というのはあまりお勧めできません。国内の視聴者を中心に観ていただきたいのであればやはり日本語で構成されるべきで「カッコいい!」イメージはサムネイルにその役割を担わせたいところです(後述でタイトルとサムネイル、両者の補完関係について述べます)。

逆に海外の方に見ていただきたいのであれば、まずは英語を使うのが良さそうです。実際に公開した後に、視聴者数が多い国などチェックできます。国内・海外ともにどちらがメイン視聴者かわからないという場合は、日本語も英語も両方入れる方法もありますし、視聴者のエリアによって出しわけるという設定も可能です。こちらは後程ご説明いたします。

またチャンネルの成長(ファン数の拡大)に合わせて、想定されるメインの視聴者が既存の方なのか、新規の方なのかという考え方も必要かもしれません。
たとえば、「分かる人には分かる!」奇抜なタイトルで動画の内容がわからないタイトルにしてしまうと新規の視聴者の獲得は難しくなります(もちろんサムネイルでカバーという手もあるわけですが…)。

ちなみに、チャンネル登録者が100万人を超えるような大規模なチャンネルでも、チャンネル登録者(既存のファン)の視聴割合は20-40%程度ということも多いので、圧倒的に「チャンネル登録していない視聴者(新規の方)」が多数派になります。

ですので基本的には

  • 誰が出ていて(個人チャンネルの場合は不要である可能性もありますが)
  • 何をしていてい
  • どう楽しめるものなのか

といったことが、サムネイルとの補完関係の中で分かりやすい動画タイトルが良いでしょう。

もちろん「圧倒的な個性で勝負!」というチャンネルさんもあります。一見なんの動画なのかわからないサムネイルと動画タイトルで、「だからこそ観たくなる!」という例もあります。あえてよくわからない、不穏なもの表現した「それはそれでシンプルな例」と言えるかもしれません。そのような場合はチャンネル運営者自身がキャラクターとして成立していて「その人であれば何を言っても面白い!何をやっても面白い!」という信頼感が既に確立されていることが必要かもしれません。

基本的には「初めての方にも動画の内容が分かりやすいタイトル」であることが重要です。

次に…

B:YouTubeのシステムに適切に検知してもらうため

このことを意識されている方は、YouTubeやWEBサービス全般に精通している方かもしれません。

画像・音声・映像認識の技術が発達しているとは言え、サービス提供側がシステム的にコンテンツを把握・管理しようすると、やはりテキスト情報に頼るところは大きいものです。

YouTubeにおけるその「テキスト情報」がまさに、動画タイトルです。
タグは?という疑問を持った方もいらっしゃるかと思いますが、それはまた後程ご説明いたします。

膨大な量のコンテンツがアップロードされるYouTubeにおいて、的確に、スピードをもってその把握・管理を行うためには、そのコンテンツの動画タイトルを読み込み、何のコンテンツなのかを分類する必要があります。そこで得た情報をもとに、YouTube検索に出してみる、関連動画に出してみる、といったアクションをYouTube側が行えるわけです。ですのでYouTube検索、関連動画経由で視聴数を獲得しようと考えるなら、「よく検索されるワードがタイトルに配置されている」とか「流行っている動画でよく使われているワードがタイトルに配置されている」といったことが重要になる可能性が高いというわけです。

となると…

「人気ワードの羅列のような動画タイトルにすれば良いってこと?!」と悪知恵を働かせる人がありそうだと心配になるかもしれません。

が、しかし!

これは「A:視聴者に興味を持ってもらうため」に反するため、絶対にお勧めできません!!

この「悪知恵」は数字にも反映されやすく、インプレッションのクリック率の低下や視聴時間の低下を招くので、逆にYouTube検索、関連動画に出にくくなります。

優先順位としてはA>>Bですので、そこを間違わないようにご注意ください。

その上で…

また最近の傾向としては「〇〇のやり方、方法」といった動画タイトルを設定すると、YouTubeの検索結果だけでなく、GoogleのWEB検索にも上位表示されるケースが増えています。

検索ユーザーが「購入」や「情報取集」を目的としてワード検索しているとGoogleが想定する場合、検索結果は圧倒的に「WEBページ」が上位を占めます。いっぽう、検索ワードが「How Toを知ること」などを目的にしているとGoogleが想定する場合は、検索結果上位を「YouTube動画」が占めるケースが増えているように感じます。

「ピアノの練習方法」といったストレートな検索だけでなく、たとえば「ピアノ 初心者」「ピアノ 楽譜」といった検索を試してみてください。動画が表示されるのではないでしょうか。

つまり適切な動画タイトルの設定次第では、YouTubeでの視聴だけでなく、Googleの検索経由でも視聴を獲得できる可能性があるということになります。

ちなみにYouTubeやGoogleにおける検索ボリュームの傾向を調べる方法としては、Googleトレンドというサービスがあります。

Googleトレンド

例えば「ピアノ」と「ギター」というワードの過去5年間の「WEB検索」における推移を見てみると…

同じ条件で「YouTube検索」で調べてみると…

となり、YouTubeでは圧倒的にピアノが検索されていて、かつ右肩で成長していることがわかったりします。さらに「ピアノ」関連の検索の仕方としてどういうものが多いかというと…

過去90日間の人気のものでは

過去90日間で急増しているトレンドのものでは

というように、調べる期間を変えるなどして様々なヒントを得ることができます。ぜひ気になるワードでお試しください。意外と知らなかった視聴者ニーズを発見できるかもしれません。

サムネイルとの補完関係を意識する

ここまでは動画のタイトルについてご説明させていただいているわけですが、度々サムネイルについて言及してきました。というのも「タイトル」と「サムネイル」は一対のものとして考えることが適切で、切っても切れない関係だからです。

ここであらためて、視聴者が動画を視聴までのメインの「導線」を考えてみます。

  • 何となくYouTubeのTOPページに相当する「ホーム」にいく
  • タイムラインを送りながら、面白そうな動画はないかな?とサムネイルを次々見ていく
  • 気になったサムネイルを発見したら、次に動画タイトルをチェックする
  • タイトルで動画内容をさらに具体的に想定して、価値がありそうなので視聴する
  • 視聴後(もしくは視聴中)に関連動画の中から、次に視聴する動画のサムネイルを見ていく→再び2へ

だいたいこのような流れで動画をご覧になる方も多いのではないでしょうか。

基本的には・・・

「サムネイル」で興味を喚起され→
「タイトル」で内容を具体的に想定し→
「視聴」に至る

ということです。

ですので、「サムネイル」に持たせる情報と、「タイトル」に持たせる情報を、補完関係にすると。効果的に視聴者にアピールができます。
そのうえで、検索や関連対策として機能する具体的なワードは「タイトル」にその役割を持たせることが良さそうです。

例えば、YouTube上の人気コンテンツフォーマットとして「人気ファーストフード店のメニューを1万円分食べてみた!」という企画があります。その場合はこんなイメージです。

▼ サムネイルはこちら
▼動画タイトルはこちら

【大食い】マクドナルド1万円食べきるまで帰れません!!のはずがなえなのが大暴走!?すず/8467【超十代】

これが良い例かどうかは別として(チャンネル登録者27万人で約50万回再生されている「まずまず」人気の動画です)、ここに行き着いたプロセスに意味があると思いますので、例に使います。

  • そもそもYouTubeをよく視聴している若者に「ファーストフードの1万円食べてみた企画」は人気があった
  • 出演者の人気もあるが、今回は企画のパワーで新規の視聴者の開拓がしたい

というのが制作に至った背景と目的です。そこから、サムネイルと動画タイトルの補完関係を考えることになります。

サムネイル みんな知ってるあの企画を女の子たちが挑戦してみたよ!という印象を強く出す
タイトル 検索ワード(もしくはYouTube上で関連する人気動画が多いワード)が具体的にレイアウトされていて、出演者の名前もある

サムネイルは視覚的に目に留まることが大事です。ファーストフード店の名前をテキストでレイアウトするのではなくロゴで十分だと考えました。

一方で、「YouTube検索」や「関連動画」に対応するため動画タイトルには「名前のテキスト」をいれました。

また「(例の)1万円企画だよ!」という訴求は新規の視聴者へもフックになると考えましたので、サムネイルに大きな文字で配置。

「たくさんの食べ物」の画像は企画との相性ももちろんですが、そもそも視聴者への目に留まりやすいということもありましたので配置。

最後に出演者の顔の表情ですが、あえて視聴者を見る(カメラ側を見る)のではなく、すべての出演者が「たくさんの食べ物」に注目している写真にしました。
これは撮影時の映像素材ではなく、狙いが反映されるようにわざわざスチールで写真撮影をしています

これらの工夫で意図していることは、「誰が」よりも「何を」を強く打ち出すことです。出演者のことを知らない人にも「見てみよう!」と思っていただけるようにすることが目的です。

ですので、すでに出演者のことを知っている人が見れば誰が出演しているのかは分かりつつも、初めて見る人には「今どきの女の子」程度に見えるようにして、あくまでコンテンツのメインが「1万円分のファーストフードに挑戦する」ものになるように意識しています。

整理すると…

⇒チャンネルのファンに対して:

すずとなえちゃんとななちゃんが3人で1万分!できるの?!なえちゃん暴走って何が起きたの?!

⇒チャンネルのファン以外に対して:

よく見る1万円企画じゃん!えっ?!女の子3人で挑戦するって無理じゃない?そういえば出演者見たことあるような…

と両方の層に興味をもっていただけるのでは?という意図をもって、サムネイルを構成してあります。またそのサムネイルではフォローできていない要素(検索・関連対策、出演者名、見どころなど)は動画タイトルで補完しつつ、サムネイルと動画タイトルがセットで機能します。

この例では50万回再生されただけでなく、1,200人近くの新規登録者の開拓にもつながりましたので、まずまず狙いが機能したと思っております。

「せっかくカスタムサムネイルにしたんだから、情報を盛り込まなきゃ!」と詰め込みすぎず、興味を引き付けるフックとしての「サムネイル」と、より具体的なコンテンツ内容を想像させる(もしくはシステム検知しやすい)動画タイトルで、役割を分けて構成してみてください。

最近では進化系として、

  • サムネイルは画像(場合によってはおしゃれっぽくレイアウトしたデザインとしてのテキスト)のみ

という「引き算」で構成されているケースも多く見られます。

というのも、最近ではYouTubeの仕様上、大きなサイズでサムネイルが表示されるケースが増えています。高精細な力のある画像で十分に興味を引き付けることができるようになったことを利用しているのと、日本だけでなく海外でも視聴されることを意図して日本語をサムネイルにから排除するという考え方です。

情報メインの「週刊誌」と、雰囲気重視の「おしゃれライフスタイル雑誌」の表紙の違いをイメージしてみてください。

YouTubeでも情報番組や笑えるバラエティだけでなく「雰囲気のあるおしゃれなコンテンツ」が増えてきた、ということもあるかもしれません。

視聴エリアによる動画タイトルの出し分け

この記事の始めのほうで、「日本の視聴者向けと、海外の視聴者向けで動画タイトルを出しわける方法がある」とお伝えしましたが、以下が具体的な設定方法です。

YouTubeSTUDIO>コンテンツ>設定する動画を選んで>字幕>言語を追加>言語選定>タイトルと説明の追加

という導線で動画タイトルと概要欄(説明文)の翻訳バージョンを設定することができます。
翻訳文自体は自分で書く必要があります。そこはGoogle翻訳などを駆使してみてください。この設定をしておくと設定した言語の視聴者に対しては、翻訳バージョンが掲出されるという仕組みになっています。少し補足しますと、検索においては現状デフォルト(初期設定)の言語の影響が大きい印象(たとえば、英語の翻訳文を付けても、元から英語のチャンネルの方が有利な様子)です。

最後に・・・

C:チャンネル運営者が管理しやすくするため

YouTubeで動画を見ていただくことを主たる目的とせず、ウェブサイトに動画を埋め込むために「仕方なくYouTubeにアップロードしているんだよね!」というケースでは「視聴者の目にとまる」ことを目指していないサムネイルやタイトル付けの例が多くみられます。

YouTubeに対しても様々な考え方、使い道があると思いますが、せっかく動画を公開するのであればYouTubeでも見られるように動画タイトルを整えたいところです。ただ単に数字でナンバリングしている、あるいは英語やローマ字で動画ファイル名をそのまま反映させているのは「もったいない」です。チャンネル運営者が管理しやすくするには「タグ」を利用したほうが良いと考えています。

※タグのまことしやかな噂

YouTubeは常に進化し続けています。これまでご説明させていただいた情報も現時点(2021年1月)の傾向、としてとらえていただければと思いますが、「タグ」に関しては、かなり以前の情報が「まことしやかな噂」として現在でも引き続き耳にすることがあります。

「タグ」を設定すれば、YouTube検索対策になる!だから人気ワードをたくさん設定したほうが良い!というものですが、現在ではこの目的のために「タグ」を数多く設定する、というのは誤りです。「タグ」はYouTubeSTUDIOのコンテンツ管理における自コンテンツの検索の際に有効、という考え方が妥当かと思われます。

例えば過去アップロードしている動画の中で、動画タイトルには入れていない要素で検索しようとすると骨が折れるわけですが、「タグ」として設定しておけば一気に検索出来て便利!というわけです。

例えば企画のシリーズによってコンテンツを仕分けたい、出演者によってコンテンツを仕分けたい、というニーズに対するものです。
これを動画タイトルに入れてしまうという方法もありますが、これまでご説明した通り、視聴者に刺さらないワードは配置していないほうが良いわけで、そうなると「タグ」が有効!というわけです。

くれぐれも「タグ」の設定に時間をかけすぎて、カスタムサムネイルと動画タイトルへの対策が手薄にならないようにお気をつけいただければと思います。

次回第6回では、「チャンネル登録者を増やす」についてお話させていただければと思います。
それではまたお会いしましょう。