ピティナ調査・研究

第26回 マズルカ第27番(4つのマズルカ Op.41より 第2曲 ホ短調)

マズルカを味わう
第26回 マズルカ第27番
4つのマズルカ Op.41
第2曲 ホ短調
〔A〕ホ短調 1~16小節 クーヤヴィアク
〔B〕ロ長調 a 17~32小節 オベレク
b 33~40小節 クーヤヴィアク
a 41~56小節 オベレク
〔A + Coda〕ホ短調 57~68小節 クーヤヴィアク

イ短調のドミナントという借用和音で始まり、伴奏の低音には運命を表しているであろう空虚5度が鳴り続ける。メロディーには起伏も少なく、憂鬱なクーヤヴィアクがとぼとぼと歩みを進めます。
5度上のロ長調に転調し、オベレクの要素が現れる中間部から音楽が少しずつ動き出します。冒頭の暗黒の世界から朝日が昇るように光に満ちた世界が広がる、そのコントラストは見事です。マジョルカ島のパルマでの期待に満ちた生活をパリの友人に宛てて書いたショパンの文面に、中間部のきらめくような色彩を感じ取ることができないでしょうか。

『穏やかな天候。椰子、オリーヴ、オレンジ、レモン、イチジク、ざくろの木、トルコ石色の空、瑠璃色の海、エメラルド色の山々。世界で最も美しいもののそばにいて、身も心もいっそう良くなっている。』

Dis音が連打される印象的なオベレク(この連打を「前奏曲集」の「雨だれ」を連想させると書く解説者も...)の後、冒頭の憂鬱なモチーフが美しい歌となる瞬間(33~40小節)がやってきます。そして次第に激しくなるオベレクのDis音と共に気持ちを高ぶらせていくと、絶望に満ちフォルティッシモに豹変した冒頭テーマが突きつけられます。どこにいても孤独に苛まれない時はない、物静かなショパンの心がピアノに向かってぶつけた真実の叫びを聞くようで、なんとも痛ましい作品です。

人間の感情のあらゆるひだを音にしたショパン。その色彩の妙をひとつでも多くキャッチし音色に反映させたいものです。

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