第1回:YouTubeは誰が、どこで、どのように見ているのか?
YouTubeは誰が、どこで、どのように見ているのか?
YouTubeの月間のアクティブユーザーは世界で20億人を超えているといわれています。
国別で見ると14.8%がアメリカ、続いてインドが8.1%、3位に日本の4.6%というのがトラフィック解析から見る上位構成となります。
弊社MCNの合算値では2020年6月度で、当然ながら日本の視聴が最も多いわけですが、インドネシア、アメリカ、インドからも視聴されています。
ちなみにインドネシア、インドは若者層のインターネット人口が爆発的に増えており今後も視聴数という観点では、ますます主要なエリアとなると想定されます。
実は、日本のYouTubeは収益面で見るとアメリカに次ぐ規模であるにも関わらず、クリエイター数という観点では世界でも非常に少ない国とされています。
あまり表に出たがらない、謙虚なお国柄、ということでしょうか…とは言え、成長著しい日本のYouTubeを感じさせるのは、次の事実です。
「年間1,000万円以上の収益を得るチャンネル数が前年170%に(アメリカは前年140%)」
「50代男性のYouTube利用率前年64%から73.3%へ急増」
お金がすべてではありませんが、稼ぐチャンネルが増えているということは、視聴者が増えている(視聴ユーザー数増、視聴頻度増)、コンテンツ数が増えている(チャンネル数増、更新頻度増)、ということになり、さらに属性別の利用率では50代男性が急増するなど、まさにすそ野が広がっていることがわかります。
チャンネル登録者6万人のアース・モンダミンカップ公式チャンネルで、2020年6月に配信された決勝ラウンドのLIVE配信は、視聴の同時接続が24万人を超える結果となりました(アーカイブも含めた視聴回数は170万回)。
これは日本で最大の同時接続数を記録した人気アイドル嵐のLIVE配信の約3分の1、今を時めく俳優、佐藤健さん&上白石萌音さんのライブ配信50万人の約半分の数字でした。魅力的なコンテンツがあれば、ミドル~シニアの男性層の視聴も十分に期待できるメディアへと成長しつつあると言えるかもしれません。
ちなみに…日本の年齢、性別別の分布は以下のようになります。
団塊の世代:1947~49年生まれ(2020年71歳~73歳)、そして団塊ジュニア世代:1971年~74年(2020年46~49歳)がボリュームゾーンです。コンテンツの供給次第では、こうした世代の視聴が大きく成長する可能性があるということです。
さらに昨今のコロナ影響により、「おうち時間」を過ごす40-60歳の男性視聴層が増えて、ゴルフ、ソロキャンプ、車中泊、激安呑みといった「おじさん趣味」の動画が人気である状況は、2013年から日本の中学生のスマホ普及率が急速に高くなるという社会環境において、大きく成長したHIKAKINさんの前例を彷彿とさせます。その年代の子供たちにとっては、毎日決まった時間に、自分の知っている話題で、自分の目を見て話しかけてくれ、寂しさを忘れさせてくれるお兄さんが必要だったのかもしれません。
生活様式・社会環境の変化、インターネットメディアの普及状況、そしてコンテンツ供給(そもそも存在しないものは視聴されない)が合致した際に、大きなムーブメント、マーケットが出現する可能性があるという言えますし、音楽ジャンルにおけるおじさん趣味とは?という発想が生まれてくるタイミングかもしれません。
YouTubeのコンテンツは主にチャンネル登録者によって視聴されている、と思っている方が多いかもしれません。
しかし、実は、YouTubeアルゴリズム(YouTubeトップの「あなたへのおすすめ」や「関連動画」などを経由)による視聴が80%を占めるとも言われています。
実際に弊社MCNでは、視聴回数の約33.3%がチャンネル登録済みの方の視聴となり、未登録の方の視聴が66.7%です。つまり「チャンネル登録しているわけではないけど、面白そうだからちょっと見てみようかな?」という視聴が圧倒的に多いということです。
YouTubeは「すでに先行するプレイヤーがいるから勝負できない」というメディアではなく、コンテンツの力によってはまだまだ参入の余地があると考えてよいのではないでしょうか。
最近の音楽ジャンルの好例を挙げてみましょう。
THE FIRST TAKEというチャンネルは立ち上げ8か月で150万人のチャンネル登録者を獲得し、月間5,000万再生以上、海外視聴比率30%を記録しています。
日本のポップスを中心としたコンテンツはこれまで数多くありましたが、そこに独自の切り口(一発撮りの緊張感)と大人も満足できる映像クオリティによる差別化で一躍人気チャンネルとなりました。
厳しさ際立つ音楽業界ですが、このチャンネルの立ち上げ意図の一つでもある「自分たちが良いと思う楽曲やアーティストを直接届ける」ことができるステージまで来たチャンネルであると言えるでしょう。
YouTubeでも競争の激しい音楽ジャンルですが、この新参のチャンネルは「自分たちが良いと思う楽曲やアーティストを直接届ける」という目的の一つを達成したと言えるでしょう。
「稚拙な編集にあえて質を落として展開するのがYouTubeクオリティ」などとまことしやかに言われていた時代が懐かしいとすら感じさせます。
以上、第1回は「YouTubeは誰が、どこで、どのように見ているのか?」にフォーカスしてお話させていただきました。
視聴ユーザーのニーズ(顕在的、潜在的)と、そこにおけるコンテンツの供給状況(ライバルの強さ、多さ)次第では大きく成長できる余地がまだまだあると改めて思っております。
それではまた次回、よろしくお願いいたします。
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