ピティナ調査・研究

第31回 マズルカ第32番(3つのマズルカ Op.50 第3曲 嬰ハ短調)

マズルカを味わう
第31回 マズルカ第32番
3つのマズルカ Op.50 第3曲 嬰ハ短調
〔A〕 a 1~16小節 嬰ハ短調 クーヤヴィアク
b 17~24小節 ホ長調~嬰ハ短調 マズール
25~32小節 嬰ト長調 オベレク
a 33~40小節 嬰ハ短調 クーヤヴィアク
〔B〕 41~44小節
a 45~60小節 ロ長調 マズール
b 61~68小節 ホ長調~嬰ハ短調 クーヤヴィアク
69~76小節 ロ長調ドミナント オベレク
a 77~92小節 ロ長調 マズール
〔A〕 a 93~108小節
b 109~124小節
a 125~140小節
〔C〕 a 141~157小節 嬰ハ短調ドミナント クーヤヴィアク+マズール
b 157(2拍目)~180小節 クーヤヴィアク
c 181~192小節 クーヤヴィアク

作品50の最後では、マズルカを変幻自在に操り心のひだを表した、ショパンの成熟した音楽性を聴くことができます。複雑に絡み合うモティーフ(対位法的)、めまぐるしく変化する3つのリズムと調性、巧みに展開する和声。これらを駆使し、終盤で劇的なクライマックスが創り上げられた傑作です。

冒頭に鳴るGis音、そこから波紋のように紡ぎ出され答えのない対話を繰り返すメロディーにより、〔A〕はもの悲しさを湛えます。リズムだけを浮き彫りにした軽快な〔B〕では、何かを強く訴えるようなクーヤヴィアクが印象的。コーダ(C)はまさにジョルジュ・サンドの言う「霊感と苦悩に満ちた創作行為」であり、しかしそこに現れるのは理論を超越した音楽そのもの、ショパンの声そのものであることに感動を覚えます。

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